第七十一話 部屋の中I
いつの間にか、そらの親友である輝の名前が翔になっていたので修正しました。
エルシー様の部屋の前で、静かに待っていると、扉がゆっくりと開き美咲が顔を出した。
「3人とも入って……」
部屋の中に入ると、毛布を頭から被り、ベットの上に座っている人がいた。
「この方がエルシー様」
美咲がエルシー様の紹介をすると、エルシー様は毛布から顔を出して立ち上がる。
ショートボブで綺麗な赤い髪をしている女の子だ。
「私はリフホーネの王女、エルシー・リフホーネです」
可愛い声色だが覇気がない。
エルシー様は翔と彩香を見て軽くお辞儀した。
そして、俺の方を見る。
目が合うと美咲の後ろに隠れてしまった。
「あなたが……ミサキちゃんの言っていた……勇者ソラなのですか?」
不安そうに尋ねてくるエルシー様。
「初めましてエルシー様」
「初め……まして……わたし……わたし……」
急にエルシー様がボロボロと涙を流し始めた。
(えっ……なんで?)
俺はエルシー様が泣いた理由を知っていそうな美咲を見た。
美咲は静かに口を開いて……
「エルシーはずっと、勇者召喚に失敗していると思っていた。自分のせいで世界は救われないと」
(んっ?…………失敗?)
失敗もなにも、翔たちがこの世界に召喚された時点で、勇者召喚は成功していると思うが……
「エルシー様は私達に悪いことをしたと思っている。私達と顔を合わせづらいから引きこもっていた」
「どういうことなの?」
「エルシーが行った勇者召喚は、そらだけを対象としたものだった。私たちは巻き込まれたに過ぎない」
勇者召喚の日、エルシー様は30人の勇者を召喚に成功した。
誰もがそう思うだろう。
「エルシーは30人の勇者召喚に違和感を感じた。だから……」
エルシー様は違和感を確かめるために、次の日、リフホーネ城の書庫で召喚魔法について調べることにしたのだ。
そして調べると、勇者召喚で召喚される勇者は一人だけだと、言うことがわかったそうだ。
どうしたらいいかわからなり、戸惑っていたところに美咲がエルシー様に話しかけた。
美咲もあることを確かめるために書庫で調べものをしていたのだが、その時はまだ読めない字があったのでエルシー様に聞こうとしたそうだ。
エルシー様の様子がおかしい。
そう思った美咲は、エルシー様から話を聞いた。
そこで勇者召喚が失敗していたことを知る。
「私達は勇者召喚が失敗していたことを隠すことにした」
本当のことを言って得をするのは、新魔王軍くらいだ。
それなら秘密にしたほうがいい。
不幸中の幸いだったのは、30人の勇者たちが、巫女たちを除いた、マフカースの人たちよりも魔法の才能があったこと……
新魔王軍も思うように動けなくなり、様子を見るしかなくなった。
「私と輝には言ってくれても良かったんじゃないの? 勇者ツバサやそらみたいな強さはなかったけど、私達たち30人が力を合わせれば新魔王軍にも勝てるかもしれないのに」
「でも私達は、このままでは新魔王軍に勝てないと考えていた」
「美咲の言う通りだ。実際……ルーブビレに現れたフーライラって魔物には、俺たちじゃかてなかった」
彩香以外の視線が俺に向けられた。
エルシー様は、俺がフーライラを倒したことを知っているようだ。
美咲が話したのだろう。
「そら……日記を出して……」
「日記ってあの日記か?」
「そう」
俺はサフィークから【エルシャの日記】を取り出した。
輝と彩香がサフィークから物を出したことに驚く中、エルシー様は……
「それは私のなのです。やっぱりミサキちゃんが持っていたのですね」
そう言ってエルシー様は美咲の後ろから、俺の前まで移動した。
話を考えるのは難しいです。




