Ⅰ3-6
バレても物語に差し支えないネタバレを致しますと、御存知の方は当然御存知でしょうが…。
「いやいやいやいや。するってえと何か? ヘル〇・エンジェルスの縄張りの中に、SIGA県立のび〇湖博物館があって、ク〇ツ市立の水生植物公園のミ〇ノ森があって、おまけに公益財団法人の国際湖〇環境委員会まであるって言うのか? び〇湖真珠養殖所とか道の駅ク〇ツとかは、ヘル〇・エンジェルスのシマのシノギだとでも言うんか?」
貴教の勢いは止まらない。イ〇ズマロックフェスに関してである。それにあらぬ方からケチを付けられたのである。言葉は尚も溢れた。
「イ〇ズマの中にはキッズコーナーだってあるんだぞ。SIGAの魅力や観光をPRするコーナーだってある。ガ〇ャピンとム〇クも紹介しとったやろ。それにイ〇ズマってのは、び〇湖の水質保全とか地域振興とかも掲げているんだぞ。湖上での清掃活動イベントへの参加、近〇米のPR企画に取り組み、地元の小学生を招いての会場設営の体験学習。そういったものを、モーターサイクル・ギャングの縄張りの中でやると思うのか? やれると思ってんのか? どんだけチグハグなんだよ。ありえねえだろうが!」
だが、テ○アイはそんなものは歯牙にもかけず、
「山道って…」
「山道?」
思いもよらぬ単語に貴教はぽかんとなった。
「傾斜が四十五度もありそうな山道じゃあ、ムダにデカい自慢のアメ車とか止められねえだろ」
「はあっ?ムダにデカいアメ車? 今度は何のことを…」
「三〇〇〇エーカーあったって、辺鄙な高地の砂漠地帯で、近くにまともな道路が通ってねえって…」
「な、何を言って…」
「ありえない!」と貴教は思った。SIGAとは古来から国内交通の要所である。織○信長が安〇城をあそこに建てたのだって、そういう側面が強かったことくらいSIGA県民なら、いやSIGA県民でなくても誰でも知っている常識の筈である。たとえ、「信◯の野望」をやったことがなくても、である。史実である歴史背景とどこからどう見ても一目瞭然の要地ぶりしか示していない地理を誇る近〇の国――SIGAを捕まえて、まさかこんな根も葉もない言葉を浴びせかけてくる奴がいようとは。しかも、SIGAの観光大使に対して。
「じゃあ、『さ○なみ街道』と『夕○え通り』は何だって言うんだ! 普通の舗装道路だっていっくらだって通ってるだろ! 山伏や修験者、それに飛〇健こと大○倍達が片眉剃って空手の修行に打ち込む険しい山々じゃねえんだよ! SIGAは! むしろタイラなんだよ! SIGAは! 大体からして山国じゃねえし。全くもって砂漠じゃねえし。それどころか明らかに湖国だし、SIGA。それに、エーカーって何だ。グ○ハムか。三〇〇〇って、オーニつどころかオー三つも並べやがって。それから、アメ車って何だよ。所ジョ◯ジさんかよ。ウチはポル〇ェのアウディだぞ」
「何だかんだで会場が決まったのはフリーコンサート開始二日前だった」
「はあぁっつ!」
(準備に準備を重ね、緻密に、綿密にやってきた過程、一切合切を無かった事にしやがった!)
貴教はキレた。
「てめえ、ふざけるな! みんなめちゃくちゃがんばってんだ! そんな行き当たりばったりでやってるわけねえだろ!」
「ウラ☆ハラ塾」というのは、西川氏が『週刊 ザ・テレビジョン』で連載していた初エッセイのタイトルです。構想段階では其れを文字通り仮題にしていました。タイトルに残しているのは其の名残りです。裏原宿…なんでしょうね。「何で?」とは想います。




