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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第3章
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第七十九話

更新遅くなってすみません。

不定期ですが更新を再開します。


「こいつは人の魔力を集め、喰らい成長する魔物……フェンシエルだ。お前らも生きていれば一度は聞いたことがあるだろう」


 いつの間にか気を失っている幹部二人を(かかえ)え、全身防具の幹部が立ち上がっていた。


「フェンシエル?」


 俺は魔物の名前を聞いてもピンとこない。

 でも、フェンシエルと聞いて他のみんなは、『嘘でしょ!?』という顔で驚いている。

 凄い魔物なのだろう。


 わからないって思っていたことに気づいたのか会長さんが簡単に説明してくれた。

 フェンシエルは勇者ツバサが倒したとされている伝説の魔物の一体。

 つまり、フーライラと同等の強さを持つ魔物……



「まぁ、お前らはそこの精霊族の娘に守られたお陰で魔力は吸われなかったようだがな」


 そう言って、全身防具の幹部が俺の後ろ指差した。


(精霊族?)


 俺は後ろを振り返る。

 その先には……


「えっと……誰?」


 薄いピンク髪の見知らぬ女の子が立っていた。


「ソラくん……この方はトピアリーさんですよ。私たちもギルドカードを登録した際に精霊族だって知ったんですけど……」

「トっ!? トピアリーさん! 本当に?」


 辺りを見渡したが、先程までいたトピアリーさんの姿がない。


「私はメリナ・トピアリーです」


 女の子は自分でもトピアリーと名乗っているが、それでもこの人がトピアリーさんだとは思えない。

 大体、見た目が全然違う。

 今のトピアリーさんは背は低くなり、少し子供っぽくなっている。


「今、カナタくん。私を見て幼いって思いましたよね」

「そんなことは思ってません。でも、なんで姿を変えていたんですか?」

「けっ!? 決して今の私に自信がないから姿を変えていたわけじゃありませんよ…………セイレイゾクハスガタヲカクシテセイカツヲシナケレバイケナインデス」


 最後の方は見事に棒読みだ。

 一応ここは、トピアリーにのっておこう。


「精霊族は大変なんですね。でも、今のトピアリーさんも十分可愛いですよ」

「まっ! まぁ、私は……カナタくんになんと思われようとも気にしませんけどね」


 顔を隠しながらトピアリーさんは言った。

 どうやら照れているようだ。

 そんなトピアリーさんも『可愛いな』と思っているとエルシーが俺の前にやってきた。


「そんなことより今は! あの魔物をどうにかしないのなのですよ。でないと街が……」


 そうだ。今は戦いの場面。まずはこっちをどうにかしないと……

 それに、全身防具の幹部は魔力を集めて喰らったと言った。

 もしかしたら、輝たちの魔力が喰われたのかもしれない。

 魔力がなければ、向こうの戦いはもっと辛くなっているだろう。

 早く向こうに加勢しなければならない。


「やっと話が終わったようだな」


 どうやら話が終わるまで待ってくれていたようだ。


「もうじき、フェンシエルは俺の支配下から解放される。逃げるなら今のうちだぞ」

「逃げる? そんなこと! できるわけがないだろ!」

「なら、勝ってみせろ。あの時のツバサのようにな」

「ツバサ? お前は……じいちゃんを知っているのか?」


 今、全身防具の幹部は『あの時のツバサのように』と、言った。

 つまり、こいつはじいちゃんがフェンシエルと戦ったところを見ていたということになる。

 でも、じいちゃんがこの世界にいたのは700年前の話。

 ヒト族である全身防具の幹部が700年前の人間なら、今は生きているはずがない。

 それはヒト族ならの話だが……


「じいちゃん? ツバサがってことか……まさか!?」


 全身防具の幹部は俺の質問に答えず、『フーライラを倒したのは』など、ブツブツ何かを言っている。


「連れて行こうと思ったがーーなら必ずーーを守っーーだろう」


 とても小さい声だったので完全には聞き取れなかった。


 全身防具の幹部は後ろを振り返り、ここから立ち去ろうとする。

 俺は引き止めようと、声を出すが、フェンシエルの遠吠えによってかき消された。

 全身防具の幹部が他の幹部を地面におろし、ポケットから何かを取り出す。

 そして、全身防具の幹部の下に魔法陣見たいのが現れ、次の瞬間、幹部たちの姿が消えた。

 テレポートしたかのように


「ソラ! くるよ!!」


 リラが言った通り、フェンシエルがすごい勢いでこちらに向かってきていた。


「スパイラルフレイム!」


 俺はとっさにフェンシエルにスパイラルフレイムを放った。

 フェンシエルが炎の渦によって囲まれる。


「やったの?」


 ペリルがフラグのようなことを呟く。

 炎の中からフェンシエルの鳴き声が聞こえたのと同時に、スパイラルフレイムの炎が消えた。

 フェンシエルは何事もなかったように俺たちの方に再び向かってくる。


「カナタくん! フェンシエルに上級魔法を放っても喰らい吸収されるだけよ」


 確かに、少しフェンシエルの身体が大きくなった気がする。

 フーライラは雷の鎧で魔法を防いでいたが、今度は吸収……流石伝説の魔物。対魔法チートだ。

 俺は急いでサフィークから聖剣アルダートを取り出した。

 そして、アルダートに魔力を込める。

 が、


(間に合わない)


 フェンシエルは目の前まで迫っていた。

 俺はとっさにアルダートを横に振りかざす。


「…………!?」


 ビリッっと音がしたと思ったら、アルダートから黒い雷の斬撃が飛び出した。

 その雷の斬撃がフェンシエルを突き飛ばす。


「なんだ今のは……」


 魔法の効かないフェンシエルに効いた黒い雷。それはまるで、フーライラの攻撃のようだった。


名前のセンスのなさは気にしないでください。

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