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異世界で目が覚めたらゾンビだった、死にたく無いのでお金を貯めて復活したい。  作者: 葵卯一
次の舞台は多分海、きっと海になると思う。
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ローSん!サンクス!ココス!ヤマザキ!あm/pむ!みんな7に食われるのだと。

 二日酔いか?それとも昨日見た夢が悪かったのか、朝起きたオレはシャツのボタンを引き千り、赤い三本のみみず腫れが残る胸を汗と共に拭き流す。

そして、ようやく目が覚めたのは昼を過ぎた頃だった。


「ついでに飯でも買って行くか」

 昼もピークを過ぎると飯屋も静かなものだ、残り物のサンドと酒を片手にヤツの家に向かう。


 風化した扉は叩く度キィ・キィ・乾いた木が擦れる悲鳴を上げた。

「開けてくれ、飯でも食おうや。酒も有る、安酒だけどな」


 昨日より体調を取り戻したヤツが扉の隙間から覗き、ゴ・ゴキュッ音を立てカギを回し開けた。

 「昨日も思ったが、いやに丈夫なカギを付けているんだな?

それなら扉も付け替えた方が良いんじゃないか?」

・・・・・ヤツは押し黙ったままオレの手の酒を見つけると引っ掴むようオレを中に入れた。


「・・・盗まれる物はないが・・漁の時期は家を留守にするからな・・用心のためだ」

 オレ達漁師は給金を組み合いや網元に預け、基本的に金を家に置かない盗られる物など

たかが知れてる。

(まあ博打とかで勝っても、飲み代に消えるのが普通だしな)


「あんた丘での生活長いんだろ、酒もだがコッチの方が良かったか?」

 煙管の必要が無い紙巻き煙草を一本差し出す。昨日部屋に上がった時、

家中が煙草の匂いが残っていた。漁師は煙草をやらないが、隠れて吸っているヤツも多い。


「・・・丘にいる時だけ吸っているんだ、誰にも言うなよ」

震える指先で煙草をくわえ、その先に火が灯る。


 火の付いた燧火を借りてオレも一本火を付け、残りを箱ごと部屋のテーブルに置く。

俺自身煙草はやらないが、オレも吸う事で話しも聞きやすくなるだろうと思ってのことだ。。。

 

 ヤツは肺に深く煙りを吸い込み、大きく吐き出した。吸い込んだ煙の量を示すよう一息で部屋の天井が白む。浅く口の中で煙りを転がすオレも同じように息を吐く。

 息が白く染まる位の煙を堪能したヤツが酒も口に付けはじめ、ようやく口を開き始めた。


「ミックのヤツにも兄弟がいたらしい・・常に人手不足の漁師業だ、

同じ村の出でのヤツが船に乗ってる事もあるだろ。

ただミックのヤツが言うには兄貴は兄弟だと知られないように隠していたそうだが」


 船に兄弟が乗ると嵐に襲われ、どちらか一方が飲み込まれるまで収まらないと言う。

神話時代の海彦だか山彦だかの兄弟喧嘩が謂われの原因だが。

 まぁ、ただの迷信だろうが・・な。


「奴らにとっては、そんな迷信なんぞよりおっそろしい・・家系だかなんだかで・・

奴らには長男がいたらしい、コイツラ兄弟揃って貧乏で少し育ったら直ぐに出稼ぎに出されて、

そのくせ貧乏子沢山と言うほど兄弟が多かった。

オヤジが死ぬまで5~6人は兄弟がいたらしい。


 らしいってのはミックがガキの頃に養子かなんかで連れ出されたヤツもいるからだ。

有るとき、オヤジが船を手に入れるほど金を持って帰り、長男・次男、

そしてオヤジの三人で漁を始めた。

 

 それはもう、いつも船に溢れんばかり魚を持って帰り、あっと言う間に金持ちだ。

貧乏だったことを忘れるくらいにな。

だが調子に乗ったオヤジが長男次男と共に海に飲まれ・・わかるだろ?

化物の海域で無茶な漁をしやがったんだ。

 それですべてを、賠償やなんやで全部持って行かれたそうだ。


 ミックはガキだったからな、金持ちの間の数年間、家庭教師が付いてようやく読み書きと少しの計算が出来るようにはなっていた。


ガキのくせに兄弟分かれて職を転々として、最後に落ち着いたのが結局は稼ぎのいい漁師だった。


馬鹿な話しだ、オヤジと兄弟を亡くした仕事に就くとはな。

・・・・・


オレも知らないが、三番目の兄弟がやっぱり漁師になっていた。オヤジや兄貴達のお陰で数年学校にも通っていてよく家族に感謝していた・・名前は三番目だからサンキューだがシャンクスだか・・

いやサンクスだっか?


