まだまだだ。
「刀を抜いたなら余計なことなど考えるな。馬鹿者」
雨月は吐き捨てるようにそう言うと青年のその首筋から刃を退け、意地悪く微笑んだ。
青年はそれに対し、苦い笑みを滲ませ『はい』と返事を返して小さな溜め息を吐き出した。
やっぱり僕はまだまだだ・・・。
そう思うと同時に青年は雨月に頭をぐしゃぐしゃと撫でられ、キョトンとさせられた。
「お前の太刀筋に問題はない。問題は気が反れることだ」
雨月のその言葉に青年はコクリと頷き、くすぐったそうに微笑んだ。
それを見て今度は雨月がキョトンとさせられた。
青年はそんな雨月を真っ直ぐに見つめ見ると今度はニコリと笑んで弾き飛ばされた愛刀の回収へと取りかかった。
「雨月様・・・いつの間にか僕よりも背が低くなられましたね」
青年のその言葉に雨月は眉をピクリと動かし、地面に突き刺さった刀を引き抜こうとしている青年を凝視した。
「・・・おい。それは俺に対する嫌味か? 雪」
雨月に雪と呼ばれたその青年は『まさか』と言いつつもクスクスと笑い、地面に突き刺さった刀を力任せに引き抜き、刀身に付いた土を拭い、それを鞘へと納めて少し不機嫌気な雨月へと駆け寄った。
「身体だけでなく態度まででかくなったな。昔のお前は可愛かったが・・・」
雨月はそう言うと大きな溜め息をわざとらしく吐き出し、ゆっくりと歩きだした。
雨月のその言葉に雪は『はははっ』と笑い、悪びれる様子もなく『すみません』と呟いた。




