表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/251

1-5-03 どうする?外務大臣…なんでこうなる? 21/5/28

20210526 加筆修正

5121文字 → 5768文字




 さっき迄偉そうな事を云っていた女性、この時オブザーバーとして巻き込まれた山口外務大臣は心底思った。


 (あっ、私やっちまったよ! これどうしよう……)


 絶対に一番不味(まず)い時に付いてきてしまったと、このとき深く深く後悔したが既に後の祭りである。

 『好奇心は猫を殺す』とは、至言(しげん)であったのだとしみじみと感じた一日となったのだった。

 それにしても、あと25年ほどで人類が理不尽に滅ぼされるってどういう事なのよ?

 少年が宇宙人に『逃げてー!』て言われた訳ね、フ~ンそうなのね、ないわ~。

 対抗手段は、……まず無いに等しい訳なのね。

 相手は銀河を支配している団体で、人類には抹殺指令が出てるですって? ないわ~。

 逃げ出す手段は、目の前の少年に掛かっているという事よね。

 取り敢えず逃げ出す算段が出来るだけでも良かったのかしら、有りえないわ~。

 あっ、詰んでいる……ここで前言撤回などもっての外、絶対に協力しない訳に行かないじゃない、逃げ道は無いわよね?

 イヤッ、ここはよく考えてみよう……、これはピンチなのでは無く、チャンスなのでは無いだろうか。

 それもとびっきりのラッキーチャンス!

 滅亡まであと25年では無く、まだ25年も有るのだと考えれば良いのだし……。

 彼等の言う通りこれから頑張れば、何とか成るかもしれない。

 戦後の何も無い日本は、知恵と技術と頑張りでここまでの経済大国に成ったのだし、よく話を聞くと、取り敢えず知り合いで逃げ出せるだけの下地を作ろうとしている事がよく分かる。

 これは、私も混ぜてもらおう、絶対に!

 この機会を逃したら、待っているのはあの世に一直線の未来だけだわ。


 これは、私の命をつなぐ天からの蜘蛛の糸なのだわ。


 そう、私は今すごくついている!

 伊達に経済官僚から外務大臣になった訳じゃないところを、見せつけてあげようじゃない。

 そして貴女は何ナノ? 鷺ノ宮都……61歳って嘘よね? 嘘だと云って!

 貴女、見ためチョット貫禄のある小娘だと思ってたら、私と1つしか違わないんじゃないのよ。

 それにあっちに居る昴くんのお母さんなんて大学生ぐらいにしか見えないし、絶対に何かしらの治療を受けてるわよね?

 よく見れば、NSAのマーガレット女史は横須賀で前に見かけたことが有るわよ。

 さっき、ご無沙汰してますって言われるまでは、若返ってて全く別人かと思っちゃったじゃない。

 私だって『ノルン』を使うようになって、みんなから10年は若返ったって云われたのに反則じゃないかしら、貴女達!

 絶対に私もそっちの仲間に入れてもらわなくちゃ……これは決定事項よ。


 外務大臣、すごくすご~くポジティブシンキングの人でした。




 ◆




 その時、マーガレット・スミス41歳は、考えていた。

 フンッ、世界がどうなろうと私の知ったことじゃないわ。

 私は、キャプテンと一緒にいられればどこでも構わないし、リトルBOSSに付いていけば、キャプテンとはずっと一緒にいられるし、寿命が延びれば年の差なんて関係なくなるわ。

 どうせステイツも近いうちに情報を掴むでしょうし、私がリトルBOSSに引っ付いてればお国としては安心なんでしょうし、これもお給料の内よね。

 でも、(株)タウルスのサラリーは魅力的よね……、キャプテンに聞いてビックリしたわ。

 私も転職を考えようかしら?

 でも、NSAに辞表を出しても受け取ってもらえないでしょうね~、あの狸親父は絶対に……。

 メガフロートには、アメリカ海軍が上手いこと食い込んだみたいだし、結局は最後に生き残るのは力のある大国かお金持ちなのよね~。

 その点、リトルBOSSと友達でいれば生存確実だし、これからずっと美味しい目も見られるし、長生きできそうよね……、キャプテン!