ミックのヤツを良く可愛がり、いつも傍にいてくれたらしい・・・

まあ何となく解るだろ?ソイツと4番目の兄弟も海に飲まれたんだ。

あいつらの家系は海に呪われている。


 そうとしか思えん・・・ただ4番目。名前のわからん兄弟、ややこしいからミックの家族は・・

そう変な奴だったんだ。兄弟の誰にも懐かずいつも本を読んでいるようなヤツだった。


なんで知っているかって?その手帳、本はソイツの持ち物だったそうだ。オレもヤマザキから聞いたんだよ・・・その手帳・・」


 ヤツは手帳の事を意識する度に言葉を詰まらせ、その度に酒で煙草の煙を飲み込んだ。

「結局ヤマザキの家族が残っているんだか、いないんだかどっちなんだ?」


 謝礼金目当てに家族の話を聞き出そうとしたが、殆ど何も解らなかった。

薄暗いヤツの過去が詰まったような手帳から逃げるように目を背け、最後には口を詰むんだ。


 だがオレは、この手帳に何かを感じ始めていた。金とか自己満足とかそう言った物じゃない、

運命とか使命とかでもない、背中に突き刺さった小さな棘のような不快感、

手を延ばし、指先にかすった堅い痼りのようにオレを引き付け、

手放す事を考えさせないナニカがこの中にある、そう思わせるなにかが。


 洋灯の明かりが小さく揺れ、オレは思った以上に時間が過ぎている事に気が付いた。

子供の頃でもこんなに長く起きていたことは無い。


 のたくった文字を睨みつけまともに新聞も読まないオレがこんな物になぜ引き付けられるのか。

だがその甲斐もあって数字(主に日付)と名前だけは何とか解読出来るようになっていた。


「ああ・確かに7だ。こいつだけが独立してあちこちに記入されている。

特別な数字なのか?ヤマザキの家族になにかあったのか?」


 どうやらオレの1月の謹慎はコイツの解読で全部消えてしまいそうだ。


 読み解く内にこの手帳は、三人の兄弟の手を渡っている事が解った。

始めは酔っ払いの眠り文字かと絶望も憶えたが、最初の持ち主はそれなりに学がありそうな字だった。オッサンの言うような変人などでは無く。

書かれている文字も子供のような幼さはあるが、一つ一つの文章を丁寧に書いてある。


ただ海水にインクが滲み、安い手帳ではその劣化を免れ無かった。


 学の無いオレでも、根気強く単語を拾って行けばいい作業だ。

以降は手帳の内容となる。



〇年・5月、僕はこの事を思い出して書いている、お父さんが7つの海に落とした酒瓶を拾った時間違えて持って帰ったらしい青黒い液体の入った瓶を眺めている。

家に帰ってコルクを引き抜こうとした父さんは、瓶の中で折れていたコルクの蓋を睨み声を上げた。その時ゴツンと音を立て床に叩き付けられた瓶は、中見を揺らしただけで割れず「ああ勿体ない」と言って抱えて寝てしまったのを憶えてる。


つぎの日、僕が帰るとコルクの抜けた瓶と不自然に揺れる青い液体。とてもロイヤルで嫌な物に見えて僕は部屋に逃げ込んだ。


次の日、父さんは上機嫌で高そうなお酒を飲んで

「これからは大金持ちだ、お前達にも贅沢させてやる」そう言って笑ってた。

あの瓶[ロイヤルティー本部21%]はどこかへ捨ててしまったのだろう、良かった。


〇年・3月、父さんは7つの海に出る度、おかしくなっているみたいだ。

大量の魚達と同じ目をした地区担当に睨まれているとか季節のノルマだ言って怯えながら、次の日には貼り付けたような笑い顔で海に出て行く。


・・・・・


〇年・ココス父さんが海に飲まれた。朝・家から出る時は

「4生5殺だ。兄さんたちがいるから大丈夫」そう言ってたのに。


 死体も無い葬式で、棺に入れる為の父さんの遺品を探す。その時あの瓶を見つけた、

あのとき半分も入っていなかった液体が、

瓶の上まで上がっていた。まるでロイヤルティーで肥え太った本部のように。


僕は怖くなって瓶を7つの海に投げ捨てた。でもコルクの蓋も無いのに、海にぷかぷか浮いて流れて行った、ドミナント方式で食い潰すオーナーを探しているのだろうか。僕は怖くなって忘れない様に日記を書く事を決めた。

これ以上怖い事が有りません様に。


〇年・8月、僕は呪われるように漁師になっていた、小作農や黒い商会のような奴隷には落ちなかったけどそれでも恐ろしい、僕は臆病者のチキンでは無いけど。

まるで7つの海が僕を誘ってるようだ、運命なのか。


〇年・10月、ようやく丘でゆっくり出来る、冬越しの為に働かなければならないが必死に働かなくても良いくらいの蓄えはある。怖かった7つの海も徐々になれてきた、僕達家族にとっては天職なのかも知れないと思い始めた。


・・・


〇年・4月、蓄えもできた、仕事は順調だ。覚えが良いと班長にも認められるようになってきた。

同期の双子、Aムさんとpムさんとも仲良くなった。


 そう言えばサンクス兄さんも別の船で漁師をしながら弟達の面倒を見ているらしい。

一番臆病者のチキンだった僕からすれば、父さん達の葬式の時に言われた

『オヤジは臆病なチキンのくせに、急に強気を見せるから魔物なんぞに目を付けられるんだ!

