1-5-04 情けは人の為ならず…お前らもかよ 21/5/29
20210529 加筆修正
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俺は、移動する寝床が出来て、これで余裕が出来ると思っていた。
なのに俺は今、睡眠時間を禄に取れずに空間投影型の3次元CADを操作しながら、物思いにふけっている。
どうしてこうなった?
ハァ~、誰か代わってくれよ。
事の発端は、みんなが俺の仮住まいになってるクルーザーに興味津津で、俺も自慢したかった訳よ……。
でもこれが……良くなかった!
軽~い気持ちで関係者を集めてクルーズツアーをしたところ、呼んでも居ないのに覗きに来る無駄に金のある奴とかあの船長に食いつかれてしまったのだ。
自分の足代わりに作ったクルーザーだから採算度外視(ホントはほとんど金かかって無いけど)で、あまりにも豪華で使い勝手が良い(拡張空間は見せてないよ、ダミーの部分だけね)ので、何とか自分たちにも作ってくれないかと泣きつかれてしまったのだ。
船長には世話になっていたので、仕方ないな~と苦笑しながら拡張無しのダウンサイジングした30m級の船体を作り、Y国産メーカーにエンジンを積んだりの艤装をお願いと頼んだんだ。
この辺は、水素発電ユニットで出来た伝手を使わせてもらった。
そしたら同じ船体とメーカー指定のバリエーションを作ってくれないかと依頼したY国産メーカーに泣きつかれた訳だ。
その代り船長の船の代金をタダにするからって、そんな事を言われてもそれ俺の船じゃねーし……。
これは、どういう事なんだろう? と思い返してみたら……アッ、やっちまった!
手元に有り余ってたので、基本素材にセルロースナノファイバー使っちまったのが悪かったのだ。
この素材、研究が始まったばかりで加工製品の完成形はまだ無かった所に、俺が船なんか作っちゃったもんだから、Y国産メーカーの技術者達はパニックに成った訳である。
完全モノコックで、ハメ殺しの窓ガラスまで一体形成、継ぎ目も無いから水も漏らさぬとはこの事だよね。
理想的な小型船のモデルケースとなった訳である。
一応金物と配線、配管用の穴はチャント開けてあるから、基本透明な船体に防水塗装して、エンジン乗せてスクリューと舵等のシールして仕上げするだけで完成する。
船長の要望で、お客に海の中見せられるように船底透明にしてくれないかって言われてたから、好都合だと思って偽装無しのスケルトンの船体作ってそのまま持ち込んだのがそもそもの間違いの元だった訳だ。
重さは、カーボン素材並で強度は鋼鉄の5倍、透明素材で大元がセルロースだから環境に優しい。
現在使われているグラスファイバーと接着用の樹脂は、ハッキリ言ってお世辞にも環境には良くない……それに船同士でぶつかったりしたら割と直ぐに穴が開く代物だしね。
こっちは、防弾ガラス並みに丈夫だし軽いから、多少ぶつけても傷も禄に付かないくらい頑丈で、充填用の補修スプレーもオマケで付けたから到れり尽くせり。
軽いってことは、そのまま水に浮くし、エンジン出力そのままで燃料も他の装備類も今までより沢山積める訳で……。
理想をそのまま形にした様に良い所しか無い船が出来上がっちゃった訳で……、ただし自分たちで作れればなんだけどね。
助けて~スバルエモン! となった訳である。
ヤダよ、俺、忙しいし……。
そんな事で泣くなよ、大の男が雁首揃えてよ~……、しかたが無いな~今回だけだよ。
と、甘い顔して10隻ばかり作ったのが運の尽きで、冒頭につながるわけである。
最初に出来上がった船に船長は、非常に喜んだ。
ソリャ~もうおおハシャギだ。
当たり前だ、こんな船、世界中何処をさがしたって無いもん。
お客さんを乗せまくって、商売繁盛!
