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動き出すいんぼうと『つまらない』話をするゾンビ。

 ロメ雄達が応接室を出ていった後、西田河童の部屋に一人の男がノックを鳴らした。


「外務大臣、失礼いたします」

 眼鏡の男は大量の書類と共に扉を開け、そのまま奥にある西田の執務席にドスンとソレを置いた。


 名前のプレートが倒してあるのは、ロメ雄にソレを見られたく無かったからだ。


「どうでした大臣、アノ男は」

 事務方の大臣補佐である河童は、眼鏡を光らせ西田の顔色を覗う。


 西田河童はただの愛想の良い[河童の横町]組合長では無く、

 河童総理に任命を受けた外務の長である。

 それも選挙の当選回数も10期を超え、堅い地盤を持つ大河童の一人でもあった。


「・・良くも悪くも全く解らん!だが、

 それでも打てる手は出来るだけ多い方がいいに決まっている」


 西田河童の手腕は誰もが認める所、彼が外務を扱う様になってからは数百年河童戦争も

 貿易摩擦も起こっていない、それは彼の物腰の優しさだけのかっぱで無いことは

 だれでも知っている事だ。


 思慮深く、先見のめいが有り、判断力と決断力を持つ男であったからだ。


 そんな彼の目をしても、全く解らない男がロメ雄だった。

 そしてそれは、警戒と同時に興味の対象となっていた。


「出来れば敵対したくはない敵が二つになった・・

 よし!出来るだけ注意をしながらヤツの興味を持つものにも注視しろ!

仲間に引き入れる事が可能ならこっちも胸襟を開く!」


「ではアノ男の付き人はこちらで人選しても?」


「ああ、女程度で転ぶような奴なら話しにも成らん。まかせる!」


 西田河童達もそれなりに大変な政局を迎えている。

外交問題はそれにも増してデリケートな問題なのだ。



「じゃーねぇ~~~~」

 ロメ雄達に用意された部屋から無駄に艶めかしい女性河童達が帰って行く。

 ロメ雄もそれにつられて手を振って送り出した。


(部屋に案内されて、いきなりのハニートラップ?何を焦っているんでしょう?)

 ロメ雄は首をかしげる。


 取りあえずは部屋に上げたものの、黄桜的女性河童の勧める酒はゾンビを酔わす事は無く・・・・いい酒なんだけどね。

 

 古来、猿酒・河童酒・鶴酒・など銘酒と呼ばれる物は動物達が作り・神に捧げた物が多く、神聖で素晴らしい米と水の産物である。


 特に河童の酒は水が命とされ、河童自体酒を嗜む者が多い。


「ドン・と飲まされたけど、ゾンビが酔うわけ無いじゃないか!」


 全く酔わないロメ雄に「旅の疲れを取るため」と称してマッサージを施した河童はロメ雄の体を

つろつろにして残念そうな顔をして帰って行った。


(別にゾンビだから反応しなかった訳じゃないんだからね!)


 私はハニートラップに打ち勝った!。

「虚しい勝利でした・・・・」


 そんなロメ雄を全く無視した隣の部屋では、ひよこちゃんが酒粕[大吟醸]を

突きクックデゥと喉を鳴らしていた。


 彼女もまた、その羽根にローションの輝きを纏わせ防水仕様になっている。

河童のローションは保水力と防水力が強く、ゾンビとの組み合わせは最強に近い。


『コレは良い物だ!』と思わず唸ってしまうほど。


「おやおや・・ローションは気に入ってもらえたようですが、女性は駄目でしたか?」


 ぬるねろの体でひよこちゃんと遊んでいたせいで気が付かなかった。

足音も立てず入って来た男の体術が優れていると思いたい。


 気が付けば姿見の向こうに小柄河童が入り込んでいる。

 眼鏡で表情を隠し、うつむき気味に輪郭をぼやかして年齢を隠しているが、そもそも河童の年齢はロメ雄には解らない。


 だれ?と聞くまでも無い、先程の女性達を送り込んだ者の仲間でしょう。


「う~~~ん、あのくらいの女性が外の人にも有効と考えておりましたが、どうやら違ったようで。どうです?リクエストのほうが御有りでしたらご用意させていただきますが?」にやついて笑う謎のカッパ・・・・カッパ自体が謎なんですが。


「コ「ケッコウです」」ハニートラップはオレの自尊心まで傷付ける可能生がある。決して童貞ゾンビだからでは無い。


「では何か欲しい物は有りませんか?美食でも美酒でも、【金】なんてどうです? 外では貴重なんでしょう?」


 接待係りか贈賄係りなのか知らないけど、露骨に袖の下を渡そうとする小柄河童だ。


しかし、ロメ雄達の目的は[河童の生態調査]である。

 だからといって「流行りのかっぱギャグを一つ」とは言いつらい。

 だから、やはり顔をしかめてしまう。


「美食はいいのよ、私・鶏だから」ひよこちゃんは先程手に入れた[大吟醸]を突き

クックドゥウドゥとご機嫌だ。


 ゾンビ鶏でも味覚があるのだろうか?

