第六十九話 説明
「わかっていただけでしょうかミストール様。俺は輝たちと同じ勇者です」
全ての決闘が終了した後、俺はリフホーネ城の王座にいた。
俺の後ろには、輝たち勇者と、ダーマリーさんが立っている。
「俺たちも言ったようにそらが勇者であることを保証します」
みんなに証言してもらいながら、ミストール様に俺が勇者であることを話したのだ。
他のツバサ学園の生徒や、魔法騎士団の人わたちは、ルレベの森に行き、実践訓練をしている。
本当なら俺も参加するはずだったのだが、会長さんに……
『ソラ様は訓練の必要がないので、ミサキ様を含む勇者様たちとリフホーネ城にお向かいくださいませ』
と、言われたので俺は実践訓練も受けずにここにいるのだ。
ついでに言うと、美咲も証言して貰うためにこちらに来てもらっている。
「私は最初から君が、勇者様だとわかっていたよ。もちろん女神レーアス様に召喚されたことも……ほんとだぞ……そもそも、マフカースに黒髪がいるわけないじゃないか」
『ははは』と笑いながら言うミストール様。
先程まで驚きすぎて固まっていた、周りの貴族たちも苦笑いだ。
「俺が勇者だと分かっていただけたところで、一つお願いがあります。エルシー様に会わせていただけないでしょうか」
「何故エルシーに会いたいんだ」
ミストール様の顔つきが一瞬にして変わり、俺を睨んだまま固まった。
そして……
「……まさか!?……たとえ勇者様でも私は認めないぞ!」
「えっと……どう言うことでしょうかミストール様?」
この王が何を言っているのか全然わからない。
周りを見れば、みんな俺と同じような表情をしている。
「何をとぼけている。そもそも貴様にお義父さん呼ばれる筋合いはない」
(いや、言ってないし……)
確か、『お義父さんと呼ばれる筋合いはない』を日本的に直訳すると……
『君に娘をやるつもりはない』
だったはずだ。
これはドラマなどでよくある。結婚相手の両親に『娘さんを僕にください』と言った後に結婚相手の父親から言われる言葉。
つまり、エルシー様に合いたいと言ったところから想像を膨らませ、俺がエルシー様と結婚をしたいと思っているようだ。
ほんとジェクトさんといい、この世界の王様にはろくな人がいないのか?
そんなことを考えていると、1人の貴様の人がミストール様に近づき耳打ちをした。
すると、ミストール様の顔が見る見るうちに赤くなっていった。
どうやらあの貴様の人がジェクトさんの誤解を解いているようだ。
「……少し取り乱した。エルシーと会いたい……だったかな」
少しではなく、普通に取り乱していた気がするのは気のせいだろうか……
「はい。エルシー様と話したいことがあるので」
「それは、先程説明にあった使命に関わることなのか?」
俺はミストール様の問いに無言で頷いた。
「それならエルシーの部屋まで案内させよう」
ミストール様が辺りを見渡す。
俺を案内してくれる人を探しているのだろう。
急に隣から
「ミストール様。私がそらをエルシーの部屋まで案内しますよ」
そう言ったのは彩香だ。
いつの間にか俺の横に立っている。
「それなら、アヤカ様にお願い……」
「私も行く」
「そらに協力するって言ったし、俺もついていきます」
ミストール様の言葉を遮るように、美咲と輝が発言をした。
「……それでは、アヤカ様、ミサキ様、アキラ様に案内してもらってくれ」
俺たちは久しぶりに、4人で行動することになった。