 こういう時は、シンプルに考えなくちゃ駄目なのよ、私は恋に生きる女になるのよ。

 ブレスレットは、もう持ってるし、今まで使えなかった機能が解禁されるって事みたいだし、ほんと楽しみだわ~♪


 あんた一応、アメリカ情報機関のエージェントだろう、ホントにそれでいいのかよ?

 えっ、あくまでもビジネス? フムフム、プライベートは別……。

 これからは女の幸せを掴む、ホウホウ、うちの母さんに相談中で応援してくれてるのね。

 それ母さんの玩具にされてないかな~、マ~健闘を祈りますよ。




 ◆




 男のひそひそ話です。


「オイッ、冴島ァ~、俺は聞いてないぞこんな話、どうすんだよ、オイ! お前メガフロートにも付いていったんだろ? 何か聞いてないのかよ~」


「俺だって人類が滅亡するなんて馬鹿な話聞いてね~よ。荒垣こそ聞いてなかったのかよ? お前、仙人に成る体操とか熱心に聞いてたじゃね~かよ。ま~ここまで関わっちまったら、どうするもこうするもネ~だろうし、一蓮托生って事じゃねえのかな。他に選択肢がネーんだから、残った人生昴に全掛けするしかネ~んじゃネ~か? 大体、こういう大事な時に山口のババーになんかに引っかかりやがって、大丈夫なのかあれ? 顔引きつらせてっぞ現職の外務大臣が……。俺は知らネ~からな、お前が連れてきたんだからチャンと面倒見て最後は連れて帰れよな。兎に角、俺はこれからも極力昴にひっついて、エイリアンのオーバーテクノロジーの真骨頂ってのをこの目で確かめるぞ。ドキドキワクワクしてこネ~か? するじゃネ~か、なっ!」


「ウ~ン、これから地球の技術革新を進めて行くって事は、外にも広めるって認識でいいのか? だが、タダで教えてやる理由はネ~な。主要各国には今まで散々煮え湯を飲まされてきたんだ、安くない代償を払わせてやるとしようか、泣いて喜べ、ワハハハ♪」


「あんまりやりすぎるなよ、暴発されても困るからな、飴と鞭だぞアメとムチ……」


「おお、その辺は得意だ。絞れるだけ絞って恩を着せてやる。大陸だけの話じゃネ~けど、終戦から58年も経つのに、国連じゃいまだに実権のない財布代わりに使われる一方っていうのは、実態を知ってる関係者は皆んな腹に据えかねているんだ。今迄のツケを利息つけて払わせてやろうじゃネ~か、ハッ! それに冴島はババーなんて言うがな、あの山口大臣も今年62だろ、校長の一つ上だ、教えたらいい刺激に成ると思って連れてきたんだが、今回はチョット刺激が強すぎたかもしれネ~な。今回のは、俺達でも驚天動地ってところだからな」


「カンフル剤にしては劇薬過ぎたんじゃね~の。ま~女はいくつになっても女だし、見ろよあの校長達を見る目、ありゃ~獲物を狙ってる肉食獣の目だぜ……」

  

「あ~、あれは確実にロックオンされたな。でもあのパワーのまま若返ったらどうなると思う、俺は想像するに恐ろしいんだが……」


「それを連れてきたお前が言うのかよ、俺は知らネ~からな」


 こっちは、悪巧みバンバンですな。

 被害に遭うだろう方々には、ご愁傷様と言っておきましょう




 ◆




 ()くして、学校法人の設立(面倒な事は大人に丸投げ)と多数の協力者を得る事となった。

 俺は、晴れてメガフロートと村の学校を一週おきに行ったり来たりすることになったのだ。

 今までは隠れて行き来していた(影武者の人形置いてテレポートしてた、俺はいつからパー○ンになったんだ?)ので非常に忙しかったが、これで少しはまともな生活が出来ると期待したいところだ。

