Ⅰ3-18
貴教は続けた。
「完全にラリった殺意に満ちた視線があることにミ○ク・ジ○ガーは気付いていただろう。それでもロ○リングス○ーンズは文字通り命懸けで演奏を再度再開する。音楽が始まると、観衆は一瞬静かになったがそれも続かなかった。ステージの付近で騒動が起き、十人程のヘル○・エンジェルスがそちらの方に駆けていった。ヘル○・エンジェルスの近くにいた『緑に発光するスーツを着た男が』叫んだ。それが、
『あいつ、銃を持っているぞ!』、だ!
銃を所持していた男は前に倒れ込み、ヘル○・エンジェルスの一人が、逃げ惑う人混みを搔き分けながら近くに駆け寄った。そして、男の手首を掴むと銃を持った手を高々と持ち上げ、ナイフで男の体を刺し始めた。長身の銃がステージのライトに反射して銀色に光っていた」
貴教はここぞとばかりに捲し立てる。
「いくらデ○ープ・ステイトの狗で、拝金主義者のブルジャワでも、いや、拝金主義のブルジャワだったら、拝金主義者のブルジャワならばこそ、だ。そんなふうに自分の命を危険に曝すと思うのか? 主演監督自分、自作自演の三文芝居の茶番で、自分の命を射的の的みたいに晒すと思うか? 自分が殺されかねないようなシチュエーションに自分を置くと思うのか? ありえ…」
「ありえねえだろうが!」と声量の限りで絶叫してやろうとしたら、その途中で、
「うん。まあ、それはそうだな」
テ○アイその一があっさりと言った。
「そりゃそうだ」
「そりゃそうだな」
貴教を押さえつけていたテ○アイその二も三もあっさりと納得した。
「へっ?」
観衆も静かになっていた。
「えっ?」
すると、テ○アイその一、その二、その三は、くるりと背中を貴教に向けると、すたすたと舞台から掃けてしまった。
「はあっ?」
観衆も静々と席を立ち、粛々と退場し始めた。
「はあっつ?」
何と予備審問はあっという間に散会してしまったのだ。
「何だそりゃ!」
それだけ叫ぶと、貴教はそのままその場で呆然としてしまった。
一体どれだけ時間が経ったのだろうか? 気が付くと掃除機の音が聞こえてきた。おばさんが会場の清掃活動に勤しんでいた。
まだ何が起きたのか把握しかねていた貴教であったが、
「こんなんなんですか?」
と言葉を発する事は出来た。
おばさんは掃除機のスイッチを切って近寄ってきてくれた。
「こんなふうなんですか? いつも」
再度尋ねた。
「『こんな』と言いますと?」
「予備審問っていうのは、いつもこんな感じなんですか?」
「そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません」
?
貴教はポカンとしてしまった。
(何を言っているんだ? このおばさん)
言っていることが、そもそもおかしいのではなかろうか?
(会場が違うというのだろうか? ハコのキャパとか客層とか? でなければ、裁判の形式が違ってくるというのだろうか?)
ここまで考えてみたところで、
(若しかしたら……。
いや、そんなことが…)
気が付かない方がいいことに気付いてしまった。
Ⅰの4でアウディ(貴教の愛車である緑のポルシェ930ターボでは無い)を登場させます。930ターボ(ー)の前の愛車だったというのではありません。抑、アウディ、車ではありませんし。レイとかフォロンみたいなAIでも勿論ありません。
Ⅰの4発動迄お楽しみに。




