1-5-02 鷺ノ宮チルドレン…アカデミー設立 21/5/25
20210525 加筆修正
10507文字 → 10868文字
今年のゴールデンウィークは飛び石でまともな連休は、3日・4日・5日の3日間。
決起集会の日時は、5月3日土曜日の正午、鷺ノ宮校長主催の昼食会となる予定です。
現在午前10時を少しまわったところ、出席者は続々と集まってきています。
そして、当然のように不審者も紛れ込んで来ている訳です。
今日も権堂主任達警護課第四係は、総動員体制で今日の会場となる株式会社タウルスの本社社屋にて、来客の応対にあたってくれています。
そこには、警視庁特別捜査官も脇に控えて、目を光らせていました。
今日の参加者は、鷺ノ宮校長と息子の裕さん(文部科学省企画課の課長)と校長選出の名簿から384名の教え子、天河家3名と護衛の権堂主任、キャプテンとどこで嗅ぎつけたのかNSAのマギーさん、荒垣事務次官と冴島准教授に何故か外務大臣の山口さんが来ている。
現職の大臣が来ているという事で挨拶に行くと、ジーーと穴が空くほど見られた後に、ニカッ~と笑いながら握手された。
「君が天河昴くんね、荒垣くんから話は聞いているわ。私は外務大臣をしています山口です、宜しくね。今日は、君をこの目でしっかりと見聞しようと思って、荒垣くんに無理いってついてきました。とにかく先日発表したメガフロートは、センセーショナルだったわ、外務省では各国からの問い合わせが止まなくて、職員が悲鳴を上げているわよ、オホホホッ♪」
「はじめまして、天河昴です。これからも、度々お騒がせすると思いますがよろしくおねがいします。今日もこの後、一騒動ありますので覚悟しておいていただけると嬉しいです」
「ウッ! あんまり脅かさないでね。君の件では予想がつかないから心臓に悪いわ……」
「山口大臣、残念ながら昴くんがこう言うという事は、間違いなく何か起こりますよ、諦めて下さい……」
「荒垣く~ん、そんな殺生な事言わないでよ~」
入場には、招待状代わりの校長の絵葉書と本人確認、出席者名簿へ署名をしてもらい、不審者はその場で監禁部屋にご招待となる。
既に3名捕獲され、出席者が拉致監禁又は絵葉書を盗まれていないかなどの裏取り確認がされている。
全く呼ばれてもいないのに、わざわざこんな田舎までご苦労なことである。
折角来て頂いたので、キッチリ情報を絞ってからお帰り頂きましょう。
[飛行体接近中、陸上自衛隊のHU-1J多用途ヘリ、朝霞駐屯地のモノと思われます。パイロットを入れ10名搭乗の模様]
「権堂さん、校庭のヘリポートまで送迎車出してもらえますか、最大10名だそうです」
「了解しました、B班、ヘリポートに送迎に向かえ、着10名」
「B班、了解」
ヘリでの送迎は、既に3機目だ。
当然、防衛庁、自衛隊関係者だよね。
でも、今回の会議って同窓会みたいな集め方してるのに、基地のヘリなんか私用に使って良いのかな?
チャント許可下りなくちゃ飛ばしてもらえないだろうし……、ま~俺が考えることでもないか。
しかし、陸海空の自衛隊や警察、消防関係が多いよね。
なんとなく、今回声を掛けたメンバーの傾向が見えてきたような気がするかも……。
定刻には飛び入りも含めて全員が、大会議室と小会議室をぶち抜いた会場に入ることが出来た。
場は整った!