 そして、これからは公に移動するための足として、大型のクルーザーを船籍登録してもらう事になった。

 既存の40m級大型クルーザーをベースモデルにして建造してみたところ、移動基地並の(もの)が出来上がってしまった。

 実を云うと、空も飛べるし海にも潜れるスグレモノで、武装をしていない分の有り余るパワーソースを住環境に振り向けて、見掛けは40m級クルーザーだが中身はどこの豪華客船かリゾートホテル? って~代物だ。

 もちろん船長は、専属運転手兼護衛のキャプテンだ、これで名実ともに船長(キャプテン)である。

 しかし、ここでの誤算は何故か副船長にマギーさん(マーガレット女史)が就任、キッチリ給料を払う事になった事だろうか。

 チャッカリとジェニーもくっついて来ていたのは、後で知った。


 最初に船に乗せた時の二人の様子は、見ていて愉快だった。

 キャプテンは、ウチのハイエース改で宇宙に出ているが、今度は車では無くちゃんとした船である事が余程嬉しかったらしく、端から見ても楽しげに、船の操作法をハコからレクチャーされていた。

 片やマギーさんは集会での暴露もあり、それなりの物を想像していたようではあるが、まさかまさかすでに宇宙船と言えるものが出来上がっているとは考えが及ばなかったらしい。

 キャプテンと一緒にレクチャーを受けている様子が、非常に滑稽だった。

 当然のごとく、この船に乗る場合にもブレスレットが必要になる、勝手に忍びこもうとする奴は捕まる事になる訳で、警告と共に発射されるスタナーにしびれる様子が、証拠映像にしっかり残っている。

 流石にそのまま放置だと溺れたりするので、捕まえる前に最寄りの警備または米軍に通報して身柄を押さえてもらう事になっている。

 最初に米軍から接触が有ったようだが、マギーさんがシャットアウトして、それでも引かない場合は同じ対応をするよと警告はしておいたら、入ろうとはするが見つかると帰っていくを繰り返しているようだ、余程この船が気になるらしい。

 割としつこいな、マギーさん切れないといいんだけど……。

 船は、横須賀に係留されていて、何故かマギーさんがそのまま住んで居る。

 ほとんどマンション代わりに使っていて、社宅を支給しようかと言ったら、クルーザーの中のほうが快適だと住み着いてしまう始末で、押しかけ管理人と言ったところだろうか。

 彼女も10日も経つと、最初の時とは打って変わって、手足のように使いこなしていた。

 そして一週おきにこの船でメガフロートに行き来しているんだけど、キャプテンが居る1週間は、すごい事になっているらしい。

 らしいと言うのは、有る部下からの話だからで、俺には少しばかり刺激が強いので、分からないよう巧妙にブロックしているらしい。

 俺が見ていないところでは、ベタベタの新婚夫婦の様で、砂糖を吐きっぱなしだと愚痴っていた。

 ま~放って起きなさいな、マギーさんはそれがしたくてウチに来たんだろうし、デリケートな問題だからね。

 でっ、マギーさんにくっついて来た君が、どうして俺に引っ付いているんだい? ジェニーさん。

 なになに、自分もここに住む? イヤ、チョット待とうか。

 君の上司はなんと言っているんだい?

 エッ、俺に聞けって?

 大人のお友達になれば、住むとこもお手当も貰えるって……それって何処の愛人契約。

 イヤイヤイヤ、落ち着こうか、さっきからイヤに背中に引っ付いて、その主張するものを押し付けてると思ったらそういう事なのか。

 なになに、あんな砂糖の煮詰まったような所にいつも居たら、欲求不満で爆発する……俺に責任を取れって言われても、君、恋人いないの?

 今までは、軍内で男達をしばき倒してストレス解消してたから女と見られていない、それに前はマギーさんもあんなに(とろ)けてなかった……。

 嗚呼ウンそうだね、それは俺が悪いのか?