チキンはチキンらしく近場で漁をしておけばよかったんだ!』とか言われた


言い返せなかった僕達、でも僕達家族はチキンじゃ無い!

 兄さんはソレを証明したんだ。これからは僕も仕送りとかしてまた家族一緒に暮らしたいな。

・・・・・・・


〇年・四月、サンクス兄さんに無理をさせ過ぎていた。僕に何度も漁師を止めるように言われた。『オレ達家族は7つの海に捕らわれている、お前達・・・弟らにはこんな結末にはさせたく無い』

怒るような懇願するような顔、どうしたらいいんだろうか。


〇月、兄さんは7つの海に出過ぎて顔が青い、代わりのヤツが休んだせいで休みが取れないらしい。

 本部ではソトからの技能実習生で穴埋めするそうだが、何の技能を学びに来たのだろうか?

今一よく分からない。


〇年・6月、Aムさんとpムさん7に飲まれてしまった。

僕は班長を任せられるようになって給金も上がった。

仕事に対する姿勢か?それとも・・・いや考えるな、認められたんだ、頑張ろう。

・・・・


〇年・10月、サンクス兄さんの言っていた事が解ってきた。いつ首になるか解らない下っ端の恐怖とは違う、飼い殺しにされるような・・経済的束縛が鉛の鎖のように絡み付いて離れ無い。

これが・・これからが7つの海の恐ろしさか。


〇年・4月、毎日夢を見る。波のように押し寄せる客、毎日同じ服を着てソレを受け流す夢。

僕の手は籠から取り出したモノでピッ・ピッ・と無く海鳥のさざめきが・・

繰り返される「チキンお願いします」「チキンお願いします」・・・僕はチキンじゃ無い。


〇年・五月、何故だミック、オレ達の可愛い弟が・小さいミックが僕と同じように漁師になっていた。僕は顔を合わせないよう注意しながら見守る事にする


〇年、オレ達の船が7つの海に飲み込まれた。

だめだミックお前だけは漁師になるな!

ミニッ・・・・・・ストップだ!


オレ達の家族はいずれ7に飲み込まれる運命なのかも知れない。銀行もドーナツも珈琲も全て、僕達家族はチキンと呼ばれるくらい慎重に生きるべきだった・・・・

そのチキンすら7に飲み込まれるのだろう。


 僕達家族の中で、Dの名を継ぐ者がいずれ7つの海に挑むかも知れない。だけど気を付けるんだ、紺のビール業界の海は深く恐ろしい。船のオーナーになるならなおさらだ、船出する時、

漁を営む場所、最後に舵取りを慎重に選べる時だけ7つの海に挑める。


目の前の波だけが敵じゃ無い、ドミナントか方式で襲ってくる上の方にも気を付けるんだ。

 もし出来るなら、子供の頃に養子に出された家族と手を組んで・・


 ここからはミック・・いやミニッの書いたであろう日記に代わる。

兄さん達が飲み込まれ、どうしようも無くなった時に見つけた手帳。コレに僕の事を書く事を迷ったけど、僕も臆病なチキンだけど記録として残す事に決めた。Dその名前をどこかで憶えていたから。


〇年・4月、手帳を読む度に背中に冷たい汗を感じる。僕が追い込まれている状況と同じ事が起こっているからだ。簡単な面接で採用された時からおかしかったんだ、履歴書も適当でいきなりのシフトに組まれた事も後から考えればおかしな事ばかりだった。


〇年・11月、船長が既におかしい。漁場の広さに反して見渡せば7の緑の波が押し寄せ囲まれている。規模の大きい7の海が採算も度外視で僕達の船に押し寄せている。退路を防ぐように大きな海道にも7の漁場が出来ていた、周囲の魚だけでなく遠くから海道でやって来る魚も爆釣されている、

もう無理だ。

・・・・


〇年・2月、少し離れた所で漁をやっている船を見つけた、その中に何故か知っているような奴がいた。昔どこかであったような懐かしさ、陸の酒場で名前を聞いた。ヤマザキというらしい・・・・


〇年・9月、ヤマザキの隣で飲む男と目があった。ソイツの目で思い出した、ヤマザキお前は昔どこかへ連れて行かれた弟に似ている、まさかな。


 ヤマサキの隣で飲んでいたのはだれだ?海でヤツを知っていたのは誰だ?

・・・・まさか・・そんな・・おれもいつか7に飲まれちまうって事か!



 解るでしょう?7ブンに飲み込まれたんだよ!ミニッも山崎もサンクスもココスもあmpmも!

次ぎはローSん!お前の番だ!



ローソン、7つの海・チキン・そんな単語が頭に浮かび、そして暗い闇の部分を知ってできた物語。

・・・あの業界にオーナーを始めるなら・・気をつけて下さい・・闇は深い・・・

あと・・「ミニッ!・・ストップだ!」

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