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他人の前世が見えるだけの外れスキル持ちと、バカにされ続けた俺~これからチートスキルに覚醒する転生者をスカウトしまくっていたら、いつの間にかヤバい国家ができてしまった件   作者: 青頼花
大国の底辺転生者

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第4話<雑魚スキル持ちのクラム>

 ふいにレージュが城をみやると眉間にしわを寄せた。

 何があったのかとクラムは注意深く城を眺めるが、こんな離れた場所からでは、様子など見えるはずもない。

 ただ、ざわめくものを感じた。


「クラムよ、掴まれ」

「ああ」


 一瞬で世界が切り替わる。目前には人だかり。見知った顔ぶれも多数。

 皆、傭兵である。だいたいがクラムと同じく転生者だ。


「あ! こっち来いよ!」 

「何があったんだ」


 城の門前に集まった面々はある一点に集中している。

 

「あ?」


 片方は大男の騎士ダグで、もう片方はクラムと仲の良い小柄な男”キーン”だった。

 ダグはクラムと同じ転生者であるが戦力として重宝されるスキル“怪力”を持つため、聖騎士アルスの指揮のもとで戦う騎士の地位についていた。転生者はこの世界で女神の加護を受けられない代わりに、スキルを持てる場合がある。だいたいが心身ともに酷使する能力である。

 ダグは怒鳴り声をあげてキーンに今にも斬りかかろうとしている。

 咄嗟にクラムは二人の間に割って入った。


「やめろ!」

「く、クラム」

「クラム貴様! 底辺の転生者のくせに俺の邪魔をするか!?」

「はん? お前だって大したスキル持ちじゃねえだろ? 転生前は斧を振り回すのが得意だっただけの癖に」

「ふざけるなあああっ!! ただ前世が見えるだけの雑魚スキル持ちが!! 女のおかげででけえ面しやがってっ!!」

「自国の姫を女よばわりか、騎士の癖に忠誠心もなんもないのか?」

「だまれ!!」


 クラムは静止する友人の声を無視して自分の剣を抜いた。

 怒号やら野次馬の絶叫が空気を震わせていく。なぜこんなにもイキり立っているのかなどどうでもいい。

 どうせ、たまった不満の憂さ晴らしだろう。この騎士は共に戦う相手の名前も覚えていない屑野郎だ。

 

 ——集中しろ。


 クラムのスキル“過去視”は確かに転生者の過去、前世を見ることしかできなかった。


 今までは。


 ——前世を思い出したら、相手の能力の全てが視えるようになった。しかも。


 剣を振り上げで襲い掛かってくるダグの動きが遅く見える。クラムはスキルを使っている間、相手の動きを遅くとらえつつ、前世、過去を知って、なぜその力をもち、スキルとして行使できるのかを、瞬時に理解できるようになった。

 ダグの転生前はきこりだった。貧しい山奥の農村。斧を振り回して大木を切り倒すが、そんな生活が幼いころから老人になるまで続いたため、だんだんと大木だけでなく猛獣相手に振り回して嬲り殺すことに快感を覚えていった。

 

 ——そうか!


「ぐあアアッ!?」


 ダグが苦悶の声を上げる。気づけばクラムは無言で大男を投げ飛ばしていた。奴の剣を瞬時に奪って武器にしたのだ。


「は?」


 その声はクラムに助けてもらったキーンのものである。

 尻もちをついてクラムを凝視した。

 周囲に群がっている傭兵たちもみな静まり返ってきょとんとしていた。

 

 クラムは肩をすくめると切っ先を地面に突き立ててレージュを呼んだ。


「レージュ! 頼む!」

「うむ。とりあえず撤退じゃな」

「ふざけるなあああ!! テメエの力は女神の加護なんかじぇねえ!! 呪いだろうが!! 聖騎士殿が言ってたぞ!!」

「は?」


 気絶したと思っていたダグが鼻血を吹き出しつつ、顔をあげて吐き捨てた。

 クラムはレージュに腕を掴まれながら笑う。


「だってよ。あの炎は女神様が俺を呪いたくて使ったんじゃないか」

「ほお~、そうかも知れぬのお~」


 レージュは瞳を細めてケラケラ嗤った。


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