ロメ雄、気が付けば泥沼!敗北を知りたい奴はオレに続け!
明るく広い店内は、白い大理石の床と黒皮のソファー。
「つくづく、有る所にはあるんやなぁ」
天井を見上げる犬の目に写る、宝石のようなシャンデリア。昼間というのに煙の出ない
ロウソクで光りがゆれている。
「ここからは慎重に、特に犬がしゃべると騒ぎになりますから」
見た目は美少女に抱えられた不細工なペットの犬、そんなポジションです。
(犬が喜ぶのは・・・まぁわかります、が屍食鬼が納得してくれるとは思いませんでした)
土下座したかいはあった。
「お客様・・本日はどんなご用で?」
やたら四角い顔に黒いサングラス、黒スーツの男が声を掛けて来る。
当然私の顔も、三角に近い顔のラバーマスクで変装していますが?
「・・出来るだけ高リスクでハイリターンな勝負をしに来た。信用取引・先物・FX
ハイ&ロウ。今一番熱いヤツはどれだ?」
「ご冗談を・・私共はそんなギャンブルをしているのではありませんよ・・
【全てはお客様の自己責任】ですから」フフフ・・
株式投資は自己責任、だが手数料はしっかりいただく。全く他人が損しようと得しようと
儲けを作り出すヤツらがなにを【自己責任】って言いますかね。
「私も冗談だ、信用取引でレバレッジは100倍の投資をしたい」
「それだと・・最初に入金が必要になりますが・・」
ロメ雄は手持ちの金貨300を預け、全額投資出来そうな株式を探す。
隣では屍食鬼が、ロメ雄が選ぶ銘柄の度に首を振る。
(どれだ・・・どれで勝負する)
時間は有限、市場が始まる寸前には銘柄を決めないと計画が狂う。
そして・・・ついにうなずいた!
「コレだ、コレを買えるだけ買え!おれはこいつで勝負する!」
その瞬間、犬が店を飛び出す!
(これでいい、これで大丈夫だ・・と思う・・多分・・きっと・・おおよそ・・)
時間は昼過ぎ、ロメ雄の目の前には紙くずとかした株券が置かれ、木椅子の向こうではオーガのような男が座っている。
「では・・そろそろあきらめて書類に名前と拇印をしろ。もう時間だ、
明日までに決済出来ないだろ?たった五〇年の鉱山奴隷です、楽しいですよ?
毎日穴掘りできるんだ」
ロメ雄は負けた、買った株は粉飾決算と脱税・倒産はしないだろうが、
明日には管理・整理に回されるだろう。
「フフフッ、朝は優良銘柄でも・・一つのうわさと国の調査で整理株、恐ろしいものですねぇ・・
株の世界は」朝に銘柄を受け付けた男が嫌な顔で笑う。
(それで、客を奴隷にしてでも回収するお前らの方が恐いと思いますが)
「あと少しだけ、せめてギリギリまでまって下さい!最後には・・少しくらい持ち直すかもしれないじゃないですか。・・そうすれば・・50年以下で済む・・でしょう」
足元が泥沼のように沈む感覚、今この場に座っていてもなんの意味も無いことはわかっている、
それでも右往左往する事も出来ない。
ケッ「往生際が悪いヤツだ!無理だよ無理、ここまで落ちたらあとは皆同じだ!
どうせ50年も生きられねぇよ!」
「!待ちなさい、ソレは言わないで下さいといつも言って入るでしょう。こんな所で泣き叫び・
抵抗されても困るんですから」フフフッ。
「弱者の血を吸う蛇!お前らは人の足元を這い回る毒蛇だ!」
「お~お~格好いい事言ってくれますね、では地下労働の良い度を」
(まだか・無理なのか?無理だったのか?やっぱり駄目だったか)
信用されなかった、信用出来なかったか。
『ロメ雄気が付けば泥沼!” 沈む底なし沼!体の半分が沈んでいる死に体!
まだ目の前に藁が落とされるを待っている愚か者!』
(そうだよな、しょせん初対面の人間に頼むべきじゃなかっった)
オレは負けたんだ・・・クソッ・・(ちがうな、怨むなんて間違いだ)
オレの見通しが悪かった。人を信じたオレも、オレを信じてくれるかどうかまでは
わからなかったんだ。
(ソンビだし、そう簡単に死なないし、なんとか逃げ出せす隙があれば逃げられるだろうし・・それに・・それに・・)
指は筆を取り、俯く[うつむく]ままに契約書にインクが落ちる。
「ま・・待って・・下さい・・お・お金・・お金・・」
野球帽の少女が胸に袋を抱え、扉を開く。その脚元には犬が。
「どう言う事ですか?貴女は?」
「え?・・あ・・えっと・・お金・・お金です・・」
正面に立つ男に怯え少女が袋を見せる、そこには金貨が詰まり男の目が怯む。
「ここからは私が説明を、彼女は私の知り合いです。私が勝負に負けた時にはお金を用意してくれるよう頼んであったんですよ?
お~恐い恐い、久し振りにドキドキさせて頂きました、こんな脅され方も、人生ではしておく物ですね」
私は敢えて[あえて]おどけたように首を傾げ、手の平を肩まで持ち上げる。
・・・・「脅さないで下さいよ、お客様。恐い思いをしたのはこちらですよお客様」[お客様]の部分を協調して受付の男が目を細める。
(ここで彼女を疑わないのは・・さすがプロって事なのでしょうね)
「では・・お客様の損失、金貨30000枚。補填いただけますか?」
コクコクとうなずく少女は袋をテーブルに置く。
重く置かれた金貨は山積み、1枚1枚が金の硬質音を上げて心地よい。
袋の中には金貨55000枚、半分以上が持って行かれたが・・
「では!またのご来店をお待ちしています!」
綺麗な、そして完璧な六〇度のお辞儀だった。
「ぷはぁぁ・・死ぬかと思いました・・」体は死なないですが、精神と魂がすり減った気がします。
「ありがとう!キミが信じてくれたお陰です!」
「こっちこそ、ごめんなさい・・本当はもっと用意できたのに・・」
「欲をかいては駄目です、犬も良く手伝ってくれました!感謝します!」
「いいて・・元はお前の金やからな、それに持ち逃げなんかしたら呪って出るやろ?」「・・その辺は、まあ・・私の油断、甘さとしてあきらめますよ・・それに信じていましたからね・・・最後の少しは、疑いましたが」
「ケッ、オレも一瞬だけ持ち逃げを考えたから、おあいこや。いいなや!」




