第六十八話 話し
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会長さんの下手な演技のおかげか、その場がシーンとなった。
と、思ったが……
「「「えっ…………えぇ!!」」」
一気に驚きの声が上がる。
魔法騎士団やツバサ学園の生徒たちは、俺が言ったこと全てに驚いている。
彩香たち勇者は、女神レーアス様に召喚されたことを驚いているようだ。
「みな! 落ち着け。取り敢えず深呼吸をしろ」
ダーマリーさんは魔法騎士団の団長らしく、みんなに落ち着けと言ったが、手足は無震え、汗をかいていた。
どう見てもダーマリーさん本人が、一番落ち着いていない。
ダーマリーさんたちが一斉に深呼吸をし始めた。
何回か深呼吸をしたダーマリーさんは俺を見て……
「ほんとうに女神レーアス様が召喚なさった勇者様なんだな?」
真剣な顔で俺に聞いてくる。
俺が『はい』と返事をしようとしたその時、誰かに肩をポンポンと叩かれた。
「俺がそらと同じ世界の人間だと保証します。それに……こいつは嘘はつかない。女神レーアス様に召喚されたことも本当ですよ」
「いや……俺だって嘘くらいつくから。輝……勝手なことを言うなよ」
「なんだよ。ダーマリーさんに信じてもらえるように説得しているだけじゃないか」
「それはありがたいけどさぁ、嘘をつかないってどんだけ善人なんだよ俺は」
そう言った俺に対して輝は……鼻で笑った。
「おまえの嘘はしょうもなすぎて嘘にはいらないんだよ。大体、お前の嘘には、誰も騙されねぇーよ」
俺の嘘に騙された人くらいたくさんいる。
例えば、【第一回カナタ・ソラ捕獲大作戦】の時には、会長さんに『あっ! あそこにUFが!?』と嘘をついた。
しかも、会長さんは騙されて俺の指差した方向を向いた……美咲は騙されなかったが……
でもこれは……嘘をついた範疇に入るのか? 輝の言った通り、しょうもなすぎる。
他に嘘をついた時のことを思い出したが……途中でやめた。
出てくるものが全てしょうもなかったのだ。
「………………」
結局、俺は何も言い返せなかった。
まぁ、ダーマリーさんが信じてくれたので良しとしよう。
俺と輝は、決闘が再開されるので端の方に移動した。
「俺の勝ちだな」
俺を見て、輝はニコッと笑う。
「なんだよ勝ちって、勝負なんてしてないだろ」
「いいだろ別に…… それにしてもこうやって話せるのも久しぶりだな」
「あの時の昼休み以来だからな」
俺たちはあの日まで普通の高校生だった。
「最初は焦ったよ。教室からリフホーネ城の王座の間に移動したときは……あの引きこもり王女様が俺たちの前で『勇者様。この世界をお救いください』って言ったんだぜ。ゲームかよ」
王女に相応しくない呼び方だった気がしたが、今はスルーして輝の話を聞こう。
「みんな混乱してたよ。彩香と美咲は引きこもり王女の話を聞かず、周りを見てそらを探していたけど」
その時、俺はオズタートに召喚されていた。
彩香たちが探しても見つかるはずがない。
急に輝の表情が暗くなった。
「俺さ、みんなに言ってしまったんだ……『みんな、俺たちの手でこの世界を救おう。俺たちならできる』って……みんな俺の意見に賛成してくれたけどさ、俺の考えは浅はかだった」
輝の発言は大勢の人を導く力を持つ。
それを自覚しながらも、輝は言ってしまった。
世界を救うということは、新魔王率いる魔王軍を倒さなければならない。
「無責任だよな……これはゲームじゃない危険な世界なんだ。もし、ルーブビレに現れたフーライラと俺たちが戦っていたら、確実に全滅していた」
それ以前に、危ない時が何度もあったと、こうしてみんなが生きているのは奇跡だと輝はいう。
輝は自分がこの状況を作ったことを後悔しているのだ。
自分の判断でみんなを死なせていたかもしれないから。
わ
「なぁそら……女神レーアス様に召喚されたなら、お前も世界を救ってくれって頼まれたはずだ。お前はなんて返事をしたんだ?」
あの時のことはよく覚えている。
「『魔王を倒せるかはまだ分かりませんが、俺がやれる事はやります』だったかな。俺は輝を羨ましく思えるよ」
本当に輝はすごいと思う。
「あの時、『やれる事はやります』じゃなくて、二つ返事で答えれたらどれだけ良かったか」
不安だった。俺なんかに世界を救うことはできるのだろうか。
と、
でも今は……
「今のお前は迷いがなくなっている」
「俺はみんなを守りたい。いや……守るんだ。だから俺は強くなってこの世界を救う」
リラたちがずっと笑顔で暮らせるように。
「流石だなそらは……やっとわかったよ。お前なんだろ、フーライラを倒したのは……」
「それが俺の使命だからな 」
「使命か……俺こそ、そらが羨ましいよ」
そう言って輝は俺の目をまっすぐ見た。
「1つ頼みがある……俺にもその使命を手伝わさせてくれ。俺もこの世界を救いたい。そして、みんな揃って日本に帰るんだ」
「勇者様のリーダーである輝様に手伝ってもらえるだなんて、光栄だよ。まっ、今のままじゃ足手まといだけどな」
「見てろよな。すぐに追いついてやる」
俺と輝は肩を組み笑顔で笑った。




