上陸!ソウル・・レムリア・・的なルルイエ・・
「さぁ新しい蟹漁師の誕生だ!お前達!太鼓を叩け!ドラを鳴らせ!」
船の底から響くような震動、カン!カン!カンカカン!
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
「波を砕け!海を裂け!潮風を切れ!」
長い大木のようなオールが波間を叩く!船首が海霧を割って海を進む。
「・・船長?一体どこへ?」ねぇ船長?聞いてます?
酒と蟹と蟹汁が甲板に舞い上がり、海漢達が歓声を上げ海を進む。
「どこってお前!オレ達の家さ!海の男の故郷、深界世界の死人の国!」
【ソウル・・レムリア】
「深い霧を裂き・・って、1度陸にかえりませんか?ねぇ?」ほら黒猫のヒトとか、
チューリップ帽子のオジサンとか、今の私に必要とは思いませんか?ねぇ?
「あきらめや、船は船頭に・船は海風に・・や、逆らってもしゃーない」
蟹汁に顔を突っ込み、あきらめ体勢に入ったイヌは落ち着き払っている。
・・順応し過ぎです、あと・・この船の船員・・ひょっとして・・
OKーOKー、きちんと怯えているヒトもいます。船員全員死人かと思いましたよ一瞬だけ。
(どうりでゾンビでも簡単に採用して貰えると思いましたが、普通じゃなかったんですねぇ・・)
全く、最近普通じゃない状況になれすぎている気がしますよ。
蟹は生者を狙ってやってくる、海も川も磯も船町でも。
「その魂を・・魂の光り・温もりに誘われてやって来る、陸はヒトの神の世界がある。
ヒトの死神が魂を運ぶ。
だが海は違う、海には海の神がいる、海には死神がいない。だから陸の蟹は小さく・
海の蟹は大きく強大なのだ。」
嫌な話です、海で死ねば蟹がやって来るのですか?
せめて海上を飛ぶ海鳥に、死者の魂が運ばれ、救われますように。
朝霧なのか夜霧なのか・潮霧なのか・風霧なのか、どれだけ船が走ったのか。
海には少ない人間の生者に群がるように蟹が上がり・・って採用されている普通の人って・・生き餌じゃないですよね?
「船長?近海船だと聞いていましたが、外海に向かってませんか?」
「海の死者は、遠洋より近海に多い。そして・・オレ達蟹漁師は本能的に死者の国が・・・
どこにあるのか・・わかる・・」
?海の・・[ソウル・・レムリア]はそんなに遠くには・・遠洋には無いのですか?
(まさか・・この船上から花火のような筒で、打ち出すような事をするわけないですよね?・・)
そんなロケットマンみたいなことを、する訳ないですよね?
?・・臭い、海風に乗る鳥の糞の匂い。魚の腐敗臭、澱んだ空気が死の匂いを運ぶ。
・・積み上がった瓦礫は異形の形を作り、黒く光る遺跡は人間の作る形とはまるで異なる・・歪み・曲がり・歪な角度の不自然な鋭角を作って虹色の光りを吐いていた。
・・・
「にゃるん・すたん、にゃるん・すたぐん!」
「にゃる・しゅたん!にゃる!がしゃんな!」
・・・なにがソウル=ソ〇イティだよ!ルルイエじゃないか!
「fんgっるい・むぐる・うるなf!るるいえ・うだふらっる・fyたぐん」
船長と二人の蟹漁師が、喜びと恐怖を混ぜたような顔で口を開く。
歌のようなソレは、生者に混じった死人・・死人の方が多い船上で合唱され、賛美歌のように脳裏にこびりついていく。
(目玉の神さま、これどうなっているんですか!)
『・・すごい・・素晴らしいぞ!やはり世界は!時間が停止した先に完結された領域だと!
私の感知できない世界がまだまだ広がって・・』
神は役に立たないようです。
コケッ・・コッ・・コケッ・・蟹の殻を砕いて食べてます。
じ~~~、ひよこさんは答える気は無いようです。
(多分なにか知っていると思いますが・・)
船は岩壁に乗り付け、太い綱で繋がれる。
「・・そっちのヤツらは船から下りるな!こっちは・・おりたきゃ下りろ・・でロメ雄は下りろ。
歓迎するぞ、新しい仲間よ!」
い~や~下りたくない、絶対下りたくない!下りたくないでござる!
太い腕に掴まれズルズルと島?に運ばれた。足元もズルッとしてヌルッとしている。
「じゃ!ワシは居残り組で!お元気で!」
「そんな事させますか!相棒!お前もこっち組だ!」
太い腕に掴まれ引き摺られる私と、私が尻尾を掴んで離さないイヌは無理矢理
凶気の島に上陸をはたす。
(・・・磯臭い・・あと視界が自然に歪む、不自然な風景です)
斜めに傾く地面?全てが統一されていない角度の石版遺跡・・
嗅覚も視覚も・・遠くから聞こえるような海鳴りも・・地面の泥濘みも・・
体の全部の感覚を浸蝕する名状し難い凶気・・島に上がる前から感じる、私を観察するような、
絡み付く視線・・・
(誰かに見られています?・・人間じゃない何かに・・)
「柄杓をくれ~柄杓を・・くれ~~~」「柄杓をくれ~柄杓をくれ~~」
歪む四感に目を眩ませ、頭痛で頭が痛む中、不意に私の袖を掴む・・白い・・幽霊。
「おう!ガキども!兄ちゃんは柄杓を持ってねぇ、柄杓はこっちだ。」
船長が背中に背負った袋から柄杓を取り出した。
死神とクトゥルフを混ぜた科学反応!