乗ったお客は俺もこんな船ほしいな~となって、製造元のY国産メーカーに注文が殺到した訳だ。
最初の10隻なんて、アッという間に高値で売れたらしい。
ここで打ち止めにすればいいのに、なぜに予約注文取るかな~。
自分の所で作れない船の?
もともとY国産メーカーでは、30mの豪華クルーザーなんか作ってなかった。
今まで20mぐらいまでの中型が主流だったところに来て、エンジンはそのままでも十分な速度の出る船体が出来ちゃったから、もう後には戻れない……いいかげんにしろよ!
それでなんで俺が3次元CAD弄ってるかって言うと、既存の小型から中型の船体も同じ素材の物をどうかお願いしますとなった訳である。
今までの小型船舶の生のデータ全部くれるって言うし、好きに改造していいって言われたら、なんかやらない訳にも行かないじゃないか。
嫌いじゃないし、俺はむしろ大好きだし、こういうの……。
そしたら、そりゃー自業自得だと父さんに大爆笑されたよ。
でも、ジェットスキーからマリンジェットまでいれて、既存の全てのデータを版権度外視で好きに使っていいと言われたらさ、黙っていられないのは当たり前だと思うのは俺だけ?
結局、自分のクルーザーに据えた水陸空ジェットスキーもこれらのデータから魔改造した物を2台載せちゃったよ。
そしたら、マギーさんとジェニーさんにぶんどられて、足代わりに使われている。
俺とキャプテンのも増やそうかな、予備も入れて5台位。
◆
魔改造ジェットスキー(水陸空) 二人乗り
(地上ではトライクに変形、慣性制御で空も飛べるぞ!)
海上では、前輪を車体前方に、後輪を車体後方側面にせり上げて収納
実際には、収納出来ていない、というよりバンパー代わりに使われている
地上走行時は、トライクとして軽自動車扱い
250cc登録で高速道路も走行可能
税金は2,500円、車検要らずの凄い奴♪
キャノピーが後背部までセリ出してカバーするので雨の日も安心
海上でもほとんど濡れずに済む
完全にシールドすれば水中航行も可能だが、現在はバッテリー駆動のためにパワーが足りない
◆
世歴2003年、この年は思いの外、自然現象による重大災害が多かった。
しかし、有る特殊な理由から人的被害は非常に少なかった。
5月以降、謎の人物達の救助活動が目撃されるようになり、敵か味方かと騒がれ始めたのだ。
名乗りもせずに人助けして、霞のように消えることから、やがて善意の人たちと囁かれる事となる。
確認されるのは統一されたコスチュームとカラー、単独、複数、いずれの目撃証言も非常に似た姿形を指していた。
唯一違っているのは、頭部ヘルメットの角の形状、男性は雄牛の二本角、女性はユニコーンの一本角、個人個人で多少の差異が見られるようだ。
そして、警察・消防・自衛隊のいずれにも属さず、要救助者を探し出しては適切な治療を施し消えてゆく。
発見時には、死亡していただろう救助者も安全な場所に移動させられ、発見された時には奇跡のように息を吹き返すなんて事が続出した。
そう彼等彼女等は、後にプレアデス・ナイツとよばれた。
事の発端は、世歴2003年5月26日18時24分の宮城県沖地震が最初だった。
眼の前で、崩れる家屋に押しつぶされる市民を前に、とっさに助けようと飛び出した自衛官(我らの同士)のバイタルから緊急事態を読み取った管理AIシステムが、簡易防護スーツの封印を解いたのだ。
事故の起きた時間が夕暮れ時だったことで、個人の特定を免れた彼は、この後なし崩し的に顔を隠して救助活動に従事する事となってゆく。
同時刻、同じく危険にさらされた仲間達は、等しく簡易防護スーツの封印が解けることになり、ご近所の救助活動に従事する事となったのだった。
そして、この事態に味をしめた仲間達が、自ら率先して人命救助に動き出すのにそう長い時間は掛からなかった。
この頃から、事前の簡易防護スーツ使用申請が頻発する事になるのだった。
