Ⅰ 5-18
名前だけでいったら、漢の中の漢、而もゴリゴリのマッチョでしょ? この弁護士さん。
「アスカケンシロウ!」
「法曹界に帝王とかおったらいかんやろ」と想う以上に、名前のインパクトにやられてしまった。
(ゴリっゴリの剛の者やんけ!)
ここで貴教は気付いた。
(てことは、此の爺さんは巷に『空○バカ一代』の主人公である飛○拳や『北○の拳』の主人公であるケ○シロウの名が知れ渡る前に、まあ、「レ○ズナー」のケン・ア○カは脇役だし、アニメ自体が打ち切りだから知名度は低いだろうけど…、兎に角、当たり前だが既に飛鳥拳士郎だったってことか。こっちの方が先。寧ろ本家…、
若い頃はゴリゴリのマッチョやったんかな?)
渾身の自己紹介を終えると病身の老人は看護士に向かって、
「アンナ。あちらに行きなさい」
と云った。
「で、でも」
と言いかけた若い娘に、
「いいから」
と続けた。
「そ、それじゃあ…」
後ろ髪を引かれている様な気配を示しつつも、漸く大人しく部屋を出ていこうとする娘に対して老人は手を差し伸べている。まるで長い別れを惜しむといった格好である。
(何かオンナには慣れていそうだな。伊達に百年も生きていないというか何というか…。
デ○オか?)
グラマラスな若い娘が退出いたのを見送った後、改めて、
「それじゃあ、ふみこ、随分久し振りだと思ったのだが、君は私の見舞いに来たのではなくて、仕事の依頼にやって来たというわけなんだね? 君のことだから、どこかで私の病気のことを聞きつけたかと想ったんだが」
老人は病気の見舞いではなく仕事の依頼と知って何だか生き生きとした生気を帯び始めた。
「あんなサキュバスみたいな乳だけ大きな小娘なんか侍らせているからよ」
とふみこは嫌味っぽく云い、
(前言撤回。ばあちゃん、カッコ良くない。寧ろ悪いよ。その小者ムーブ)
更に、
「その証拠に、貴方、あの娘がいなくなったら、見違えて元気になったわ」
と続けた。
「君はあの娘のことを誤解しているよ」
老弁護士はそう答えたが、其れ以上あの若くてグラマラスな看護師メイドの弁護をしようとはしなかった。しいて言葉を連ねる迄も無いというところか。
「それよりも、」
老弁護士は非常に熱心な調子になり、
「君のお孫さんの件、極めて難しい事件である事この上ないが」
!
「知っているんですか? 俺の事件の事を? 一体何で俺が訴えられたりなんかしなきゃならないのかを?」
「それは知らんが…」
貴教はズッコケて叫びそうになった。何しろ生まれも育ちもSIGAのコテコテの◯西人である。幼き日より慣れ親しんだ吉〇新喜劇の影響であろう。咄嗟に口から此のワードが飛び出してきても「然るな」である。
「知らんのかい!」と。
アラハンでも精力はありそうだし…。