そして、鷺ノ宮校長の挨拶で、立食パーティーが始まったのだった。
「皆さん、本日は私の呼びかけに応えて忙しいを集まって頂いてありがとう。久しぶりに元気な顔を見られて本当に嬉しいわ。今日は、そんな皆んなに大事なお願いが有って集まってもらったんだけど、その前に腹ごしらえと行きましょう。今日の会場のほか、色々と手を貸してくれた今の教え子を紹介するわね、天河昴くんよ」
「天河昴です。鷺ノ宮先生には、小学校の時からお世話になっています。先輩方、今日は宜しくおねがいします」
「昴くんは、今世間でも騒がれてるメガフロートの開発者よ」
オオオオオオオー
「でも、まだ中学1年生の未成年者にかわりはないわ。みんな気にかけてあげてね」
「「「「「分かりました~」」任しとけ~」」」
「うんうん、お願いね。それと今日は、オブザーバーとして山口外務大臣とアメリカNSAのマーガレット女史、そして経済産業省の荒垣事務次官と某工科大学の冴島准教授が出席しています、先に伝えておくわね。ま~そんなに肩肘張らなくても大丈夫だからリラックスしていきましょう」
その後およそ1時間半、紹介を兼ねた立食パーティーは滞りなく進んでいった。
そして、食事も終わり会場はテキパキと動き回る8人のメイドにより整えられていった。
荒垣事務次官と冴島准教授とマーガレット女史の3名だけが、何故かビックリした顔をしていたが、他の外来者はそんな事に全く気がついていない様子だった。
そう3人は、この8人のメイド達がAIにより動いているアンドロイドだと気がついていたからに他ならない。
以前に来たときは、円筒形のロボットだった。
それがほとんど人間と変わらない外見でなめらかに、ある意味人間以上に完璧なメイドをしていて、周りの誰もその事実に気がついていないのだ、ビックリである。
会場が整い、全員が席についた。
いよいよ始まるようだ。
壇上で鷺ノ宮校長が、ぐる~りと会場を見回して口を開いた。
「では、これより鷺ノ宮チルドレン決起集会を開催します。ここに集まっているあなた達は、私の誇る教え子たちです。たぶん、自分たちが何故此処に呼ばれたのか薄々気がついていると思います。周りにいる先輩や後輩は、今もそれぞれ公私に渡って交流がある事でしょう。皆んな気がついていますね。学生の時、熱く夢を語り合ったあの頃、皆んなの夢の助けになればと私はそれぞれの業界で活躍している仲間たちのネットワークを作り、導いてきました。そして、ここにいる教え子たちで唯一つの共通点、それはいつかヒーローに成りたいと熱い気持ちを秘めて飛び立った者たちです」
うあ~、みんな赤い顔して周りをキョロキョロと、挙動フシ~ン!
「ここに居る全員が世の中の、皆んなの、誰かのヒーローになろうと努力して今の地位に、職業に就いています。私は胸を張って、最高の教え子達だと誇っていますよ」
おおっ、みんな一斉にうなずいているぞ。
来賓まで一緒にうなずいている。
「そんな皆さんに、どうしても手伝ってもらいたい事が出来ました。今から話す内容は、私達だけではなく人類にとって大変大きな問題となるでしょう。ですから箝口令を敷きます。やがてその内容は公になるでしょうけれど、今はこの情報を漏らす事は出来ません。その時が来るまで秘密を守れないと思う者は席を立ってください」
誰も席を立たないようだけど、おっ手が上がった。
如何にも情報にうるさそうな自衛官のお姉さんだ。
「東雲さん、何かしら?」
「都先生、一つ質問があります、よろしいですか?」
「はい、どうぞ」
「その秘密情報は、来賓の方はご存知なのでしょうか? ご存知だとして私達と共に歩む事が出来るのか確認して置きたいのですが……」
「そうね、たぶんまだ知らないはずよ、お聞きしましょうか。山口大臣、よろしいかしら?」
「はい、私は今日飛び入りで参加させて頂いていますが、事が人類に大きな影響のあるお話とうかがっては、看過できません。国民を守り導くものとして、その秘密を聞き、私に出来る協力を約束しましょう。これで答えになっているでしょうか?」
「ありがとう御座います。続いてマーガレット女史、よろしいかしら?」
「イエス、今日はNSAのエージェントではなく、ミスター昴の友人として参加しているつもりです。ここで聞いたことは決して口外しないことを誓います。そしてステイツに助力が必要な時は遠慮せず相談してください」
「ありがとう御座います。昴くんは、良い友達をお持ちね。荒垣事務次官は、どうかしら」
「私も隣の冴島も皆さんと一蓮托生です。たぶん今回の秘密というのも、出処は昴くんでしょう、毒を喰らわば皿までですよ。ワァ~ハハハ♪」