顔を隠し、声はボイスチェンジャーで変え、人知れず人命救助にあたる。
高性能センサーで要救助者を迅速に特定し、治療が必要なら応急処置用のナノマシンを投与、安全な場所に避難させる。
パワーアシストにより女性でも軽自動車くらいなら動かせるから、スピーディーな瓦礫の撤去や障害物の排除にも大活躍だ。
教えてもいないのに、スーツを使いこなしている様子を見るに、こいつらマニュアルを隅から隅まで読み込んでやがるなと感心することしきりだった。
完全に中二病が再発した彼等は、自分たちの行動に酔いしれたのだった。
ただし、邪魔はしていないが本職のレスキューや警官から職務質問を受け、その度に逃げ出すという光景が随所でみられるようになると、後にマスコミからも追われる様になり、身バレしないように非常に苦労する事になるのだった。
そういう状況にイライラしないのかと様子をうかがうと、何故か彼等は逆に非常に喜んでいた。
ヒーローは社会から追われるのが宿命なんだそうだ……、やっぱりコイツラ厨二患者だ。
完全に拗らせてやがる……。
世歴2003年6月1日
この日、(株)タウルスの地下司令室には、5月26日の地震でタガの外れた大人たちが勝手に色々始めちゃったので、仕方無いな~とニマニマブツブツ独り言を言いながら情報の整理をしつつ、今後の支援体制を構築している俺が居る。
そして、うちのBOSSはまったく、と冷めた目で監視しているキャプテンが直ぐ後ろから眺めて居たのだった。
今回の暴発は、偶発的な事故が切っ掛けになって、なし崩し的に行動してしまったレスキュー事例だが、今後同じような事が起きることは多分に考えられる。
元から奉仕精神過多で、熱い性格の人物が多数集まったところに、昴たちのオーバーテクノロジーが加わった結果、起こるべくして起きた化学変化とも言えた。
もう始まってしまった事は仕方が無いし、ここで下手に手を抜くと後で問題が大きくなるのは目に見えている。
過不足のない支援体制を敷き、人命救助に特化する形で被害を最小限に抑えることが出来れば、民衆からの目も良い方に向くだろうと期待して、昴は支援体制と即時連絡網の構築をしている次第である。
でも、やりすぎるなよ~、悪い予感しかしないぞ~。
人は、自分勝手だから皆んなが皆んな良い方に取るとは考えにくい。
事が終わってから有る事無い事ほじくり返すマスコミや、人の悪意っていうのはどうしようもないのよね。
ま~兎に角、死人が出ないだけでも人の印象はガラッと違ってくるから、皆んなには頑張って貰うとしましょう。
現在、4月にお披露目したメガフロートには、まだ専属のスタッフが決まっていない。
今までは、俺とハコ、プレアデスシスターズが直接管制を行っていたけど、人が増えてきたら手が回らなくなるのが目に見えている。
普通に監視管制だけなら、シスターズに任せて無人でもなんとか成るんだけどね。
ここは、メローペを専属で置いて、ここの管制を取らせて専属のスタッフを増やしていくしか無いかな~。
冴島先生の方では、全国から殺到した学術協力の整理でてんやわんやらとの事だし、民間の研究所や他国の研究機関からも問い合わせが有るらしく、同時通訳にマイヤが手をかしているほどだ。
これからある程度の技術と情報を拡散させるなら、この機会に信用のある海外研究機関を選抜して門戸を開いた方が良いかもしれないという話も出ている。
段階的に拡散させるにしても、今のまま日本だけで広めるより、海外を巻き込んだ方が早いのではという意見だ。
ただし、この方法を採った場合、劇薬にも等しいこれらの新技術を拡散する場合の責任を何処に持っていくか、というより絶対に劣化コピーや無責任な事に使用した後で、此方に責任をなすりつけて金を無心するバカが生えてくるだろう事が予想される。
それも国家ぐるみでやりそうな所も出るだろ……、いや絶対やるだろう大陸や半島!
