ゾンビとの混浴はソーシャルディスタンス!
・・・「行ったか?」「駄目です、もう少し様子をみます」
怒り心頭の親分が走って行く姿を瓦礫[がれき]の隙間から覗く犬とゾンビ、
逃げたふりをして道を直角に曲がり、瓦礫の中に体をすべりこませ上からドロをかぶる。
「いいですか、私達は[ポックル]。そう思って気配を消して下さい」
「・・それ、最終的に頭[パックル]されるヤツとちゃうんか?」
・・あっ・・あっ・・一般的には・・水見式・・あっ・あっ・・
「大丈夫、私はゾンビでそっちは犬、そんなヒドイ事には成らないから」という事で
(私はホックル)(私はポックル)(私はポックル)・・・・・
と言う感じで逃げ延びたのです。
「ぎりぎりやったな、あの勢いで追われてたら捕まってたわ」
「そんな事、考えたくもないですよ。それにね、逃げ延びる可能生は高いと読んでいたんですよ」
世の中の強剣士は、方向音痴が多い。これ常識です、テストにでますよ?
体をぬいぬいしながら今後の方針を考える。
「このまま港まで逃げて、船を頂戴する。それしか無いやろ?」
・・確かに、親分の感じからして、殺す事は考えて無い見たいですが。
半殺し7部殺しくらいは許可されている感じでした。
「・・しかし、そうなると。別の竜王を探す必要がありますよ、あの神さまが
「探したけれど見付かりませんでした」で許すとは思えません」
最悪、私の首は[無脳]とか名札を付けられ漬け物石の代わりにされるでしょう。
「ですから・・私としては、竜王を見つけて遠くから投石、怒られ無い程度の攻撃を加え、
ひよこさんの謎ワープで逃亡。「戦いましたが勝てませんでした」なら
ソンビと竜種の力の差を考え無かった上司の責任に出来る・・そう思いませんか?」
勝てない戦いに兵を送るのは、上官が無脳の証拠。さらに、勝てない戦いで兵を殺すのは無脳以下の害悪です。神様はきっと理解してくれるでしょう。
戦場で最悪の敵は、無能上官。
後方勤務で戦場を知らない中央の偉い奴らが、戦場にいる兵士達の死神になるんですよ?
戦場で戦わず逃げるのは許されませんからね、臆病と無脳は違う。
現状で出来る事をして、それでも出来ないなら、仕事を振った上司の責任でしょう?
「・・そやな、とにかく一応はやってみたって[事実]が必要って事もあるわな」
そうなれば、後は、その目標がどこにいるか、ですが。
「多分、アレでしょうね」島の中心にそびえ立つ禍々しい塔。
明らかに生活臭のしない、機械的な直線の建設物。
「わ、置いておき。取りあえず休憩しましょう、いくら死人の国でも腹綿をこぼした泥だらけの
ゾンビがウロウロしていたら目立ちます。」
そして通報されたら、またバトル。
蟹漁師は蟹と戦い漁するのが仕事、漁師どうしが戦ってどうしますか。
「隠れてうろうろしながら、風呂を探しますよ。漁師なら仕事終わりは風呂で汗を流す、
塩と疲れをお湯で流すのは最高のはずですから」
そやな、と二人で隠れながら歩く。犬を先行させ、その後をズリズリとゾンビが行く、
まるで本物の?ゾンビになった気分です。
「おかしい、こっちの方に温泉みたいな匂いがするんやけど」
港を外れ、ひとけの無い方に逃げながら島の奥地へ進んでいる。
「・・湧き水でもいいですから、気にせずに」
「どうした?ゾンビ、弱気やないか。いつもなら「どっちやねん!」とか言う所やないんか」
犬の変な顔が、もっとへんな顔になっている。
「バケモノみたいなのと戦って、ようやく生き延びた・・って所なんです。少しくらい弱気になっても仕方ないでしょう?」
「・・お前・・バケモノがなんじゃい!邪神とか時間神とか死神とだって戦ってきたんやろ!
阿呆か!」
「・・・へーへー、そうでしたね。弱気で生き残れる戦場じゃありません、気持ちは強きで
頭は冷静に・行動は臆病に・作戦は陰湿に、ですよね」
それが生き残る可能生を上げる方法、腸が出過ぎて忘れてました。
さて、敵は竜王。どんなインチキで逃げ延びてやりますか!
「犬!風呂はどこだ!いつまでゾンビを汚れたままにしておくつもりだ!」
「ゾンビ以上に汚れたバケモン、ワシは知らんわ!」
とかやっている間に、周囲は白く蒸気の上がる場所に入り込んだ。
「源泉なら・・お湯の温度は80度前後はある、足元に気を付けろ、蒸気でも肉は焼ける」
そう最近のレンジは蒸気オーブンレンジってのがあるって聞いた。
(マグロは・・どうなんです?)って振り向いたら、あからさまに嫌そうな目をしている。
やはり熱に弱いのでしょうね。
・・???!ハッ!もしや!
「犬、ここからは私にまかせろ。いいですか?」
「ええんか?ワシ蒸気で鼻の利きが悪なってたから、こっちはええけど」
不思議そうな犬を前にマグロを地面に突き立てる・・・バタッ!
尾びれは14時の方向へ。
「良し、14時の方向へ!そっちが源泉です」あとマグロの目玉がキョロキョロと慌てているのは
無視だ!
ぼこっ・ぼこっ・地面から熱湯と蒸気が沸き上がる。大丈夫だ、マグロは頭に抱え汚れた服で包んでいる。
(ふふふ、お湯の気配に嫌がっていましたからね。顔の向いた方の反対が温泉だと推理しましたが、大・正・解!)
「まぐろうさん、ゾンビが入れる程度の風呂場が見付かれば、涼しい所に安置しますので、
がまんがまん。それに熱に対する抵抗力を付けないと、陸は厳しいですよ?」
ゾンビが茹で死体にならない程度の温度の温泉、先に犬が走り出したのを捕まえ体を洗い、
湯に放り込む・・・良し、適温のようだ。
「・・お前・今・ワシを温度計にせんかったか?」
「気のせいでしょう、被害妄想はやめてもらおうか!」
ラバーマスクを外すのも久し振りです・・おお!犬がビビってる!
体を洗い、大きく裂けた体を縫う。小さい傷は何と言うか・・黒く固まって穴をふさぐのですが、
傷が大きいと縫う必要があります。
「お!おまえ!こっち来るならマスクは付けろよ!あと、距離は離せよ!
マンボウや!ソーシャルディスタンスや!」
マンボウ・・蔓延等防止法?まぁ致し方無し、全て大陸肺炎が悪いのだから。
黒猫のいない温泉回。




