私は土下座で身を守る!なんで?なんで私だけがこんな目に?
「それで、こうやって逃回ってるんやな?」
「逃回ってるなんて人聞きが悪い、向こうはこっちの居場所や行動がわかるんです。
ならこちらも、ある程度行動予測が出来る場所で待ち構える方が良いです」
それに、戦わないですむなら、それが一番です。どこかの誰かどうしが潰し合ってくれたら楽じゃないですか。
真剣勝負で最も良いのは戦わずに勝つこと、敵を知り己を知れば100戦危うからずです。
どうしても戦う必要性があるときは、不安定要素をできる限り取り除くこと。
、
少なくとも、こちらだけ行動予測が出来ない事は避けたい。
正面から真っ向勝負に持ち込めば、未来予測なんて関係ないですから。
「そうでしょう?そちらの方?」
金属棍棒と胸当てと頭には、つばの付いた布兜。
(野球帽とでも呼称しましょうか)
「・・お前がタイラー・J・ロメヲか?」
私の名前も有名になった物ですね、賞金首にでもなりましたか。
「そうです、ヒトは私をJの血族とか・・・!」
肩に構えた金属バットをフルスイングで振り回す、(こいつ!バットの使い方を熟知している!)
何者?
傷害事件でバットを使われるニュースが出たら、打ち切りにされてしまうだろ!
「頭をホームランですか、インコース高めを振ってくる!そちらは賞金稼ぎですか」
「違う!コレは復讐だ!私の[復讐日記]には、未来で私が受ける攻撃が記入される
お前達は私の腹を殴り、頭を蹴飛ばし、顔の殴り、腕を折り、指を砕き・・私を殺す。
その前に私はお前を、お前の未来を奪う!」
スイカ割りのようにバットが頭に落ちてくる、動きが早くないので避ける事は出来ますが・・・
なんてヒドイ事をするんでしょう私は。
(・未来・・違いますね。今、この戦いで腹を殴り頭を蹴飛ばし・・あちらの言う通りにすれば
私はあちらを殺すのでしょうか、多分このまま腹を殴り上げば・・)
ですが、この私が・・ゾンビのであるこの私が、たかがバットで襲われたくらいで
他人を殺めるとお思いですか?・・・否!断じて否である!
自己防衛で他人の命を奪うほど、命を軽んじてはいない!
グイン@!首を縮め頭を体にめり込ませ頭部ガード!
「な?なんだそれは!」亀のように頭を隠す私に向かって声がする。
「ギア=セカンド・・ソンビの力を使って首の関節を曲げ、体を自由に縮めたりするのです・・」
どうです?いきなりのパワーアップに驚いて頂けたでしょうか?
(・・ただ、顔も胸の中にしまわれてしまうので前が見えない欠点はありますが)
この恐ろしい姿とは対象的に、前が見えないのでまともに動けない。
手足の生えた、肉サンドバッグなんですが。うお!
「容赦無しですか!そんなに強打線で打たれたら、
ゾンビ園球場で風船を上げてしまうじゃないですか!」
腕・胸・肩・顔が出ていたら、目を覆いたくなるほどの打撃!
(ですが、知らないのですね?ゾンビは頭を打たれないと死なないという事を)
しかしこのまま手足を曲げて守りを固めていても、防戦一方では話にならないね。
あの力を使うにしても・・危険すぎる。
[ギア=サード]ゾンビの体に空気を送り込み、自らゾンビ風船になり自爆!
爆発四散してゾンビウイルスを撒き散らすはずですが。
(さすがに、自爆して生き残れるか自信がないです)
・・・誰だ、私を自爆させようとしている奴は!
なら、人類の・・極東の最終防御術!
私は両腕を真っ直ぐ上に上げ、直立!相手が驚いて硬直している間にゆっくりと
膝を曲げ・地面に両膝を着き、指先まで伸ばした両の手・手の平を地面に着け、
額を地面に密着させる。
「な!・・なんやアレは!・・ロメ雄のヤツ、完璧な土下座や!
いつの間にあんなに完璧な土下座を身に付けよったんや!」
Xトリーム土下座が[動の土下座]であるならば、この美しく静かな土下座は[静]
美しい仏像や社殿と同様に、、、、って説明している所だろう!なんで殴る!
「阿呆やな、アイツ」
(そうですよ、背中は人体で最も防御に秀でていると聞きます・・・後頭部は駄目!)
「何ですか!あなたは!私が土下座している所でしょう!ちゃんと見なさいよ!」
土下座している相手に攻撃する行為は、紳士の行為を逸脱[いつだつ]している。
相手は降伏しているんです、死体蹴りは自分の正当性を無くす行為ですよ?
ゆえに最終防御、だれも・たとえ将棋の途中だろうと・ボクシング・剣道であろうと、
負けを認めている相手を攻撃できない。
(海皇は心臓を止める事で護身の最終型を見せましたが、私は土下座で身を守る!)
「そう思っていた頃が私にもありました」
犬が!犬のヤツが、半笑いで突っ込む声がしますよ。後で尻に棒を突っ込んでやる!
殴られ殴られ体がバウンドマン!このままでは肉の塊にされてしまう。
人肉饅頭にされてしまうよ!
何故だ、この防御が効かない!
「きみね!いくら金属バットでも、そう何度も殴ったら死傷事故だよ?
バットの使いかた間違えてるよ?」
「いまさらかい!」そんな声は聞き流し、いいかげん殴り疲れて動きの落ちたバットを
真剣白刃取り・・・バット?
息の上がった野球帽は、怯えたように飛び退き、強い目で私をにらむ。
私そんなに怨まれるような事しましたか?
「バッ!バケモノめ!なんで、なんで私だけこんな目に」
それはまるで追い詰められた動物の咆哮、なんで?殴られてるの私なんですが。




