また
ロウとの戦闘が始まってから優に四半刻は経過した。
俺は錬金術を使い、広間の床から壁、天井に至るまでこの広間にあるありとあらゆる物を利用してロウを追い詰め、ロウは常に【全身強化】を体に施すことによって移動速度を上げ、ダメージを軽減し、初級魔術から特急魔術までありとあらゆる魔術を使って俺の攻撃に応戦した。
四半刻にも及ぶ長時間戦闘。
ここまで長引いているのは決して互いの実力が拮抗しているわけではない。
ロウは先程からこちらに攻撃しては来ている。
けれど、ロウの攻撃はどれも本気の攻撃じゃない。
雑に狙っていて攻撃を当てる気がまるで感じられないし、たとえ当たったとしても殺さないように威力を加減している。
先程から相手の身動きを奪う拘束系の魔術を多用してきていることからロウには俺を殺す気が微塵もないのだろう。
未だに腰に携えている剣すら引き抜いていないのがいい証拠だ。
また、今回も――
「……………………ダメか……」
下唇を噛み、口元から血が流れる。
「リアン!頼むから!お願いだからやめてくれ!僕は――!」
相変わらずのロウの説得の叫びを無視して、ロウの周囲に無数の錬成陣を生成した。
「なっ!?」
ロウは空中。
三百六十度、円形に隙間なく無数の錬成陣を配置して取り囲んだ。
もう、ロウは逃げられない。
「またな、親友……」
「リアン……ッ!!!」
次の瞬間、無数の錬成陣が同時に発光し、氷の槍を錬成。
円形に配置された錬成陣の中心にいたロウは悲鳴をあげることもなく、一瞬で全身を貫かれる。
錬成陣の光が散り、中にいたロウの体は力なく地面に墜落した。
【氷華】――絶対零度に限りなく近い無数の氷柱に貫かれることにより全身が凍結し、対象は血を流すこともなく瞬時に絶命する。
俺が考案した俺だけが使える必殺技。
この技なら全身の痛覚を麻痺させられるので、痛みもほとんど感じさせずにロウを一瞬で楽にしてやれる。
地面に倒れているロウに歩み寄り、息をしていないのを確認する。
瞳孔の開いた瞳を閉じさせ、冷たい体を仰向けにして綺麗に寝かせた。
「……」
これで十回目……。
今回もダメだった……。
ロウが絶命したことで視界――いや、世界そのものが歪み、次第に意識が薄れていく。
きっと、次は…………次こそは――。
次の瞬間、俺の意識は完全に消えた。




