Ⅰ3-4
今後、連載が進んで行くにつれ、作品のキーワードを少しづつ変えてゆきます。最新話を読むに前に読むと少々のネタバレになるかもしれません。
「まじか」とたった三文字すら言い切っれなかった。言葉にしようとして一文字目が口から出た時点で呆れてしまって。
(こいつ頭おかしいのか? SIGAがカウンターカルチャーの聖地って。王道を行く保守大国やぞ。だから、ロックが不良だの反動的だの言ったんじゃあないのか? SHIGAと間違ってんじゃあねえのか?)
飛び出し坊やはその辺にいっぱいいても、決して飛び出してはいけない国、其れが保守王国・SIGAなのである。
(それを…)
テ〇アイはSIGA県民をヒッピーだとでも思っているのだろうか?
「『問題は一度も起きたことがない』ってのがウリだったんだろ? SIGAのフリーコンサートてのは。バンドは演奏し、オーディエンスはそれを楽しむ――それが全てだと。単純明快で実に素晴らしいもんだな。ラブ&ピースだしな」
(やっぱ、ヒッピー扱いだろ。これ。SIGA県民)
「エンジェルスいるから電気は切れねえし…」
(エンジェルス? チャーリー〇ってこと? 色っぽい姉さんたち? でなかったら、運がいいとか、ツイてるってこととか? チ○コボールのエンゼルマークかよ。ちなみにそれは銀なんか? 金なんか? 何枚集めりゃよかったんだっけか?)
「まあ、ちょっとくらい問題があったとしても…」
(問題?)
「LSDとかで恐ろしい幻覚症状に見舞われたり、一時的に精神錯乱を起こすヤツがいるってくらいのもんで、それにしたって、専門医がついているからノープロブレムだって話だよな」
「ふあっ?」
思わず声が出てしまった。
それはそうだろう。ヒッピー・ソサエティーどまりならまだしも、愛する故郷が薬物汚染されてるとか言われ出した日には。
「ちょ、ちょ待て! ちょっと待て!」
テ〇アイは構わず話を続ける。
「まあ、大した規模のモンじゃなかったんだろうな。だから、エンジェルスったって、エンジェルス気取りってだけのヤカラだったんだろ。その辺にいるロック小僧に毛が生えたようなモンの。その証拠に奴らに対する報酬って、運営のケータリング車が用意した紅茶の飲み放題だもんな。コンサート中に脱水症状を起こして運ばれた人間に施される応急処置が紅茶とビスケットってとこも、なんかすっげー昔ながらの英国風なんだな。SIGAってのは。LAじゃなくて。ってか、やっぱスッゲー遠いな。SIGAとLA。コンサート全体にイギリスのガーデンパーティーみたいなシュールな空気が漂ってんだってな。まあ確かにフリーコンサートの母国なんだけどな。すげーなSIGA」
(小馬鹿にされてんだか、褒められんだか)
「さすがっすね。SIGA」
(…ぜってえバカにされてるわ)
「芝生の上に寝転がってマリファナを吸いながら音楽を楽しむ観衆。誰も連行しない方が賢明だと判断してそれを温かく見守り、一人として逮捕者を出さない警察。さらにその光景を『警察を案じさせることなく、これほどまでに平和的に穏やかに集える県は少なかろう』と伝える広報誌。ある意味、いや、ある意味じゃなくて、やっぱスゲーわ。SIGA。ラブ&ピースを実践してるわ。SIGA」
(絶っ対、褒めてもいねえな。コイツ)
思っても口には出さない、というよりも出せない。
「それでもって、イ〇ズマロックフェス」
!
イ〇ズマロックフェス――其れは貴教の意志の塊。魂の結集であり結実。或る意味これ迄の貴教の総決算と謂える。
なので、最新話を読んだ後にした方がよろしいかと思います。