今回、鷺ノ宮校長の人脈で一気に仲間が増えたし、社員内定者も10名、転職希望組も複数いるからこれから一気に増えると思う。
村の方は、すでに受け入れ体制が整っているし、50人ぐらいの社宅の用意もしてある。
早急にメガフロートの方の、受け入れ体制を整えておかないと、住環境は良いとして食料品や生活雑貨に衣料品、家具等は据え付けだから良いとして……寝具とか、これは三河屋のおやじさんに相談しようかな……。
メガフロートも、村みたいなもんだから最低限必要な物のピックアップ頼んじゃおうかな、売店三河屋の出店も視野に入れて対策しよう。
(株)タウルスは、母さんの担当する化粧品部門、父さんは各種センサーの開発と調整にプラントから吐き出される水素発電ユニットのコアの出荷調整に忙しい。
現在、水素発電ユニットのコアを対応する発電機メーカーに発送しているけど、ここはメーカーが専属の警備会社に運搬を依頼しているので今の所は心配ない。
初期のスタッフ3名の仕事は、来客や必要な問い合わせの応対など、大体はマイアが電話やインターホンで一度受けて、割り振るシステムだ。
ここで問題の有る顧客やクレーマーは、警察へ通報するか警備へ連絡される。
マスコミは、母さんが対応している、ほとんどが社外秘の機密扱いだしね。
荒垣さんと冴島先生に上手いあしらい方を教えてもらったらしい。
キャプテンは、当然俺の護衛兼運転手として付かず離れずそばにいる。
以前、外出時はハイエース改で送迎していたけど、クルーザーが使えるように成った時点で普段の足はジェットスキー改トライクになっている。
夜は空飛ぶし、昼間は道路と河川を併用してクルーザーまで移動する。
河川使用には、地域的な決まりも有るけど割と自由に小型ボート扱いで使用できるので、交通渋滞にはあっても今の所上手く回避が出来ている。
東京都心て割と河川を使うことで、時間が短縮できて便利だったりするのだ。
キャプテンとマギーさんは、日本で海技士5級の免許を取りなおした。
ジェニーさんは6級だ。
一緒に小型特殊船舶免許も取ったので、ジェットスキーもOKらしい。
キャプテンは、マギーさんの手配で戸籍も作り直したので、運転免許ほかすべての資格を取り直したり国際免許として使用できるように書き換えたりしている。
流石にNSAの現役エージェント、やることにそつが無い。
俺の船、40m級クルーザーとなると、船長・航海士の他、機関士、通信士など多種多様な資格が必要で、普通に航行させるのにも最低2名は、必要なんだそうだ。
うちのクルーザーは、マギーさんとジェニーさんの2名で取り敢えず運行が可能である。
俺も、試験受けるだけなら今からでもいけるんだけど、海技士は18歳以上っていう縛りがあるし、小型船舶も16歳以上の縛りが有るからまだ当分先の話だよね。
当然、全部受けるけどね俺は……。
前に助けたスペースシャトル・コロンビア号の船長から、マギーさんにコンタクトがあったらしい。
『俺たちも仲間に入れろよ、キャプテンによろしくな!』
メッセージはこれだけだったらしい、どうするか決めてくれとキャプテンから相談されたんだけど、どうしようかな~?
「何で今頃仲間に入れろって言ってきたのかな?」
「多分、日本の災害救助のニュースがステイツでも流れたのよ。プレアデス・ナイツとキャプテンの宇宙服姿は、色違いでそっくりだから気がついたんでしょうね。今はシャトルの老朽化が問題になってるし、しばらく飛ばせる見通しが立たないみたいだからストレス溜まってるんじゃないかしら。それに、スー○ーマンとかバッTマン、最近はG愛ジョーなんてすごい人気みたいだし、ヤッてみたいんでしょ。ほんと大人げないわよね~」
ありゃ~、海外の感染者ですか、そうですか。
どうしようかな~、ホント……。




