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幸せ。
二十年前の師走のあの日の夜、俺は人間の赤子を拾った。
その人間の赤子は襤褸の着れ屑だけをその身に纏い、ただ、泣いていた。
俺が拾わねば俺が救わねば散る命・・・。
そう思った。
だがどうだ?
あの日、実際に拾われ、救われたのは俺だった。
俺は人間の赤子に命を拾われ、救われた。
全く、本当にことはどう転ぶかわからないものだ。
「雨月様・・・」
「ん? どうした? 雪」
雪のその呼び掛けに雨月は無意識のうちに笑んでいた。
ここまで変えられるとは・・・。
そう思うとなお笑えた。
「僕は捨てられました。けれど、僕は幸せです」
雪はそう言ってにこりと笑った。