今の私には新鮮な肉しか美味しいと思わない!(にく・・・うま・・)


「「お前の命だ!」とか冗談は止めて下さいねぇ、これでも友好的に勤めるように言われているんですから」


 ロメ雄の目が野性のゾンビに戻っていた様だ、反省をせねば。

「かっぱ・・・にく・・すし・・・」!駄目だ駄目だ、かっぱは友達・カッパは友達。


失礼、「物はともかくとして、情報が欲しいです。

・・・文化的というか種族的というか、雑多な世間話でもいいですよ」


・・・・・・


 今度は小柄河童が口をつむぐ。やはり表情は読めないが、温度が変わったように 冷ややかで無表情に徹した態度に変わっている。


「・・つまり・・醜聞とか?にご興味が?」

(このお客さんは、自分達がどのような状況におかれているのか大体理解しているのか?・・一つさぐって見ますか・・)


「そう、つまらない事でもいくつかあればこちらも満足出来ますから・・」

(どんなつまらない冗談でも畳みかければ、話し方しだいで面白くできる。それが

笑いの腕でしょう?)


「はは!まあ今一番の話題と言えばサクラ・カゼ・・モリ・カケですかねぇ」

(とは言えそれはトップの話だ、あんた達には関係ないです、よっと)


「モリだと?それは・・・・・モリ・カケですか・・それは・・上げとも・・」

(急に飯の話し?私らが全くのよそ者だから?それにしても部屋は良い部屋だと思うけど・・買収出来無いからといって一番安い盛りそばか、かけそばか?とは。

 松・竹・梅以外に、サクラなんてあるのでしょうか?

まだ寒い時期ですし、暖かい方がいいなぁ。せめて揚げ玉も入れて欲しいです)


「上げです?・・・しかしそれでは・・」

(やはりモリに強い関心が?しかしそんなモノ[棚上げしてしまえ]って!

無関係者とはいえ強引な、しかしそれでは国民が納得しないのですよ)


「・・たぬき・・」

(たしか揚げ玉の入ったそばを[たぬきそば]っていうんだったけ?)


! !「たぬきですか!・・難しいですなぁ ハハハッ」

(まさか!一国の代表に[たぬき]になれとは!しかし[あの方]にそんな真似・・・・政治屋としても[たぬき]になる事も必要と言いたいのかこいつは!?)


「たぬきは駄目ですか・・でも、そういう小さいのは、うやむやに出来るでしょう?」(どこまで経費を安くしたいんだよ!)


「うやむや・・でもいつかはアレでしょ?」

(細かな事はうやむやにして先延ばしして、やるべき事をやっていれば良いのではと?

たかだか国内の小さな忖度なんぞ、他国も経済も待ってくれないと?

この男どこまで知っているんだ!・・・?いやカマをかけているだけかもしれん!)


「どちらが[キツネ]か、[たぬき]・・[くま]さんですかね?」

(陸上の動物の話しに変えてやれ!)


「それは[たぬき]でしょ」(そばの話しで,なんで[キツネうどん]クマ??)


!・・・・・・・・(ごまかせない、この男よくしている)

「どこでソレを?まさか誰かが?」(まさか余所の沼の河童の差し金か?)


「いやぁ・・その辺で。ん~~んそば屋で」(ソバの話しはそば屋で聞くもんだろ?)


!!「その辺でですか?そばでですか?」

(まさか!このお客さん、私達が気付かない内にこの国に入って調べたとでも言いたいのか?

この国の情報なんぞ、どこにいてもそばで聞いているような物だと?)


「・・・ざるで・・」(じゃあ、もおいいよ。さるそばで)

「やはり[ざる]ですか」くっ(情報はザルのようにもれているのか!?

『情報公開も注意しとけ』とは、全く恐ろしいお客さんだ)・・・・・参りましたよ。


「わかりました、[つまらない話]を沢山知っている男を御紹介しますよ」

 そう言うと小柄河童は頭を下げて部屋から出て行った。


そして晩餐は来なかった。

つまらないコントを混ぜて見ました。・・いつごろ作った話かばれてしまいますね。


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