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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第3章
68/83

第六十八話 話し

ブックマーク登録、評価して下さった方、ありがとうございます。

 会長さんの下手な演技のおかげか、その場がシーンとなった。

 と、思ったが……


「「「えっ…………えぇ!!」」」


 一気に驚きの声が上がる。

 魔法騎士団やツバサ学園の生徒たちは、俺が言ったこと全てに驚いている。

 彩香たち勇者は、女神レーアス様に召喚されたことを驚いているようだ。


「みな! 落ち着け。取り敢えず深呼吸をしろ」


 ダーマリーさんは魔法騎士団の団長らしく、みんなに落ち着けと言ったが、手足は無震え、汗をかいていた。

 どう見てもダーマリーさん本人が、一番落ち着いていない。

 ダーマリーさんたちが一斉に深呼吸をし始めた。

 何回か深呼吸をしたダーマリーさんは俺を見て……


「ほんとうに女神レーアス様が召喚なさった勇者様なんだな?」


 真剣な顔で俺に聞いてくる。

 俺が『はい』と返事をしようとしたその時、誰かに肩をポンポンと叩かれた。


「俺がそらと同じ世界の人間だと保証します。それに……こいつは嘘はつかない。女神レーアス様に召喚されたことも本当ですよ」

「いや……俺だって嘘くらいつくから。輝……勝手なことを言うなよ」

「なんだよ。ダーマリーさんに信じてもらえるように説得しているだけじゃないか」

「それはありがたいけどさぁ、嘘をつかないってどんだけ善人なんだよ俺は」


 そう言った俺に対して輝は……鼻で笑った。


「おまえの嘘はしょうもなすぎて嘘にはいらないんだよ。大体、お前の嘘には、誰も騙されねぇーよ」


 俺の嘘に騙された人くらいたくさんいる。

 例えば、【第一回カナタ・ソラ捕獲大作戦】の時には、会長さんに『あっ! あそこにUFが!?』と嘘をついた。

 しかも、会長さんは騙されて俺の指差した方向を向いた……美咲は騙されなかったが……

 でもこれは……嘘をついた範疇に入るのか? 輝の言った通り、しょうもなすぎる。

 他に嘘をついた時のことを思い出したが……途中でやめた。

 出てくるものが全てしょうもなかったのだ。


「………………」


 結局、俺は何も言い返せなかった。

 まぁ、ダーマリーさんが信じてくれたので良しとしよう。

 俺と輝は、決闘が再開されるので端の方に移動した。


「俺の勝ちだな」


 俺を見て、輝はニコッと笑う。


「なんだよ勝ちって、勝負なんてしてないだろ」

「いいだろ別に…… それにしてもこうやって話せるのも久しぶりだな」

「あの時の昼休み以来だからな」


 俺たちはあの日まで普通の高校生だった。


「最初は焦ったよ。教室からリフホーネ城の王座の間に移動したときは……あの引きこもり王女様が俺たちの前で『勇者様。この世界をお救いください』って言ったんだぜ。ゲームかよ」


 王女に相応しくない呼び方だった気がしたが、今はスルーして輝の話を聞こう。


「みんな混乱してたよ。彩香と美咲は引きこもり王女の話を聞かず、周りを見てそらを探していたけど」


 その時、俺はオズタートに召喚されていた。

 彩香たちが探しても見つかるはずがない。


 急に輝の表情が暗くなった。


「俺さ、みんなに言ってしまったんだ……『みんな、俺たちの手でこの世界を救おう。俺たちならできる』って……みんな俺の意見に賛成してくれたけどさ、俺の考えは浅はかだった」


 輝の発言は大勢の人を導く力を持つ。

 それを自覚しながらも、輝は言ってしまった。

 世界を救うということは、新魔王率いる魔王軍を倒さなければならない。


「無責任だよな……これはゲームじゃない危険な世界なんだ。もし、ルーブビレに現れたフーライラと俺たちが戦っていたら、確実に全滅していた」


 それ以前に、危ない時が何度もあったと、こうしてみんなが生きているのは奇跡だと輝はいう。

 輝は自分がこの状況を作ったことを後悔しているのだ。

 自分の判断でみんなを死なせていたかもしれないから。

「なぁそら……女神レーアス様に召喚されたなら、お前も世界を救ってくれって頼まれたはずだ。お前はなんて返事をしたんだ?」


 あの時のことはよく覚えている。


「『魔王を倒せるかはまだ分かりませんが、俺がやれる事はやります』だったかな。俺は輝を羨ましく思えるよ」


 本当に輝はすごいと思う。


「あの時、『やれる事はやります』じゃなくて、二つ返事で答えれたらどれだけ良かったか」


 不安だった。俺なんかに世界を救うことはできるのだろうか。

 と、

 でも今は……

「今のお前は迷いがなくなっている」

「俺はみんなを守りたい。いや……守るんだ。だから俺は強くなってこの世界を救う」


 リラたちがずっと笑顔で暮らせるように。


「流石だなそらは……やっとわかったよ。お前なんだろ、フーライラを倒したのは……」

「それが俺の使命だからな 」

「使命か……俺こそ、そらが羨ましいよ」


 そう言って輝は俺の目をまっすぐ見た。


「1つ頼みがある……俺にもその使命を手伝わさせてくれ。俺もこの世界を救いたい。そして、みんな揃って日本に帰るんだ」

「勇者様のリーダーである輝様に手伝ってもらえるだなんて、光栄だよ。まっ、今のままじゃ足手まといだけどな」

「見てろよな。すぐに追いついてやる」


 俺と輝は肩を組み笑顔で笑った。

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