61/65
底知れず。
流石は小料理屋の店主が認めただけの男ではある・・・。
この男はそこいらの妖よりもよっぽど質が悪い・・・。
下手を打てば格上の妖である俺でさえも首を取られかねない危ない男だ。
「雪には雪の生きる道がある。俺がどうこう言うべきことではあるまい」
俺はそう言ってその男・・・高杉の目を凝視した。
クスクス・・・。
高杉が笑った。
本当にこの男は質が悪い。
俺のことを妖と知りながら高杉は俺を挑発し、笑う。
それだけならまだしも小料理屋の店主にも訳隔たりなく接する。
俺でさえも憚ることの多い相手なのに・・・だ。
「そうかい。そいじゃ雪が望むなら俺が剣術なんかを教えてやるよ」
高杉のその申し出に俺は瞬いた。
本当に何を考えているのかわからない男だ・・・。
そこがまた底知れず恐ろしい・・・。




