と思ったら、ゲゲゲワールド?
「驚いたか新入り、こいつらは・・何と言うか・・蟹漁師に目覚めていない幽霊、
船幽霊ってやつだ。まぁオレ達からすれば、ガキみたいなもんだな」
副船長の二人も柄杓・・を与え、船幽霊達は底の開いた柄杓を手に走ったり柄杓を
かじったりして喜んでいる。
「陸に水揚げした金で、柄杓とか雑貨を土産にするんだ。
!コラ坊主!新入りを脅かすな!」
船の向こうから巨大な・・山のような巨大な波、黒い水の影に浮かぶ二つの明かり、
海・・坊主?ここは・・どこ?私は・・だれ?
「混乱するのも解る・・まあ新入りさんは皆歓迎するものだ・・なぁ・・ジョージさんよ・・」
目を瞑った老人が杖を付き、海の上に立っている。
「海座頭のオヤジ、こいつはジョージじゃねぇぞ?」
「そうか?・・この星の住人はいつも疲れている、ジョージアはそんな人間を応援しているぞ・・」
「・・気にすんなよロメ雄、海座頭のオヤジは自分が宇宙人だと勘違いしているんだよ・・
まぁ良い人だから、ほら、珈琲を貰っとけ」
金属の筒に入った珈琲は・・ほど冷たく、そう・・老人の体温のようだった。
「海の缶を捨てるんじゃ無いぞ・・当然ペットボトルもなぁ~~~」
海座頭は当たり前の事を言って海に沈んでいく、
(なんでしょう。この缶を海に投げたら、目からビームでも出して撃墜しそうなこの感じは・・)
「あの!失礼ですが・・アナタの名前はジョーンズと言うのでは?」
海中に体を沈め首だけになった海座頭の目が赤く光る!・・・
「そいつはいい・・ジョージアをもう1本やろう」
当りが出たらもう1本!宇宙人っぽい海座頭のおじさんに缶コーヒーをもらう。
『・・これがユニバース=コミュニケーションか!凄いなロメ雄!』
この世界の時間を管理していた神さまは、この世界の外・
宇宙の事情には詳しくないようですね・・・私もそれほど詳しくないですが。
蟹と牛を合わせて鬼をくっつけたような魔獣が、荷下ろしされた蜜柑を食べている
「牛鬼様だ、果物と酒が好物なんだがな。海じゃ獲れねぇんでオレ達か仕入れてくるんだ。
敬えば味方になってくれる、海と同じだ。恐れ・うやまい・感謝する、
そうすれば、海の恵みをわけていただける」
最近は海を恐れない漁師が増えたという、奪うだけで感謝もしない、
そんな漁師はきっと海に罰を与えられるのだろう。
(その時、海罰に善良な海人も巻き込まれるだろう・・ですか)
海は善悪の区別無く、諸共に怒り荒ぶる。陸地の人間はそれが解らないから
ヒドイ漁をするのだと。
(まぁ実際私、なにもしてないのにこんな場所に、連れて来られているんですがね!)
荷下ろしを手伝い、青白い船幽霊に囲まれ、牛鬼様が私の持つ箱をじぃぃぃと見ている中、
休み無く働く。
ソンビは疲れない、当然幽霊もですが。実体を保たないと物を運べない[蟹漁師]達とくらべて
効率がいい。
「やっぱ新入りは元気がいい!」こうでなきゃな!とか言われましたが、私・死にたく無い一心
で動いているんです。
(足を止めたら・・死ぬ!だって周りは幽霊ばっかりで・・怪物が!鬼の怪物が獲物を見るような目で見ているんですよ!)
ワタシ・・シッテル・・アレ・・エモノをネラウ・・ケモノの目・・
この世界のヤツらは!ゾンビを食料と勘違いしているヤツらが多すぎる!
「なんや?働きもんやなぁ・・自分、どこの子や?」
西の方の言葉に反応して背後を向いた、そこには白い・・白い頭と顔の男が立っていた。
絶対かかわりたく無い感じの、細い目を三日月のように曲げてわらう男だった。
「・・・」ぷぃ。顔を背けひたすらに荷物を運ぶ。
「なんや愛想の悪い子やねぇ・・なんか隠し事してるんちゃうか?」
顔を背けるロメ雄に回り込み、観察するように顔を近づけてくる。
「やめてあげて下さいよ・・三番隊船長、新人が怯えてるじゃないですか」
我が船長が止めに入ってくれた、・・三番隊?船長?
ロメ雄が乗って来た船は・・五番ですか、13番までは無いと思いますが。
「これはこれは・・5番隊の、軽いおふざけやないですか、冗談・冗談ですって
どぅも・おかぇりなさい。ごくろうさんでしたなぁ」
独特のニュアンス、言葉のリズムがイヌの使う言葉とは少し違う。イヌの顔を見ると表情が硬い、なんで?
二人の船長が話している間、荷物の影でイヌを捕まえた。同郷のヒトなら会話とかいろいろ
コミュニケーションする事もあるでしょう。
「で、イヌ!なんとかして下さい、あの人恐い!」
「知るか!あっちは都人や!こっちは商人、都人の考えなんかわかるか!」
つまり・・公家ですか、なるほど・・ワタシの知る人種とは違うわけです。
貴族・公家は騎士・武士・商人・農民・工人(技術者)とは違う。
言葉と繋がり・権力とプライド・地位で生きる人達だと聞きます。
何も生み出さない・なにかをする必要性も無い・それなのに国の中枢にいる、不思議な職業?
家業の人達。
(それゆえに、言葉や礼儀・作法に厳しいんですが・・)
それとはまた違う・・表情・・感情の読めない・・不気味さがありました。
宮廷や社交界でする権謀術数、その恐ろしさは言葉一つで家が滅ぶと聞きますから、
その精神は怪物・魔物の類いだとも言いますし・・
やはりかかわらない方が良いでしょうね。
「それで?そっちはどうなんや?」
「そっちってなんですか、ワタシは真面目に働いてますよ!」
「そうやない・・お前、自分の目的を忘れてるやろ!竜王や!竜王の情報は見つけたんか!」
・・・「しょんな・・大声でいわなくてもいいじゃないか」
思わず、えなってしまいました、
難しい事、忘れたっていいじゃないか・・ゾンビだもの。[みつお]
「・・竜王に興味ありはるん?なんや怪しいと思ったら・・自分ら、刺客なんか?」
地獄の鬼は地獄耳・深界の漁師は死神耳とでもいうのでしょうか?
真っ直ぐにこちらを向いた白い男は、ふところから小さい金槌[魂砕鎚]を取り出し
『貫け、つぼ貝』と言った気がする。




