第六十五話 決闘終了
多くの声援が飛び交う中、俺は地面に長剣を落とした。
今の俺では武器は邪魔になるからだ。
ぶっちゃけて言うと、何ヶ月で武器を扱えるようになるのは無理だし、俺には長剣の才能が全くって言うほどない。
これからも頑張っていくが時間はかかりそうだ。
(悲しきことかな……)
ちょと古典風に言ってみた。
「カナタさんが何をしてくるかわからない。だから、作戦Cでいくわよ」
ヒルデさんがそう言うと、リンデさんが頷いた。
ヒルデさんを先頭に俺の方に走って来る。
(ヒルデさんが姉にしかみえない……)
普通指示を出すなら、姉のリンデさんの役割だと思う。
リンデさんが姉と言っても双子なので、あんまり姉、妹は関係ないのかもしれない。
そんなことを思っている間に、ヒルデさんが俺に向かって長剣を振り下ろそうとしていた。
「【ウィンドバリア】」
俺の前に風の壁が現れた。
【ウィンドバリア】は【ウォーターバリア】よりも薄く、ヒルデさんの顔がはっきりと見える。
ヒルデさんが俺に向かって長剣を振り下ろしたが、【ウィンドバリア】で剣先を受け止めた。
「っ!?」
異質型で魔法を扱うことに、ヒルデさんは驚いたそぶりを見せる。
が、それは一瞬だけだった。
「ほんとに同時に二つの魔法を使えたのね。しかも異質型で……でも!」
ヒルデさんは俺の後ろを見たと同時に、
「カナタさん覚悟です」
俺の後ろからリンデさんの声が聞こえた。
「後ろからリンデさんが走って来ているのは、気付いていましたよ」
途中でヒルデさんの後ろから、リンデさんがいなくなっていたのだ。
俺を後ろから攻撃する為に……
「気付いていても、リンの方を向いたら私が、隙を狙ってカナタさんに攻撃しますよ」
「大丈夫ですよ。【ブルーレイド】」
俺がそう唱えると、俺の周りにいくつもの水の球体が現れた。
その水の球体にリンデさんがぶつかる。
球体は崩れることなく、リンデの足や腕などにひっついていった。
リンデさんの動きが止まる。
「重っ!」
リンデさんの言うとうり、この水は相当重い。しかも、振り払おうとしても離れないのだ。
相手を傷つけずに、動きを制限させるには丁度いい魔法だ。
これでリンデさんは思うように動けなくなった。
ヒルデさんが俺から少し距離をとったが、
「【アースグラビティ】」
「キャァ!」
ヒルデさんが地面に吸い寄せられるように膝をついた。
俺が使った魔法は、無属性の上級魔法だ。
この魔法は、ある程度の範囲の重力を強くできる。
【アースグラビティ】も動きを制限、と言うより、動けないと思う。
「リン……私たち、相当手加減されているわよ」
「そう……ですね。でも、今カナタさんに本気を出されたら私たちが困りますよ。」
俺を挟んでヒルデさんとリンデさんが会話を始めた。
「それ重そうね……」
「重いですよ! 私、【シャイニングフォース】を解いたら、動けませんよ。だからヒーちゃん私の分までがんば……」
「無理に決まってるでしょ! 私だって動けないんだから! 後、ヒーちゃん言うな!」
リンデさんが言い終わる前に、ヒルデさんが否定した。
(……降参してくれないかな)
このままだと、彩香たちと話すことができない。
しかも、いつの間にか、リラの声援とリンデさん、ヒルデさんの話し声しか聞こえない。
何故か皆、黙って俺を見ている。
先程のように突き刺さるような視線ではない。
俺を見て戸惑っている視線だ。
「終わらせるか……」
俺の一言を聞いた、リンデさんとヒルデさんがビクッとなる。
今から使う魔法が、何か分かっているのだろう。
「フリー……」
「「降参です!」」
こうして、人生二度目の決闘は、俺の勝利であっけなく終わった。
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