ゾンビとレトロな駄菓子屋と。
午後から図書館か本屋に寄りたいと希望を出す、流石[河童の横町]本屋は無数にあるが図書館は無い。
そもそも紙は水に弱く、湿度の高い河童の国では本は貴重だった。
入店にすら高い金が必要で、買うとなればそれなりの設備の持つ河童しか買わない。
[除湿機]と[空気清浄機]を兼ねた特別の部屋で読書するのは、特別の地位にいる者か、趣味に走った『ひょうげもの』だけ。
「まぁ少し寄り道した後は、元々白衣河童の所に案内するつもりでしたし」
丁度よい、との事で、男3人と鶏1匹でウインドーショッピングという何とも締らない連れ立になっていた。
いつも並ぶ書店はガラスのケースに本を飾り、宝石かドレスか金管楽器かと言うように道行きの河童達を引き付けている。
「今の情報はほとんど音と映像ですから、紙媒体というのは貴重なんですよ」
ではどのように記録の保存をしているのかと言うと、「河童ですからね、細かい事は気にしないのです。それと元々河童という種族は記憶力がいいんです。
河童の恨み数千年とも言ますし」
カッパは大事な事は忘れず、細かい事は気にしない種族らしい。
「僕も昔はあんな子供だったんです」
白衣河童が見る先に、ショウウィンドーに張り付く様に見ている子供河童がいる。少し痩せてそれでもじっと本を眺めていた。
白衣河童は子供河童と少し話した後、ポケットから小さな一冊の小説を取り出した。
ソレを子供河童に与えてから戻ってきた。
「いいですか?紙の本は貴重品なんでしょう」
ロメ雄は、白衣河童が肌身離さず持っていた小説が、その値段以上にこの河童には大切な物だと感じていた。
装丁は張り替えて有ったが、何度も読み返したように汚れ傷み、それでも大切にされている物なのだと。
「ええ、あんなボロの古本でも売ればそれなりの金にはなりますから」
だが、少年河童はその本を売る事はついに無く、のちに誰もが知る小説をいくつも生み出し、河童史に残る作家になる事はずっと後の話・・・・
・・・マラクス、偉大な伯爵にして総裁、雄牛の姿で現れ天文学と基礎教養学を教え精通させる30の軍団の支配者。血を好むモロク悪魔とも同一視される。
「どうしたのひよこちゃん」魔神の解説を急に始めた鶏は、子供河童の去って行く方向を見つめている。
「マラクスの魔本、こんな所に堕ちていたとは。本来血を好む魔神であるが、その権能の一端ゆえに欲能も薄れたか」コッココッ・・・
白衣河童の持っていた小説はただの本ではあったが、その中に秘められた力は、
持つ者の知識を高め成長させる魔本だと言う。
反面で凶暴性を増し、血の生け贄を求めるようになるのだが、河童に所持される事、水中にあると言う事で知識だけを高める書物になっているとか。
「それじゃぁあの子供も、こっちの白衣河童もその知識と成功は・・」
コケッ?「悪魔の力も影響ある」
・・・・良い話しで終わらせないのは、ひよこちゃんクオリティー
そこは譲れない所のようだ。
食後はお菓子!私達はかわら屋根の古い二階立・ガラス戸引き・入り口のクーラーケース、そう駄菓子屋にやって来たんだ!
キョウタイの[ミスタードリラー]今も現役の[**ファイターⅡターボ・ダッシュ]
五十猫だ!後でやろうかな。
「水中の[河童の横町]でもアイスは売っているんですね」
「ええ、二つに分けれるソーダ棒アイスとか、ぱ〇ぴことか、ガリガリする君とか、子供達はよく食べてますねぇ、懐かしい」
「こんにちはー」ガリガリと油の差していない戸を開く。
少し暗い店内を物色した、買い物をするのに挨拶の必要な場所は駄菓子屋くらい。
ベーゴマ・スーパーボール。
「おっ!くじ引きラムネ」一回20円で、手の平より大きいラムネが当たるくじ引き。
おいしい棒とふ菓子、カレーせんべいが海苔の入れ物につまっている。
桜餅12粒入りを買うとひよこちゃんと摘まんだ。
隣では二人の河童がラムネを開けてちびちびと喉を鳴らす。どこか遠い目をしているのは懐かしんでいるからだろうか。
店内の河童は起きているのか寝ているのか、年老いた河童が子供達に飴を選ばせていた。
「僕コレ」「僕はコレ」「私もコレがいいのに」と数人の子供河童達が入れ物から棒付き飴を引っ張り出し小銭を手渡すのを、年寄り河童はにこにこと受け取る。
星形・アレは魚か?海豚に亀・蝶々と蜻蛉、色々な形の飴があるもんだ。
ロメ雄は駄菓子と言えばコレ!スルメイカを1本戴きクチクチと噛む。
外ではひよこちゃんがべしべしと虫を突いていた。・・・・(ああ平和だ)
次回からクライマックスに入りますので・・・なにかが起こります。




