Ⅰ 5-24
『ウラ☆ハラ塾』準拠です。
「…て、思ってたら、やっぱりタカノリが来てくれたんじゃん。ケンは足腰不自由だし、書記長はこんなことで動く様なヤツじゃないし、おばあちゃん――ふみこさんって言ったっけ、あの人は私のこと嫌いそうじゃん。だから、来てくれるとしたら、年寄り連中で盛り上がっているところで蚊帳の外のタカノリだと思ったんだ」
(そういう知恵は回るんだな。伊達にケンの看護師兼メイドをやっていないというか。それにしても、俺が来るかもしれないから芸術品クラスの高級な陶器を壁に叩きつけて粉砕するとかぶっとんでいるだろ。今時のというよりも、このお清楚系ギャル。こんなのが自称法曹界の帝王に信頼されているのか? だとしたら、それは愛人というのか、パパ活女子というのか…)
とはいうものの貴教も最初に眼が合った時点でちょっとときめいてしまっている。
(いやいや。俺って巨乳好きだったっけ? それ以前にこの顔どこかで…)
貴教は想い出した。
面影があった。
(…イジってなったら多分そっくりだ)
初めて眼が合った瞬間、本能はそれに気付いた。だから、咄嗟に乙女の様に目を逸らしてしまった。咄嗟に肩へ。
あれはその昔の遠い青春の日の思い出――
あれは貴教が高校生だった頃。貴教はある女の子に恋をした。貴教の地元は田舎だったのでミ○タードーナツはなかったが、彼女の高校の最寄り駅にはあのハイカラ(当時)な店舗があって学校帰りによく寄っていたので、とても詳しかった――ミ○タードーナツのメニューを沢山、しかもよどみなく言えた。「フ○ンチクルーラー」とか「オ○ルドファッション」とか、ニコニコしながら何だかオシャレな名前のドーナツの話をする彼女の姿に「かわいい!」っていつの間にか心を奪われてしまっていた。今の時代でいうのならば、ス○ーバックスで呪文の様なオーダーを自由自在に繰り出せる女子に惚れるのに近いのだろうか。貴教の使える呪文といえば、「エスプレッソ。ダブル(で)」くらい(というかそれだけ。それオンリーである。何なら、海外のス○ーバックスの店舗でも通用するし。寧ろ、ニッポン国内の店舗のあの“呪文”は万国共通なのだろうか? ア○リカの西海岸、ロ○アンゼルスでもサ○フランシスコでも無いがシ○トルが発祥と聞くのだが、オーダーが英語でないのは甚だ疑問である。試したことが無い以前に“呪力”が無いから実際のところ海外ではどうか知らんけど)なのに。
兎に角、アンナという女性はあの時の女子高生に似ていた。
(いやいやいや。だとしたらよけいアカンやろ。タカノリアラフィフやぞ)
「キャー! キィャー! タカノリー!」
一人勝手に盛り上がっていたアンナが半歩引いた。すると今度は貴教の両手を取って縦に一頻りブンブン振り回して興奮の程を表現すると、
「ねえねえ。あっち行こ。タカノリ」
と、今度は貴教の左手で引っ張って行き、右方の手で突き当り部屋のドアノブを捻った。
(何? この感覚。このしっとり感。どこか…で?)
ミスドの子




