前へ目次 次へ PR 36/65 鳥居 雪《せつ》は店主に言われた通りに目を閉じ、朽ちかけた鳥居を潜った。 すると辺りの様子は一瞬のうちに姿を変えていた。 辺りの木々は全て枯れ果て、ぬかるむ地面は真っ赤な曼珠沙華《まんじゅしゃげ》の花で埋め尽くされていた。 曼珠沙華《まんじゅしゃげ》のその赤色はまるで滴り落ちる鮮血のようで雪《せつ》はそのおぞましい血溜まりの中に捕らわれているようなそんな錯覚に襲われた。 「・・・此処は・・・一体、何処なんだろう?」 雪《せつ》はひとりごちり、ゆっくりと朽ちかけた鳥居を背に歩き出した。