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Ⅰ 3-7

 イ○ズマロックフェスは貴教にとっての魂の塊――彼の半生に於ける最大のイベントであるとともに、多くの友人、知人、多くの協賛企業、そして愛する故郷の地方自治体の助力を得てようやく実現できた、貴教以外の人々、関わった全ての人達にとっても魂の塊なのである。それを丸ごと無視した――そっくりまるっと馬鹿にされたような気がして貴教はキレたのである。 それでもやはり、テ○アイはどこ吹く風である。

「聞いたこともない土地の名前を聞いた反動分子のバカなガキどもはそれがSIGAのどこなのかを探し出すと、一刻も早くコンサート会場に辿り着こうとして、あらゆる手段を駆使してヘル○・エンジェルスの縄張りに殺到した」

「アクセスは公的機関を推奨している。モ○ヤマ駅の東口からは専用のシャトルバスだって走っているし、ク○ツ駅からだっていくらだって行ける。ニッポンじゅうからやって来るにしたって、あらゆる手段って…」

 「あらゆる交通機関」どころか「あらゆる交通手段」でもなく、「あらゆる手段」と言っているところが不気味だった。

「当日の報告を聞かせてやる」

 そう言うとテ○アイその一は別のテ○アイ――その二にファイルを持ってこさせ、受け取ると読み始めた。

「前日の午後には観客数は十万を超え、その数は一秒単位で更に増え続けた」

(一〇万? 開演前にもう一〇万?)

「南北を結ぶ主要ハイウェイは大渋滞し、」

(はあっ? どこのハイウェイだよ? それ)

「会場手前八キロ付近では数千台もの自動車が乗り捨てられ、」

(数千台の車? 乗り捨て?)

「周辺の牧場を大勢の人間が徘徊する様は…」

(牧場? SIGA農業公園ブ○ーメの丘? ミルクファーム伊○? 成○ふれあい牧場? ローザンベリー多○田? でなかったら、ひつじのシ○ーンファームガーデンとかか?)

「敵意を抱いた牧場主にいつ射殺されてもおかしくない有様だった」

 貴教は思わず叫んだ。

「何だその終わってる治安! SIGAどころか、もはやニッポンじゃねえじゃねえか!」

「ハイウェイ・パトロール隊が緊急車両を通す為の道を開けることが出来ない程に交通は麻痺していた。警察はハイウェイから数キロ圏内にあった全てのレッカー車をかき集めて、警官たちは乗り捨てられた車で道路が塞がれる度にレッカー移動に奔走していた」

「だから、そのハイウェイって何なんだよ? どこをどう走っているんだよ?」

「郡保安官事務所から来た二人の保安官代理は、コンサートの中止命令を出して貰えるよう裁判所への申し立てを検討しつつ、州知事に人員の追加請求を行った」

(郡? 州? 保安官?)

 「一体どこの話をしてる? 一体何の話をしているんだ?」と貴教が頭を巡らせていると、テ○アイはパタンとファイルを閉じた。

「フリーコンサート会場及びその周辺の土地の警備を担ったのは、地元警察官、ハイウェイ・パトロール、保安官代理、FBI、それから、東海岸の警察官…」

(東海岸…、九○九里とかか?)

 まるで「信○の野望」の最初期バージョンの様なニッポン地図である。

「そして、ヘル○・エンジェルス」

(また、そいつらか!)

「タンクローリー一台分だか、五〇〇ドル分だかのビールで雇ったのだろう? あいつらを」

 !

 ここで貴教は気付き、それが声に出ていた。

「オルタ◯ント……」

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