 イヤッ、そこは赤くなって引っ付くんじゃなくて、怒るトコだろう、チョッチョットまって、アーーー。



《父さん父さん、サカリのついたジェニーさんに押し倒されそうなんだけど、どうしたらいい?》


《ジェニーってマギーさんの部下の?どういう展開だ? ま~前にウチ来たときから昴に引っ付いてたけどな~、どうしたらいいと思う? 希美さん》


《そうね~、昴にはまだ少し早いかしら~、15歳過ぎたら自分の裁量でなんとかするとしてもね~、とりあえずコッチに跳びなさい。一緒でいいから》



 船から自宅にテレポートした俺と、テレポートにびっくりしながらも引っ付いて来たジェニーさんはそのまま濡れ場……にはならず、両親を交えて色々とお互いの意見とこれからやらなくちゃいけないことなどを話し合った処、仲間に成って手伝いたいとの話がまとまった。

 ま~寿命も伸びるだろうし、気長に俺の成長を待つそうだ……で、やっぱりマギーさんと一緒に船に住み着くのね、そうなのね……。

 両親いわく、『反対は特にしないぞ、お前の人生だ。先のことは基本的に自分で決めろよ』と言われた、但し15歳までは男女の関係はアウトだそうである。

 この先、数千年イヤイヤ下手したら万年単位で寿命の有る俺である。

 失敗してもいいから色々と経験して、より良いパートナーを見つけろと言われたよ。

 この際、年の差は余り意味をなさなく成るだろうと言うことで、『頼りになるお姉さんゲットだよ昴♪』と母さんにはひやかされる始末だった。

 普段の行動が謎なジェニーさんだが、実はハーバード出のエリートだった。

 マギーさんはハーバードの先輩で、NSAに入って居なければ今頃は教授として残れるくらいの才媛だったらしく、先輩先輩と付いてまわる内に、なし崩しでNSAのエージェントに引きずり込まれていたらしい。

 専攻は考古学で、母さんのシュメール人のクダリでは、目を輝かせてズバズバと質問をを交わしていたのが印象に強く残っている。

 そう、見かけ通りのララ・クラ○トもどきだった事が発覚したわけだ。

 ちなみに、マギーさんは、電子工学の権威らしく母さんの同類と言うことが分かってきた。

 そういった経緯のすえに、米軍の横須賀基地に係留されることになった俺所有のクルーザー(ここ大事、俺の個人所有)は、マギーさんとジェニーさんの動くマンションとして落ち着いたのである。

 



 ◆




プレアデス・アークⅡ世号

40m級クルーザー【非武装の移動指揮所・内部は巨大なリゾートホテル】


 小型ヘリポートあり

 ジェットスキー2隻搭載 (実はこれも飛べる)


主機:小型次元転換炉 (護衛艦用の物)


ダミー操縦室と来客用リビング以外の艦内生活区画は空間拡張により別世界の広さ

文字通り動く情報処理センターと巨大なリゾートホテルとなっており、100名位は余裕で長期滞在できる広さと豪華さを持つ

艦長室はヒルトンのスイート並、昴の部屋はプレジデントスイート以上の部屋で自宅より広い


水上動力 通常は水流ジェット推進

水中動力 空間微振動推進と慣性制御

飛行動力 慣性制御と空間制御航行

位相ステルス機能はあるがハコまたはプレアデスシスターズが乗艦時のみ使用可能


斥力場に依る攻勢シールドの展開が可能

武装はないが衝角戦闘は可能である






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] マーガレット女史にアメリカ政府への 忠誠心は略無いでしょう? キャプテンに対する政府の態度を見たら 忠誠心は沸かんよなあ?マーガレット女史と ジェニーに関してジェニーに取ってキャプテンの 扱…
[一言] 徐々昴はバイオニックジェニーの魔改造を しないとな!確かスカイダイビング中の事故で 両足・左手・聴覚を失いサイボーグ化 してるんだよね?昴はナノマシンの診断で ジェニーの体の秘密を知ってるは…
[一言] まあ、アフリカーンスは良い給料くれるなら国に料金分 尽くすが、料金以上の仕事をさせると裏切る算段します! 自分等を奴隷として拉致した、白人の主人が困っても 知らんよ自分でどうにかしろだよ?恩…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