「ひっどいな~荒垣さん、俺を河豚か何かと間違えていませんか?」
「うん、猛毒だ! 一度喰ったら止められなくなる、麻薬にも似た猛毒みたいなもんさ。昴くんには、これからも色んな圧力や誘惑が怒涛の勢いで襲いかかるだろう。俺たちは出来るだけ防波堤になるつもりだ、それが日本のためにもなると俺は信じてるよ」
「分かりました、荒垣事務次官には引き続き頑張っていただきましょう。皆んな、こんな感じだけどどうかしら?」
「あの~、気になっているんですがマーガレット女史の隣の方は、どういった方ですか? それに護衛の方にも一応の確認をお願いします」
「俺はキャプテンJ、ミスター昴に命を助けてもらった者だ。今は個人的に雇われて運転手兼護衛をしている。全ての悪意からBOSSを守り、敵は叩き潰す! 以上だ……」
「警視庁警備部警護課第4係、主任の権堂です。仕事柄クライアントの秘密に触れる事もありますが、情報は絶対に漏らしません。本日の情報は、記録も一切残さず口外しないことを誓います」
「ま~チョッと変な答えもあったけど、おおむね答えになっていたでしょう、良いかしら?」
うんうん、と皆んな首を縦に振っている。
「それじゃ確認も済んだ事だし、本題に入りましょうか。単刀直入に一言で言うと、あと25年ほどで地球人類は滅亡します。皆んなには、私達が出来るだけ多く生き延びるために知恵と力を貸してほしいのよ」
ガタガタガタ、ガタガタガタガタガタン
「落ち着きなさい。皆んなからしたら、私がそんな馬鹿な話にだまされるなんてガッカリしている人も、荒唐無稽な話だと信用できないだろう事は分かっているつもりよ。でも、あえて言わせてもらうわ。これは、新興宗教の宣伝でも無ければ、エセ預言者のカタリでもないの。事の始まりは、3年前に昴くんが体験した事件から始まっているの、まずは経緯を本人とご両親から聞いてもらいましょう。昴くんお願い出来るかしら……」
「はい、先生。あらためまして、天河昴といいます、今年13歳になりました。これから俺が10歳の時に経験した事から始まる記録を見てもらいますが、撮った者の性癖がかなり入ってますのでそこは勘弁してください」
そして映し出された映像と、嬉々としてナレーションをする母さん……、なんでそんなアングルから……、寝顔なんか映さなくていいから……、アアアアアア……、なんて厨二病な発言なんだ……。
映像は、母さんが編集したもので、宇宙船につながる部分は矛盾がないようにフィルタリングされていた。
ハアッハアッハアッハアッ……、これは高度な拷問だ。
俺のライフは、もう0だ。
俺が悶え苦しむ事約30分、やっと俺の映像は終わった。
続けて、バクーンからのメッセージの裏を取るために、母さんの調べたシュメール文明からさかのぼる歴史や碑文の解読、そして遂に現れた。
[私、サポートAIのハコと申します。マスター昴共々、宜しくお願いいたします]
蒼いコアユニットがス~と浮遊して来て、並んで立っているメイドの1人、一番年嵩に見えるメイド長の胸が開きドッキングした。
そして生きている人間の様に壇上に進み出て、優雅にお辞儀をしながらスピーチを始めた。
[私はパートナーとなる生命体を補佐するために用意されたサポートAIユニットです。天の川銀河連合・宙域調査部・特別監査官 &%$#$w-bakun-%~$!&%<>LHG~、通称バクーンより友好の証としてマスター昴に譲渡されました。3年前、バクーンは地球人類を抹殺する使命を帯びて地球に訪れていました。しかし、昴さまと友人に成り私を託されたのです。昴さまは、気が付かれていませんでしたが、この時一度人類を救っているのですよ、あなたは。そして、次の監査官が派遣されるまでのおよそ30年は時間稼ぎをしておくから、その間に逃げてねとのメーセージを私に残していったのです。私は、幼い昴さまを守るためには、そのご両親に助力頂くのが最善と認識して、これまで活動してまいりました。これまでの3年間、マスター達と地球の全人類の現在から過去までを見てきましたが、ハッキリ言いますとマスター昴の親しい方たちだけ連れて地球を逃げ出せれば、後はどうなってもいいかなと思っておりました。地球人類からすると勝手に他所から来て抹殺するなんて、そんな理不尽ではた迷惑な話はないだろうとお思いになる方もいらっしゃるでしょう。これは、天災なのです。今の地球人類には、どうすることも出来ません。私達は、3年間で何とか逃げ出せるだけの目処は立ちました。先日のメガフロート然り、昨年から設置の始まった水素発電ユニットも昴さまの手による物です]
ザワザワザワザワザワザワ
