第七十三話 部屋の中ⅱ
「私のですってどうゆうことですか?」
今のは聞き間違いだろうか?
エルシー様は今、部屋から無くなっていたと、言っていた気がする。
(確かこの日記は……)
美咲が拾ったって言っていたものだ。
少し怪しい部分もあったけど……
(聞いてみればわかるか……)
「美咲……前にこの日記を拾ったって言ってなかったか?」
「………………エルシー様の部屋の中で拾った」
それは拾ったと言っていいのだろうか……
「この日記はそらの祖母の物。だから、そらに返した」
「どうゆうことなのです?」
エルシー様が首を傾げ、美咲に尋ねる。
どうやらエルシー様は、俺が、勇者ツバサと初代無の巫女エルシャの孫であることは言っていないみたいだ。
と、言うことは……
俺が聖剣を持っていることも知らないのか?
「話の腰を折って悪いですが……エルシー様は俺のことをどこまで知っているんですか?」
「本当だったら私が召喚していた勇者様だったですが、女神レーアス様の魔法によって横取りされ、別の場所に召喚された勇者なのです。あと……未だに信じられないですが……あのフーライラを倒したということぐらいなのです」
(横取りって……)
レーアス様がこれを聞いていたら、神がかりをしてまで、否定しにきそうだ。
神なのに、『人聞きの悪い』と、言いながら。
まぁここには、まだ巫女候補である、エルシー様しかいないが……
「それで、『そらの祖母の物』とは、どうゆうことなのですか?」
「えっ!? そらがフーライラを倒した!? どうゆうことなの?」
エルシー様と彩香の言っていることは違うが、綺麗に言葉が重なった。
「こんどは、なんなのですか?」
エルシー様は、顔を真っ赤にして彩香の方を向き、言ったが、彩香は美咲と輝を見ていた。
「どうして二人はそんなに冷静でいられるの。そらが噂になっていた少年だったのよ」
「私がエルシー様にそらがフーライラを倒したと言った」
「俺は知っていたし……」
それを聞いた彩香は俺を睨んだ。
それと同時に、黒いオーラがバンバン出てきた気がする。
みんなも彩香からでる、黒いオーラを感じ取ったのだろう。
一歩、二歩と彩香から離れた。
エルシー様に至っては、涙目になり、ぶるぶる震えている。
「このことは、普段内緒にしているから、みんながいるところでは、話せないんだ。彩香には話す機会が無かっただけなんだって……」
「それならいいけど……」
納得してくれたようだ。
黒いオーラが霧散して言った気がする。
「他にも言ってないことがたくさんあるんでしょ? その日記ついてとか……」
「そうなのです。その日記は、初代無の巫女であるエルシャ様が書いたものなのです」
『エルシャ様』と聞いて彩香と輝は誰だそれって顔になった。
「エルシャ様は、勇者カナタ・ツバサを召喚した偉大な人なのですよ。
「「奏多……翼? 」」
彩香と輝が俺の方を見た。
「この日記には、勇者ツバサ様が聖剣アルダートをロナテーナに封印したことや、エルシャ様が勇者ツバサ様の故郷について言ったことが書かれているのです」
俺は二人に【エルシャの日記】を見せた。
日記を読んだ彩香は、何かに気がついたようだ。
驚いた目で俺を見ている。
「まさか、そらが隠していることって……」
二人は俺の両親と妹には会ったことがあるが、祖父と祖母には会ったことがないし、名前も知らない。
が、どうやらわかったようだ。
エルシー様は、『んっ?』って顔をしている。
「俺は勇者ツバサと初代無の巫女エルシャの孫です」
「…………へぇ?」
エルシー様が素っ頓狂な声を出した。
「エルシー様は信じれないと思いますが、俺の話を聞いてください。もしかしたら、エルシー様にも関係のある話ですので……」
エルシー様は頷いた。
俺はまずはあることを確かめることにした。
「単刀直入に聞きます。エルシー様、貴方は無の巫女ですね?」
「そうなのです。私は2代目無の巫女なのです。なんで知っているのですか?」
エルシー様はあっさり認めた。
「風の噂で聞いたんですよ。それよりも、エルシー様は無の巫女のペンダントをお持ちですか?」
「ペンダントなら、たくさん持っているのですよ」
そう言ってエルシー様は、机の所まで移動し、引き出しを開けた。
ペンダントやネックレスなどの高価なものがたくさん入っていた。
その中には、無の巫女のペンダントらしきものが、入っていた。
「そのペンダントを持ってもらえますか?」
「これです?」
「それです」
エルシー様が無の巫女のペンダントらしきものを手に取った。
それを確認した俺は、女神の指輪に魔力を注ぐ。
すると……
「ペンダントが光っているのです!」
エルシー・リフホーネは無の巫女だった。
「俺には、二つの使命があります。一つは、新魔王を倒すこと、もう一つが、7人の巫女を探すことです」




