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あの時の答え。
またいつの間にかあの人間の赤子と共に十年と言う月日を共にした。
拾った時はただ泣くばかりだった人間の赤子がいつの間にか自分よりも大きくなり二十歳の人間の大人へとなった・・・。
全く、時の流れとは可笑しなものだ・・・。
雨月は心の内でそう呟き、楽しそうに鼻唄を歌いながら自分の後を付いて来ている雪をチラリと振り返り、その鼻唄にそっと耳を傾けた。
「雨月様・・・」
雪は唐突に鼻唄を止めると小さな声で雨月を呼び止めた。
雪のその呼び止めに雨月は返事なくその場に立ち止まり、ゆっくりと後ろにいる雪を振り返った。
雨月が振り返り、見たものは地面に刀を置き、片膝を地について深く頭を下げている雪の姿だった。
嗚呼。
あの時の答えが出たのか・・・。
雨月は静かに雪の言葉を待った。