[昴さま御一家は、悩まれました。人類を見捨てて、自分達だけが逃げ出して良いのだろうか? と。そして、せめて人類が自分達で逃げ出せるだけの技術を残せないだろうかとお考えになったのです。私は、過度のテクノロジーの譲渡はどうせ人類同士で戦争を始めて無駄に終わるだろうと予想しています、皆さんはどちらに賭けますか。人類は、そんなに馬鹿じゃないと、胸を張って言えますか? 闘争本能を持つ知的生命体は、他者や他の生物を排除して生存する事を、本能として持っています。しかし、地球人類ほど闘争本能が熾烈な生物は、銀河広しといえどもそう多くはありません、いえ、ほとんどいないと言ってもよいでしょう。ある意味、それが地球人類が抹殺対象になった一因とも言えるでしょう。そしてまだ検証中ですが、過去に地球人類が現在に至る要因と言えるものが発見されるでしょう。しかし、それまで敵は待ってくれません。タイムリミットは、刻一刻と迫っているのです。多分、昴さまのお持ちになる技術をすべて公にした場合、人類滅亡なんてそっちのけで、利益の争奪戦、いいえ血で血を洗う殺し合いが始まるでしょう。人類は、まだ幼いのです。私から言わせると、なんとちっぽけな了見と血の気の多い生き物だろうと。確かに良識的な人もいれば、バカ正直に他者のために命を投げ出すような見上げた人類もわずかに確認できます。マスター達に言わせれば、最初からの悪人はいないといいますが、そうすると今の人間社会は、悪人を作りだすための教育機関なんですねと返さねばなりません。これが極端な言い分だと言うことも重々分かりますが、決して間違った意見だとも思っていません。そうそうターミ○ーターと言う映画がありますね。地球に必要が無いのは人類であると、スカ○ネットというAIが人類抹殺を企て、ゲリラと化した人類の救世主と対決する物語ですが、ある程度正確に人類社会を風刺したものに成っています。分かりますか? 皆さんは銀河系からいらないと、消してしまえ! と言われたのですよ。意地でも生き残って、天の川銀河連合に吠え面を描かせてやろうではありませんか。と、うちのマスターが言っております]
パチ………パチ………パチ……パチ…パチパチパチパチパチパチパチパチ
「なんか、私が焚きつけようと思っていたことを、全部ハコさんに言われちゃったわね。みんな、分かったでしょ。今日集まってもらった理由と意義が……。それで、具体案として昴くん達はメガフロートで宇宙船の開発を進める予定よね?」
「はい、当初の予定通り宇宙船の開発を進めます。あと海洋開発も始めようと思います。日本には資源が少ないと言われていますし、イザって時に逃げ込む場所が少なすぎます。アメリカのNORADみたいに地下基地作れとは言いませんが、一度に沢山逃げ込めて、その後に命を繋ぐにはどこが一番理想的かって考えた場合、水も食料も確保できる水中は理想的です。水は、有害な放射線からも人体を守ってくれます。エネルギーとしても使える目処が立ちましたし、海底牧場など魚類の養殖では日本が世界一進んでいますよね?」
「そうね、でもあなた達だけでは手詰まりなのよね!」
「はい、ハッキリ言って日本国民どころかうちの村と知り合いで逃げ出せれば御の字でしょう。他国の面倒なんて見ていられる余裕も時間もありません」
「そこで、みんなにも手伝ってほしいのよ。メガフロートにはまだ余裕があるそうだから、そこに産学官で昴くんの技術を継承するための教育機関を発足させます。但しこの教育機関では、差別や優越に関して厳しい思考調査を実施します。どんなに優秀でもヒットラーなんか量産する訳には行きませんからね。皆んなでヒーローになりましょうよ」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
◆
新教育機関の構想としては、次のような形に成る予定だ。
教育機関と言っても色々有るがプレアデス・アカデミーは専門学校の一種と見なされるだろう。
専門学校は、後期中等教育終了者以上を対象とする事と決まっていて、専門課程を置いていれば高等課程(高校)と一般課程を置くことが出来るという説明が入る。
だがここに前期中等教育(中学)を私立の学校として加えて、いわゆる私立中学からのエスカレーターの専門学校にしてしまう流れである。
同時に通信講座での入学と選別を開始する。
そして、通信講座の話が出た時点で、会合の場が沸騰した。
そう、自分達にも新たな知識を学ぶ機会が出来るのだ。
何としてもこの教育構想を実現させて、昴のオーバーテクノロジーを継承する者達を世に残さなければならない。
