天才に間違った力を与えるから、道を間違う・・・そう言う事もあるのです。
特定個人に対する殺意の無い罠、善良な人間に薬・・熱冷ましと吹き込んで飲ませる死なない程度の病の元、村人を全員巻き込む自然災害のような罠、なんだって出来るんです。
(・・・世界を停滞させる病をバラ撒く・・・まるで大陸風邪のような罠をね・・)
そのお陰で街中・国中・世界中の人間がマスクを着けるのですから・・
死のノートの天敵というべきでしょうか?
「街中全員が顔を隠すなんて!オレはキラーだ!異世界の神になる存在だ!
レム!おれはこんな所で終わる訳にはいかないんだ!」
「・・知らん、お前はミサを殺さなかった・・だから少しだけノートを貸してやっただけだ」
フフ・・フフーフフフーーーフーーー・・ハァ・・
そうだ、ボクがキラーだ・・新世界の神だ。
今の世界はキラーが法であり・・・キラーが秩序を守っている・・最早・・ボクが正義・・希望・・
この世界・・本当にそれでいいのか。戦争は無くなり・・世界の犯罪は七割減少した。・・・しかし、世の中はまだ腐っている・・・腐った人間が多すぎる。
誰かがやらなければならない!ボクがノートを手にした時・・そう思った。
殺るしか無い!・・いや、ボクにしか出来ない!
他の者に出来たか!ここまで出来たか!ここから出来るか!
・・・そうだ・・新世界を作らねば・・・ 僕しか・・いない・・
「なんでキミ・・荒ぶる鷹・ポッキーダンス?のポーズをしてるの?」
「お前!聞いていたのか!僕は新世界の!」
「でも・・・キミは異世界の神にはなれないよ、結局・・キミは
ノートの力に頼り過ぎたのです・・何度も何度も何度も何度も何度も・・・・そんなに繰り返していたら・・
いずれは誰かにバレるって、なんで考えられなかったんですか?」
「切り札は複数持て・・切り札を使う時は、もう1枚の切り札を伏せておくべきだ。そんな事・・ギャンブラーでは当たり前ですよ?」
・・・・・
「と言う事だ、キラー・・いや月・・お前の負けだ・・ノートは返して貰うぞ」
白い死神がキラーのノートを摘まみ上げ、キラーを見下ろす。
「僕を殺すのか」
(・・・それは・・イヤだな)さて、どうやって丸め込みましょうか。
そんな事を考えていると白い死神はノートを開き、つまらない物を見るような顔をして・・ノートを閉じた。
「アイツはノートの所有権をお前に預けた、だから最後には飽きて殺す事になった。私は少しの間貸しただけだ、所有権は私にある。
私が去れば、月・・お前の中からノートの記憶も・・死神の記憶も消える・・」
白い翼はコウモリのように開き、数度羽ばたくとふわりと浮き上がる。
それは冷たい冬の、氷りのように薄くキラキラと光り、空に消えて行く。
「??・・僕は・・どうしてここに?・・ここはどこだ?・・!バケモノ!」
不意に月の表情が変り、真面目な青年の顔を見せた。これが全てを忘れるって事でしょうか・・結局彼もノートに人生を振り回された一人に過ぎないのではないでしょうか。
「・・ええ私はバケモノですよ・月・・くん?今は少し混乱しているでしょうが、
事実だけ伝えます」
『キミは異世界転生してしまったんです』よ。
簡単には受け止め切れないでしょうが、事実なんです。
「そんな・・母さんは、それに妹だって・・」
「異世界転生者は、みんな突然連れて来られるんですよ」あなただけでは無い。
「そうか・・異世界か・・はぁ・・そうか・・
父さん達には悪いけど、少しスッキリした気分だ」
警察庁で早く出世するためだけの勉強、偉くなる為だけの競争、ヒトより上に立つためだけの受験、そんな物に少しだけ解らなくなって来てたんだと言う。
「警視になって、偉くなるだけで、はたしてこの国を良くできるのか。犯罪を無くし、暴力に泣く人を減らせるのだろうか・・解らなくなってたんだ」
・・・彼の本質は、人々のためだった。手を汚す事もいとわない強引さは、早くこの世界から犯罪を無くそうとする焦りだったのでしょう。
世界を変える、新世界を作る。元々そこに善悪は無かったかもしれません。
「この異世界は力こそ全ての世界です、法も貴族や王族・一部の権力者のための物、大丈夫ですか?月、キミは生きて行けますか?」
ハハッ・・「バケモノなのに、優しいんだな・・なんだか懐かしいような・・昔にもバケモノと一緒に居たような気がするよ・・・そうだな、先ずは世界を知るために勉強するさ、勉強は得意なんだ」そう彼は言った。
「・・・餞別[せんべつ]だ、なには無くても金はいる。偉くなったら・・困っているヤツに返してやってくれ」
・・・多分ノートの、[死ぬ前の行動を操れる]力で多少の蓄えはあるだろうけど、その蓄えの場所の記憶とかを失っていたら困りますし。
それにね・・・多分道を間違えたとは思いますが、結構好きなんですよ。真面目な人間は。無一文で放り出すには勿体ない。
「それじゃぁ・・おれはこいつがまた悪人にならねぇように見張ってるさ。
ああ、[日記]な、オレの[逮捕日記]は犯罪者の行動が先読み出来る程度の物なんだ。
つまりは・・そんなもん、刑事の感で十分事足りる。だからいらねぇんだよ・・
お前が生き残ったらでいい、アイツの・・娘の病気をなんとかしてくれ」
寂しそうな顔で男が笑う、彼は月が悪人にならないように見守り、この町で探偵のような事をしていくと言う。
──────それから二十年後、この町・この国に鉄血宰相と呼ばれる男が誕生する。彼は法を守り・犯罪を減らし・周囲を囲む国々と条約を結び、たとえ種族が異なっていても、国家の法を守るなら受け入れる。
そして、この国の誕生より最も栄えた時代を作った。
『正しく法を作り・正しく法を守る・法とは約束、国民が法を守るから、他国もこの国を信じて条約を守ってくれるのだ』と言う。
そして新たな商売、新たな国民のための法律、犯罪者のいない新世界を作った。
若い時は清濁合わせ持つ事の出来なかったが、彼の隣で、本当の悪を許さず。
それでも大人の経験を持ち、助言する、声の渋い男が常にいたという。
どうでしょうか?




