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異世界で目が覚めたらゾンビだった、死にたく無いのでお金を貯めて復活したい。  作者: 葵卯一
次の舞台は多分海、きっと海になると思う。
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ゾンビが別の船に乗り換える間に何が起こっていたのか?

 船長は渋い顔のまま、一班の班長と副班長の報告を受けていた。

「それは確かなんだろうな?」机の上には小さな小袋と小枝のような吸引器。


 ジロリと睨む船長の視線に身体を硬直させた班長が押し黙り、代わりに副班長が口を開く。

 はっ「間違い無く、その煙草がヤマザキの寝台の下に隠され、シーツにも匂いが残ってた・・・」


「つまりヤマザキは煙草を吸うため船内をうろつき、我慢出来ず甲板で煙りを吸った・・・

そして海の魔物に捕らわれたと」


「それしか今の所」考えられませんと班長が続ける前に船長は立ち上がり、

そのまま直立する班長達を押しのけ部屋を出て行った。

 

 外海を渡る船の上では、許可を得た者しか基本禁煙である。

 それは一つは船上火災に対する予防、そして商品のマグロに煙りの匂いが付く事を防ぐ為。


 他には船長の権威を見せるために船長しか喫煙を許さない場合がある。


 一番の理由は、海の魔物が煙草の煙と匂いに引き寄せられると言われているからである。

 無論・迷信だろうが、海の男達には験担ぎや神頼みすら重大な意味を持つ。


 それは荒れ狂う海の前には、どれほどの船でも太刀打ち出来ない事を知っているからだ。

 そして何より、月の無い夜の海で火を燃やす事を何より恐れる。


 ソイツは一度獲物を憶えたら、どんな深い海の底からでもこちらを逃がさず、

日の光が落ちる頃に浮き上がり、今度は船ごと海に引き摺り込むと信じているから。


「迷信じゃねえ、あいつら化け物は最初は様子見るため軽くつつくんだ。

そして自分より弱い餌と解ったら・・遠慮しねぇ・・丸呑みだ」

 

 ガクン・急旋回で船が傾き、風を掴むよう帆が膨らみバクッンと音を立てた。


 下手な舵取りならそのまま倒船してもおかしく無い角度で船が風に引きずられ、

 体勢を戻す暇も無いまま横滑りのように船が走る。

 一刻も早く・一時でも惜しむように漁場となった海域から飛び立つ海鳥のように。




 ここからはローSンが船を下りた後日談になる。

 ヤマザキが寝ていた寝台から煙草の他に一冊の手帳が見付かった、

それは班長達がシーツ枕をヒックリ反した時に落ちたのだろう、

まるでオレだけに残した遺書のようにも思えた。


 それをヤマザキの家族に帰す為に、そして少しの気晴らしの為に懐に放り込んだ。

 

 一班は喫煙者報告の義務をおこなったという事で、ペナルティーが加えられ班長・副班長とも

今回の漁に対する報酬を減らされ、オレはと言うと一ヶ月の乗船禁止である。

 船としては一回の漁が中止され、魔物のいる海域での漁が出来なくなった。


 漁師の財産とも言える漁場の減少、そしてその海域で漁をする組合員達への報告と謝罪、

場合によっては賠償も有り得る事態ではあるが、そんな事オレには関係無い。

ただ一ヶ月の食い扶持を同どうするかだ。

 

 本音を言えば、ヤマザキの家族に遺品を帰す事で謝礼と礼金の一つでも貰えれば。

という所、なにせこんな仕事だ貯蓄の少しでもしているだろう。


「実際ヤツの事なんて、なにも知らないんだよなぁ、コノ手帳にでも書いていればいいけど」

ヤマザキの手汗が染みこんだ手帳は汚れ歪み、酔っ払いの千鳥足迂でもなぞったように

のたくったような文字が並んでいた。

「記号かよ!」と思わず声に出してしまう程汚い、パリパリにくっついた紙を剥がし

めくるのも一苦労だ。


「なんだぁ?宝の地図でも見つけたのか?」オレの声をどう間違ったのか

酒場の奴らが集まってオレの手帳の覗き込む。

こいつらも魔物の報告であぶれた猟師達だろう、金の匂いには敏感だな。・・・・・・


チッ「なんだよ・・・ガキの落書きか、こんなもん本人でも読めねーんじゃねーか?」

 ちなみにガキの頃オレの村の先生にも同じ事を言われた。腕っ節で生きるつもりだったから

文字なんぞ適当でよかったんだよ!


一人・また一人と離れて行く酔っ払いの中、じっと手帳を睨み身体を震わせている男が一人

ローSンの前で・いや手帳の置かれた机の前で固まっている。


「お前?これ読めんのか!この際内容なんてどうでもいい、この手帳の住居とか

家族の事でもいいから。なんか解ったら教えてくれ!」


「い・・いや似たような字を書くヤツを知っていた気がしただけだ・・だ・だがソイツは」

掴み掛かったオレを突き飛ばし、ソイツは一歩飛び退き恐ろしい

・そうまるで化物でも見たような顔で酒場から逃げ去った。


 一度は逃がした手がかりも、生きている奴なら・そしてこの町で漁師をやっているなら

見つけるのは簡単だった。


「すまねーな、こっちも同室のヤツが消えちまって。遺品のコイツを家族にでも帰さないと

夜もまともに寝られねーんだ」(嘘だが)


・・・「お前も・・7・・」顔を背け酷く怯えた表情も、オレが持ってきた酒を飲ませると

ようやく酔いが周りブツブツと口を開き始めた。


 ヤツは以前、外海でオレと同じように同室のヤツを失った。その時に見つけた手帳にうり二つの物を持つオレを化物と思っていたようだ。


「ヤマザキ・・ヤツの兄貴だか弟だかが手帳を持って行った。オレと同室だったヤツはミック

だかミゲルだかそんな名前だった。

オレ達は見た目も合わせて[ミニッ]って呼んでいたが」


で、オレと同じように礼金目的で手帳の中見を確認していたようだ、オレとの違いはオレより根気と何よりガキの頃真面目だったという事だ。


 手帳の中見を確認しその文字を解読するうちに、妙な数字といくつか繰り返す言葉が引っかかる様になったらしい。


ソイツが家族と7、一体なにが?

 酔い潰れたソイツをベットに転がし、明日もまた来ると告げ一度オレも家に帰る事にした。

ローSんさんの話は次が落ち、予想してみてね。

くっ・・だらない、と笑っていただけば幸いです。

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