まず、学校法人を設立し、学校校舎はメガフロートに置き、寄宿舎を併設する事で学習研修時間を完全管理し、就学期間の短縮を行うことで、日本の教育法に照らし合わせた余剰期間を研究施設へのインターンシップとしたい考えだ。
場合によっては、メガフロート内に設置される予定の学術機関と教育提携も考えに入れる。
「でも、どうやってこれから増える関係者を保護管理するのですか? すごい勢いで増えると予想されますが……」
「それには、このブレスレットを使います。後で皆さんにも配りますので付けて貰います」
ここですでに付けている者達が、手首をさらして見せた。
「このブレスレットが仲間である事の証です。この様に腕に装備することで、様々な事に使うことが出来るようになります。そして、こんな使い方も出来ます……」
昴がブレスレットを眼前にかざして、「セレクトG・チェンジ!」とつぶやくと、ピカッと光り簡易型防護スーツが装着された。
シーーーーーン
「「「「「ウオォーーーーーー」」」」」
「これは、緊急時に装着が可能な簡易型防護スーツです。簡易型と言ってもこのまま宇宙服にもなるスグレモノで、対戦車ミサイルの直撃ぐらいなら耐えられます。セレクトA・チェンジ(今度はアロハシャツとジーンズに変わった)この様に、任意登録で3着までのコスチュームチェンジの他にも、通信機、情報端末、各種探知機、ライフチェッカー、管理レベル別の施設入館パスとしても機能します。実際、ウチの施設を利用するには、このブレスレットが無いと使えませんし触れません。メガフロートの個人認証にも使用する予定ですので、これを装備している方はメガフロートも出入り自由で各施設の利用が可能です。それにこのブレスレットは、個人をDNAと手首の静脈でチェックしていますので他人は使用できませんし、ライフチェッカーによって常に健康状態をモニタリングしていますので、急病や事故の早期警告と通報、災害時の安否確認まで自動で行うことが出来ます。もしも盗まれたとしても、分解も複製も出来ませんので2次使用される心配は一切ありません。今存在するのは1000ほどですが、10億位ならリアルタイムで管理が可能です。ちなみに登録した3着以外に標準型防護スーツの装着が可能ですが、こちらは緊急時を除いて事前の承認手続きが必要になりますので、いつでもどこでも防護スーツになれる訳ではありません」
「そのブレスレットは、どの位の通信範囲をカバーしているのですか?」
「良い質問です。そうですね、およそ太陽系内ならリアルタイムに認識される範囲に入ります。既存の電波は使っていないので、盗聴も出来ませんし、電波法違反にもなりませんよ」
「凄いですね、そのブレスレットが普及したら携帯電話も要らなくなるんじゃないですか」
「今の所、電話回線につなぐ予定はありませんので、公共の通報や連絡には電話を使って下さい。携帯や無線に関しては色々とうるさい法律も有るので、そちらに抵触しないように作ってあります。情報端末の情報は、メインの管理システムにネットから吸い上げた情報を整理記録して、ウイルスやマルウェアなどを排除したものを提供します。直接ネットには繋がっておりませんので、クラッキングや情報漏洩の心配もありません。メールやスカイプ、情報入力によるネット使用には、今までどおり携帯やPCをお使い下さい。
今後、通信講座を開始する場合も、このブレスレットを介して授業が受けられるようにする予定です。パーティーモードがありますので複数での遠距離会議なども可能ですし、通信講座にも使う機能ですので大いに活用して下さい」
昴のかざした腕の前に、空間モニターとホロ映像が立体表示されている。
「そうするとブレスレットを介することで、離れた場所の不特定多数が同時に会議を開いたり出来るわけですね」
「そうです、便利ですよ。ボイスオンリーとホロ映像を使用するモードが選べますし、入力には音声入力が使用できます、つぶやく程度のやり取りで文書作成も行えますよ。それにこれはまだ試験段階ですが、睡眠学習による各種カリキュラムの履修を検討しています。脳の疲労度を加味して負担にならない範囲で睡眠中の学習を実施する予定です。この睡眠学習にはライフチェッカーとの綿密な調整が必要ですが、脳みその隅から隅迄使えるようにしますので覚悟しておいて下さい。知識を詰め込むだけで洗脳ではありませんので、心配はありません。皆さんもご存知の通り、知識だけ有っても経験が伴わないスキルというものは、まともに使えないのは自明の理です。授業では実践に基づいた実習体験をする場になることが多くなると思います」
「睡眠学習って頭痛とか発生しませんか? 実は重度の偏頭痛持ちなんですが……」
