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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第3章
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第六十五話 決闘終了

 多くの声援が飛び交う中、俺は地面に長剣を落とした。


 今の俺では武器は邪魔になるからだ。

 ぶっちゃけて言うと、何ヶ月で武器を扱えるようになるのは無理だし、俺には長剣の才能が全くって言うほどない。

 これからも頑張っていくが時間はかかりそうだ。

 

(悲しきことかな……)


 ちょと古典風に言ってみた。


「カナタさんが何をしてくるかわからない。だから、作戦Cでいくわよ」


 ヒルデさんがそう言うと、リンデさんが頷いた。

 ヒルデさんを先頭に俺の方に走って来る。


(ヒルデさんが姉にしかみえない……)


 普通指示を出すなら、姉のリンデさんの役割だと思う。

 リンデさんが姉と言っても双子なので、あんまり姉、妹は関係ないのかもしれない。


 そんなことを思っている間に、ヒルデさんが俺に向かって長剣を振り下ろそうとしていた。

 

「【ウィンドバリア】」


 俺の前に風の壁が現れた。

 【ウィンドバリア】は【ウォーターバリア】よりも薄く、ヒルデさんの顔がはっきりと見える。

 ヒルデさんが俺に向かって長剣を振り下ろしたが、【ウィンドバリア】で剣先を受け止めた。


「っ!?」


 異質型で魔法を扱うことに、ヒルデさんは驚いたそぶりを見せる。

 が、それは一瞬だけだった。


「ほんとに同時に二つの魔法を使えたのね。しかも異質型で……でも!」


 ヒルデさんは俺の後ろを見たと同時に、


「カナタさん覚悟です」


 俺の後ろからリンデさんの声が聞こえた。


「後ろからリンデさんが走って来ているのは、気付いていましたよ」


 途中でヒルデさんの後ろから、リンデさんがいなくなっていたのだ。

 俺を後ろから攻撃する為に……


「気付いていても、リンの方を向いたら私が、隙を狙ってカナタさんに攻撃しますよ」


 


「大丈夫ですよ。【ブルーレイド】」


 俺がそう唱えると、俺の周りにいくつもの水の球体が現れた。

 その水の球体にリンデさんがぶつかる。

 球体は崩れることなく、リンデの足や腕などにひっついていった。

 リンデさんの動きが止まる。


「重っ!」


 リンデさんの言うとうり、この水は相当重い。しかも、振り払おうとしても離れないのだ。

 相手を傷つけずに、動きを制限させるには丁度いい魔法だ。

 これでリンデさんは思うように動けなくなった。

 ヒルデさんが俺から少し距離をとったが、


「【アースグラビティ】」

「キャァ!」


 ヒルデさんが地面に吸い寄せられるように膝をついた。

 俺が使った魔法は、無属性の上級魔法だ。

 この魔法は、ある程度の範囲の重力を強くできる。

 【アースグラビティ】も動きを制限、と言うより、動けないと思う。


「リン……私たち、相当手加減されているわよ」

「そう……ですね。でも、今カナタさんに本気を出されたら私たちが困りますよ。」


 俺を挟んでヒルデさんとリンデさんが会話を始めた。


「それ重そうね……」

「重いですよ! 私、【シャイニングフォース】を解いたら、動けませんよ。だからヒーちゃん私の分までがんば……」

「無理に決まってるでしょ! 私だって動けないんだから! 後、ヒーちゃん言うな!」


 リンデさんが言い終わる前に、ヒルデさんが否定した。


(……降参してくれないかな)


 このままだと、彩香たちと話すことができない。

 しかも、いつの間にか、リラの声援とリンデさん、ヒルデさんの話し声しか聞こえない。

 何故か皆、黙って俺を見ている。

 先程のように突き刺さるような視線ではない。

 俺を見て戸惑っている視線だ。


「終わらせるか……」

 

 俺の一言を聞いた、リンデさんとヒルデさんがビクッとなる。

 今から使う魔法が、何か分かっているのだろう。


「フリー……」

「「降参です!」」


 こうして、人生二度目の決闘は、俺の勝利であっけなく終わった。


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