第七十七話 幹部
「現在、新魔王軍がリフホーネに向けて侵攻している」
ダーマリーさんは片手におにぎりを持ってそう言った。
今、ここに集まっている全員が手におにぎりを持っている状態だ。
何故、こうなったのかというと、あの場にダーマリーさんが現れた時、美味しそうにおにぎりを食べている勇者たちを見たあとこう言ったのだ。
『皆、戦いの前には腹ごしらえが必要だ。そこのおにぎりをいただくことにしよう。決してに私自身がそれを食べたいわけではないぞ』
と、
周りにいた人たちも、勇者たちが食べているのを見て食べたくなっていたのか、ダーマリーに言われた後、ぞろぞろとおにぎりを1つ取っていった。
「それではまず、今、確認されている新魔王軍の幹部は3人、種族は魔族が2人にヒト族が1人だ。そして、新魔王軍らはなんらかの方法で魔物達を操っているAランクやSランクの魔物も確認された。絶望的な状態だ」
ダーマリーさんが不安そうな顔をしている人たちを見渡した後、『すぅー』っと鼻から息を吸い……
「だが、私たちは負けるわけにはいかない! 今、私たちが手に持っているのは700前、勇者ツバサと7人の巫女様たちが大事な戦いの前に必ず食べていたと言われている、伝説のおにぎりだ」
「えっ!? マジで?」
「ソラ様は知らなかったのですか? そう言う私も文献の絵でしか見たことがなかったのです」
冒険者やダーマリーさんと数人以外の他の魔法騎士団の団員たちは『これが!?』と言う顔で驚いているが、伝説と言われてもピンときていないようだ。
それでも、勇者ツバサや7人の巫女が食べていたと聞き、目を輝かせている。
おにぎりが伝説の食べ物だと知っているのは、どうやらエルシーの言う文献を見たことのある人だけのようだ。
輝たち勇者も驚いている。
「皆! これを食べて新魔王軍に勝つぞ!」
そう言ってダーマリーさんがおにぎりにかぶりつくと同時に他の人たちも『おー!』と叫びおにぎりにかぶりつく。
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「勇者様方は、輝様が選んだ15人を3つに分けてもらい、5人パーティーで新魔王軍の幹部を倒してもらいたと思います。残り15人の勇者様方はSランクの魔物をお願いします」
おにぎりを食べ終えた後、魔法騎士団副団長であるリーヴルさんがこれからの行動について説明してくれていた。
ますば魔法でできるだけ魔物を倒す。魔物の軍団を分裂させ、魔法騎士団の精鋭と上級冒険者たちがAランク以下の魔物を相手にしながら、AランクとBランクの魔物を相手にし、他の魔法騎士団と冒険者たちでBランク以下の魔物を倒す。
「カナタくん!」
突然、リラが俺の名前を呼んだ。
リラの方を向くと、何故か焦っているように見える。
「上に何かいる!」
「ん? 上?」
俺は上を向いた。
そこには、3羽の小さな鳥が飛んでいた。
「ただの鳥じゃないか」
「ソラ、よく見て! あれは鳥じゃないよ」
俺は再び上を向いた。
黒い鳥はさっきよりも大きくなったように見える。
と、言うより今もなお大きくなっている。
あれは小さい鳥などではない。
あれは……
「ドラゴン?」
小さな鳥だと見間違ったのは、空を高く飛んでいたから……
物凄いスピードでこちらに向かって急降下している。
だんだんと他の人たちも上空のドラゴンに気がつき、慌て始める。
そして、3体のドラゴンが目の前まで降りてきた。
背中には白い髪に紅い目、色白い肌をした男が2人、全身を防具で身を包んだ長身の人間が1人、それぞれドラゴンに乗っていた。
「おっ! 結構集まってるなぁ、まっ、いくら雑魚が集まっても俺たちには勝てないけどな、お前もそう思うだろラグナ」
「ケッケッケ、酷い言いようだなダルク。あいつら雑魚だと言うことには俺も賛同するがな」
俺たちに聞こえるように、大声で話す2人。この2人は魔族のようだ。
多分こいつらが、新魔王軍の幹部だろう。
と、なるとあの全身防具のがヒト族の幹部だ。
「2人とも無駄な私語はよせ、対象を発見した」
「ほんとですかルネードさん! 城内ではなく、姫さんがここにいるとは思いませんでしたよ。これなら、あっちの魔物はいらなかったんじゃないですか?」
「ケッケッケ、手間も省けたことだし、ルネードさん早いとこ殺しましょう」
(今、殺すって言ったか?)
しかも、『姫さん』っていっていたから、エルシーかカカリのどちらを……
取り敢えず……
「【アースグラビティ】」
俺は3体のドラゴンに向けて【アースグラビティ】を放った。
リンデさんとヒルデさんと戦った時は相当手加減をしていたが、今回は全力だ。
ドラゴンたちは咆哮をあげることもできずバタンと倒れる。
当然、上に乗っていた新魔王軍の幹部らもだ。
みんな、突然のことに驚き唖然としていた。
「そら、これってお前がやったのか?」
「ちょっとこいつらに聞きたいことがでかさたから。輝、こいつらってさ、輝新魔王軍の幹部であってるよね?」
「こいつらは初めて見るが、新魔王軍の幹部であってると思うぜ」
初めて見るってことは、こいつらは輝たちの因縁の相手ではないのか……
それなら俺がやっても問題はないよな。
「ダーマリーさん、ここは俺がやっとくんで、先に行っててください」
俺の言葉に周囲が唖然とする。
「カナタくん……本気で言っているのか?」
「大丈夫ですよダーマリーさん。幹部たちは殺したりしませんから」
あのドラゴンは倒すけど。
「そう言うことではない。相手は新魔王軍の幹部とAランクの魔物グロウリードラゴンだぞ! いくらカナタくんでも……」
ダーマリーさんは最後まで言わず、話すのをやめた。
輝に彩香、それに美咲がダーマリーさんの前に出てきて、言葉を遮ったのだ。
「ダーマリーさん、今のそらはキレてるみたいなんで、なんて言おうと無駄ですよ」
俺がキレてる? そりゃ、大切な人を殺すって言われたら、キレないわけがないだろ。
「そらなら大丈夫強いから。現に幹部たちは動きを簡単に封じられている」
「そうですよ。ここはそらに任せて、魔物の侵攻を止めましょう」
「わかった。ここはカナタくんに任せよう」
ダーマリーさんはそう言って、新たに指示を出し、魔物を討伐に向かった。
でも、その場に残っている人もいる。
エルシー、リラ、カカリ、ペリル、会長さん、トピアリーさんの6人だ。
「会長さんたちは、俺に内緒で活躍して、驚かせんるじゃなかったんですか?」
「私たちはソラ様と一緒にいますわ。この方たちは私たちにとっても無視のできない発言をしましたので……それに、幹部が部下を連れて来ないわけないですわ」
俺たちを雑魚呼ばわりしていた幹部たちが、部下を連れてくるわけがない。ありえない。
と、 そう思った瞬間、フラグが立ったかのように、グロウリードラゴンよりも一回り小さいドラゴン12体が、それぞれ部下らしき人物を乗せ現れた。