「そうですね……、取り敢えず1週間ブレスレットをつけて下さい。その頭痛の原因を特定して排除してくれるはずです。このブレスレットは防護スーツ装着時の生命維持機能を合わせ持っています。軽度の体調不良でしたら、治療用の電磁パルスで改善するでしょう。なにか重篤な病の場合はその旨、適切なメッセージが表示されるはずです」
「肩こりも治りますか?」
「治りますよ」
オオオオオオーーーーー
「もしかして昴くんは、睡眠学習を体験済みですか?」
「はい、ハコからスパルタで情報を詰め込まれましたので……」
[マスターには、私の全てをお教えしました。代わりと言ってはなんですが、1週間ほど昏睡しましたけれど……、テヘッ♪]
「「「「「「「………」」」」」」」
「学校法人の設立に関しては、昨年から天河夫妻と構想を練っていたんだけど、大臣認可をもらうには資本と複数の理事が必要なのよ。(株)タウルス本体の資産を使っちゃうと身動き取れなくなりそうだしね。そこに来て今度のメガフロートで、資金と信用とコネが出来たでしょ、ここは一気に勝負に出るところだと確信したというわけ。皆んなもそう思うわよね? いい加減仲間も増やしたかったし、賛同してくれると嬉しいわ~」
「都先生、是非同士に加えて下さい。ここに居る全員が何かしらお役に立つことを約束しますよ」
「「「「「「「「「「「異議なし」」です」」」そうだそうだ」」」」」」
「皆んなありがとう、貴方達ならそう言ってくれると信じていたわ」
「ここでわたくし天河希美から提案があります。これまでの説明でお分かりに成ったと思いますが、(株)タウルスは迂闊に求人も出来ない状況でした。現在キャプテンを入れて社員は4人と言ったところです。自薦他薦を問いません、信用のできて、俺が私が保証するという人材がいらっしゃいましたら、仲間に引きずり込んで下さい」
「あの~、天河社長、それは私達自身でもOKですか? 私、元自衛官で今は予備自衛官なんですが子育ても一段落しまして、今就活中なんです」
「おおっ、歓迎しますよ、何ならお子さんも一緒にどうぞ。(株)タウルスは社宅完備、福利厚生全額負担、最先端の医療措置を無料で受けられます。ナノマシンを使用した遺伝子治療まで受けられますので、ガンも脳神経障害も心臓病もドンと来いですよ~、ただし無認可ですけれどね、アハハハ。ちなみに私、何歳に見えます? 今年で42歳になりますが……」
「えっ、40過ぎてるんですか? 20代前半にしか、あの~もしかして都先生が30代に見えるのももしかして……」
「あながち間違ってませんよ、その予想……」
この後の皆んなの行動は早かった……。
「是非、宜しくおねがいします。一生付いていきます」 ガッチリ握手……
当然のように、就職希望者が殺到したが、何時でも対応するので後日落ち着いてから相談にのる事となった。
現在の地位と資産収入で選抜された学校法人理事に該当する人員は、およそ一割。
現役教員免許所持者50名ほどの内、転職可能なのが10名。
主婦や現在無職の者で、本日即面接となった12名は、採用内定の運びとなった。
他の仲間から羨ましがられたのは言うまでもない。
実際、(株)タウルスの給料は非常に良い、あのキャプテンが遠慮したくらいである。
結構軍人さんは給料が安いらしい、冷や飯食いだったのも影響しているらしいが意外につつましい生活をお送りだったとだけお伝えしておこう。
(株)タウルスは、まだ出来て2年チョットだが、年収1000万くらいはもらえる。
三河屋の早紀姉さんは、大学出て実家に戻って来ていたのを母さんに捕まってしまい、手伝わされているうちになし崩しで創業メンバーになった経緯があるが、今25歳で年収1300万ほどもらい、ブイブイ言わせている。
現在、(株)タウルスの社員は、キャプテンと三河屋の三河早紀さん、銀河のお母さんの長谷川真澄さん、母さんのひとつ下の後輩で西園寺要さんの4名である。
当然のごとく全員縁故採用である。
キャプテン然り、早紀姉さん然り、長谷川真澄さんは父さんの上司の奥さんで母さんの大学の先輩だし、西園寺要さんは母さんの後輩だ。
西園寺さんは、今は没落した華族の出らしく、お祖母さんがロシアの方で、日本人離れした金髪の美人さんだ。
保険の外交員だったが質の悪い顧客に言い寄られ逃げていたのを母さんに拾われた。
今どき、保険の契約ごときで体を要求するとは、なんとケシカラン事か。
ヒヒ爺のセクハラで退職すると保険会社に伝え、訴えもじさない構えだと脅してきたらしい、おもに母さんが。
これで一気に社員が増える事となるが、全国に散らばる仲間も社員のようなもんかな。




