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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第3章
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81話

「俺が『いまだ!』っていったら、俺をフェンシエルから少し離れたところにテレポートさせて欲しい」

「テレポートなのですか?」

「あぁ、フェンシエルは毒玉を放つ前、少しの間だけど、魔法を吸収する力も消えるんだ。その隙を狙う」


 無防備になったフェンシエルに攻撃して倒す。


 でも、今から俺がやることはみんなにも危険が伴う。


「でもソラ様……飛んでくる毒玉はどう対処すればいいのですの? (わたくし)たちにそんな力は……」


 そう……俺の攻撃が成功すれば、エルシーは安全が、他のみんなはフェンシエルの放つ毒玉を対処をしなければならないのだ。


「フェンシエルの毒玉はリラの最上級魔法で防いで欲しいと思っています」


 俺の言葉にみんなが驚いた顔をしてリラを見る。

 みんな、リラが最上級魔法を使えることを知らなかったのだ。

 別にリラが最上級魔法を扱えることをみんなに秘密にしていたわけではない。

 ただ聞かれなかったから言わなかっただけだ。

 『最上級魔法使える?』っと聞いたらリラは元気よく『使えるよ』っと答えることだろう。

 まぁ、そんなことを聞く人はいないと思うが……

 何故なら、最上級魔法を扱えるとしたら巫女か勇者くらいだからだからだ。


「わかったよ……私、がんばる」


 フェンシエルの毒玉を相殺させた黒い雷の斬撃でも、リラの最上級魔法の前では意味をなさない。

 それくらい今からリラが放つ魔法はすごいのだ。


「俺がまず黒い雷の斬撃…………長いから雷黒斬らいこくざんと名付けるけど。俺がフェンシエルに雷黒斬を放つ。行動を起こすのはそれからだ」


 フェンシエルが雷黒斬を避けたら必ず毒玉を放つはずだ。

 できるだけリラから離れないように言って俺はフェンシエルがいる方向に向き直る。

 そして俺はフェンシエルに向けて雷黒斬を3連続放った。

 フェンシエルは俺の予想どうり雷黒斬を避け続けた後、地面に着地し、周りに魔力を集めだした。


「いまだ!」

「テっ!? テレポート」


 無の巫女のペンダントが輝き、俺とエルシーはフェンシエルの横に一瞬にしてテレポートした。


 丁度、フェンシエルは4つ目の毒玉を作り終えようとしているところだ。

 当然、魔法や魔力を吸収する力は消えている。

 俺は足に力を入れトップスピードでフェンシエルに斬りかかる。

 ザクッと剣先がフェンシエルに刺さった瞬間フェンシエルが苦しそうに吠え始めた。

 そして、吠えたと同時に4つ目の毒玉は完成せずに消滅し、すでに完成していた残り3つの毒玉がリラたちの方に飛んでいく。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「サーグ・デ・フーマ」

 

 リラが両手をまえに突き出し、魔法を唱える。

 すると、風の巫女のペンダントが輝き始め、魔力を持った風がリラたちの周りを回り始めた。

 その風が周りの空気を集めていく。

 空気が移動し始めたことにより、強い風が吹き始めた。

 その強い風すらも集めて吸収し、魔力を持った風は、渦を作りながらどんどん大きくなっていく。

 結果、リラたちの周りにはあっという間に龍のようなサイクロンに囲まれた。

 そのサイクロンは毒玉に向かっていき、一つ、また一つと毒玉を飲み込んでいく。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 リラがサーグ・デ・フーマを唱えたと同時にフェンシエルは俺の方を向き、これでもかってほど大きく口を開けた。


(やっ! やべ!?)


 どう見ても俺を食べる気だ。


「俺は美味しくないぞ!」


 俺は聖剣アルダートを両手で持ちフェンシエルに深く刺したまま、横に走り、今まで一番大きい雷黒斬を放った。



 フェンシエルは口を大きく開けたまま、ピクリとも動かなくなる。

 俺はフェンシエルを倒したのだ。


「やば!?」


 少し安心したからか、一瞬身体がふらついた。


(まだ、倒れるわけにはいかない)


 俺にはまだやるべきことがある。


「ソラ様!? フェンシエルが!」


 後ろからエルシーの声が聞こえた。

 まだ、生きていたのかと思い、俺は再び聖剣アルダートを構え、フェンシエルを見る。


 フェンシエルの全身が淡く光っていた。

 そして、だんだんと小さくなっていき、俺の目の前からフェンシエルは消失した。

 かのように普通の人なら見えただろう。

 だけど今の俺は魔力が見える。

 フェンシエルは消失したのではなく、何故かわからないが、フェンシエルは聖剣アルダートにすいこまれたのだ。


(そう言えば!)


 

 フーライラを倒した時に、何故か分からないが、フーライラの死体が見つからなかった。

 

リラは『フーライラが空中消えた』と、言っていたが、その時も聖剣アルダートに吸い込まれたのだろう。


 俺はリラたちの方を見た。

 無事に毒玉を防ぐことに成功し、俺がフェンシエル倒したことをみんなで喜んでいるようだ。

 リラは魔力を大量に使ったことにより、魔力切れの一歩手前なのか、ペリルとカカリに支えられている。


「ソラ様! 流石なのです!」


 エルシーがそう言いながら俺の方に駆け寄ってくる。

 そして、勢いよく俺に飛びついた。


 後ろから『あっ!?』っと声がしたが今は気にしないでおこう。


「ありがとな。フェンシエルを倒せたのはエルシーのおかげだ」

「お安い御用なのです! でも? フェンシエルが消えたのは何故なのです?」

「それについてはこの戦いが終わったら話すよ。だからエルシーはこの袋の中に入っているムシアミを使って、新魔王軍の部下を捕まえておいてくれ」


 俺はポケットからサフィークを取り出しエルシーに手渡した。


「俺は輝たちを助けに行ってくるよ」


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