Ⅰ 2-5 +2.5
全体の骨格は略定まっています。唯、肉付けが全然追い付いていない状態です。
嘗て無い突き抜けた喜びと、「今、自分は生きている」という圧倒的な生の実感、そして存在意義――其れは蒼い霹靂ーー
此の時、貴教は確信した。
「俺には音楽しかない」。
其れ迄は絵を描いたりはしていたが、ごくアバウトに「将来“何か”が出来たらいいな」位に考えていただけだった。其れが此の時確定したのである。
「俺には音楽しかない」と。
誰だってそうだろう。「他人と違っていたい」って。誰もが皆何処かでそう想っている。だけどどうすれば良いのか、何をすれば良いのか、どう表現すれば良いのかわからないだけで。だけど、貴教にはわかったのである。見つけたのである。
“何か”を。
こうして、貴教は本当の意味で音楽に出会い、歌に出会った――
空手の大会で勝つといつもじいちゃんが褒めてくれた。じいちゃんがいなくなって其れが無くなった。「次、褒めてもらいる手段はこれなのか!」――其れが音楽だった。「じゃあ、褒めてもらえるためには何をすべきか」という事に貪欲となり、やがて「歌がうまくなるためにはどうすればいいのか」に変わった。
もう夢中である。
他は何も考えられなくなった。
「歌だけあればいい」。
最早、高校に在籍している事すら無意味となった。寧ろ、「夢を追うには差し障りにしかならない」と、想った。
「ここにいたら、何も始まらない」。
だから、貴教は故郷を後にした。
2・5
大〇倍達は修行で山に籠るに当たり、半端な気持ちで山を下りられぬ様、町で人と会う事を恥ずかしく感じる様に、片方の眉を剃り落として臨んだというが、故郷を後にした時の貴教の気持ちというのは、或いは此れに近かったのかもしれない。ただ、貴教はビジュアル系だった為、片方の眉毛剃り落そうにも、「ああ。俺、眉毛どっちも殆どないわ」なのであったのだが。眉毛が生える迄、羞恥で到底人と会う事等考えられられなかった大〇倍達と、ばっちりメイクをして勿論しっかり眉毛も描くのが前提で眉毛が無い貴教――求道者の二人ではあるが、其処は時代というものである。
なので、最終的にどういうふうに終わるかははっきりとわかっています。唯、いつ終わるれるかは全くわかりません。書くのが遅いですし、『ささやかな日常』で書いた通り、今は底は脱していますが、相変わらず健康に問題を抱えていますし。
暖かい目で見守って戴けますと有り難いです。
Ⅰの3予備審問編(仮)へ続く。




