Ⅰ5-5
原作はあくまでも原作という暖かい目で見てやって下さい。
ふみこは或る意味、今やヤ○の顔である。それはそうだろう。あの全国区の有名人の御祖母様なのだから。そして、そんなお方が貴教の聖地であるヤ○在住で、軽快なフットワークで市内を巡り、道行く者――いかにも観光客っぽい人々に、例えば電車の中だったりしても、「T.M's.Revolutionって御存知ですか? 私、実はTMの祖母なんです」等と名乗られた日には、「ええっ!」としか反応出来るものではない。だって、ヤ○観光最大の目玉と言えば何と言っても、T.M's.Revolution――南方貴教なのだから。その御祖母様が気さくに声を掛けてきてくるのである。「本物なのかな?」「何かしらの詐欺?」というのが声を掛けられた者の率直な反応なのだが、そこから本物である事をきっちりと確定させにくるのだから、「まじ?」としかならないし、信じる他は無い。
尚、ヤ○と云えば、考古学ファンにとっては銅鐸、サッカーファンにとってはセクシーフットボールだったりしたする事もあったのだが、それだって比較する相手があまりにも悪過ぎる。だって相手はあのT.M's.Revolutionである。だから、観光客=貴教ファンと見てほぼ間違いないのだ。
ヤ○市内の至るところ足取り軽く徘徊するふみこであったが、彼女には市内に二つの拠点があった。
一つはヤ○市の観光案内所である。其処には当然の様にヤ○の生んだスーパースターである貴教のポスターが張られているので目を引く為、彼が目的ではない観光客迄思わず目を奪われてしまうのだが、そこへ案内所の職員が、
「若し宜しければ、T.M'sさんのおばあさまがいらっしゃってますが、会っていかれますか?」
と声を掛けられたりする事が日常なのだ。
でなければ、ふみこが直で「あのう、T.M'sって知っていらっしゃいます? 何を隠そう私があの子の、たーぼーの〜」って感じでお声掛けしてきたりする。そして時にはふみこ氏の家へ招待され、もてなして頂けたりもするのだ。
なんとも、聖地ならではである。
もう一つは“メロディー”である。ふみこをはじめとした十一人の有志によって営まれるショ○ワの雰囲気を醸し出す…、いや、其れ以上にイタ車のアートの様に際立つ貴教の姿が目を引く喫茶店である。店にいる時はきっちりとお客様のテーブル一つ一つを、お客様一人一人に挨拶を欠かせないふみこであった。メロディーは名物ともいえる販促物――ふみこお手製の手芸品(二百円と三百円の二種類)と孫の聖地巡礼用のお手製マップ(定価三百円)迄完備しているときているのだが、実は最大の驚きは店のキャッシャー周辺はふみこの写真が何枚もベタベタと貼られている――而も、何故か彼女の若かりし頃のものばかり――なのかもしれない。ただ、貴教が一番驚いたのは(何しろ自分の祖母である。どんな性格の人かは身に沁みて解っている)純喫茶メロディーがキッチリと法人であったという事だった。
なんともはや、聖地ならでは(?)である。
もっとも“二拠点(ヤ○市観光案内所+純喫茶メロディー)+市内彷徨”は貴教が売れ出しだ当初の事である。
今はちょっと違う。
御祖母様は西川氏が自身の番組等でネタにしているとはいえ、情報が潤沢と迄は言いかねる(私の調査不足かもしれませんが)ので、あくまでも「モデルにした」どまりで、だいぶ勝手につくっていますし、いきます。
最終回迄多分出番のある方なので。




