第六十四話 やっと開始
更新遅くてすみません。
「いくつか聞きたいことがあるんだけど、聞いてもいい?」
「ダーマリーさんたちが待ってるし、そろそろ行かないと……」
俺は決闘をする為に前に出てきたのに、彩香と喋り、リラたちが自己紹介をしたことにより、10分以上は経っていた。
決闘が始まらないからか、1人を除いた男たちの元気がない。
「でも、みんなに頼みたいことがあるから、後で話そう」
ミストール様に俺が勇者だと分かってもらい、エルシー様と話す機会をもらわなければならない。
「わかった。決闘頑張ってね」
彩香に声援を送られた後、リラたちからは『程々にね』と言われた。
「やっと来たかカナタくん」
「すみませんダーマリーさん」
「これより決闘を始める。3人とも準備はいいか?」
そう言ってダーマリーさんは俺たちを見る
。
するとリンデさんが、
「団長……本気ですか? 私たち2人でカナタさんの相手をするなんて……」
多分リンデさんはこう言いたいのだろう。
いくら俺が、多くの上級魔法を使えるとしても、魔法騎士団のリンデさんとヒルデさんの2人が相手では、俺が可哀想だ。
と、
「そうですよ。私たち2人だけでカナタさんの相手が務まるはずがないです。私たち瞬殺ですよ」
(そっちかい!)
ヒルデさんは俺を見る。
俺はニコッと笑うしかなかった。
「私たちの願いだ。本当だったら俺たち全員でソラ君を倒すさ、でも……私たちの心はもう既にボコボコにやられているんだ。私たちの代わりにどうか一矢報いてくれ」
俺にはダーマリーさんたちの心をボコボコにした覚えはない。
なのに何故、俺が目の敵になっているのだろうか?
「あのハーレム野郎をボコボコにしてやってくれ」
1人の勇者からそんなか声が上がった。
すると、『がんばれー2人とも』『みんなの思いを託したぞ』などの声援が、リンデさんとヒルデさんの2人に送られた。
(俺は決して、ハーレム野郎じゃない!)
「勇者様たちが、私たちを応援してくれていますよ」
「そうですね! リン! 私、やる気が出て来ました」
そう言って2人は俺の方を見て、鞘から長剣をぬいた。
準備完了ということだろう。
「がんばってソラ」「私たちがついていますわ」「そら、ファイト」
リンデさんとヒルデさんに送られた声援に対抗するかのように、リラたちが俺に再び声援を送ってくれた。
(俺も頑張るか)
そんなことを思っていると、どこからともなく、突き刺さるような多くの視線を浴びせられた。
矛先を見ると、そこには1人を除く男子勇者たちが凄い目力で俺を見ていたのだ。
例外のである輝は『いつものことだ』みたいな顔で俺を見ている。
俺は男子勇者たちの視線を無視して、サフィークから長剣を取り出して構えた。
サフィークから長剣を取り出したことに、殆どの人が驚いていたが気にしない。
「準備完了のようだな」
ダーマリーさんがリンデさんたちと俺を見て言った。俺たちは頷く。
「それでは決闘開始!」
開始と同時に俺たちはフォースを唱えた。
「【シャイニングフォース】」
「【ダークフォース】」
リンデさんの手足が黄色く輝き、ヒルデさんの手足が黒く輝いた。
「【アクアフォース】」
俺の全身が青く輝き始める。
「ヒーちゃん……この時点で私たち負けてますよ……学生が全身強化なんて……」
「ヒーちゃん言わない……リンも薄々気づいていると思うけど、カナタさんは勇者かもしれないわよ」
やっぱり俺たちの話しを聞いていたら、誰だって気がつくよな……
(はぁー)
あの王様がこの場にいたら、話しが早く進むのに……
「「いきます!」」
そう言ってリンデさんとヒルデさんが、俺に向かって走ってきた。
(どうしよう……)
長剣を抜いて決闘に挑もうと思ったのはいいが、俺はまだ基礎しかやっていない。
いつもは身体能力のゴリ押しで、長剣の腕は未だに初級レベルなのだ。
そんな俺が魔法騎士団である2人に対して、長剣を構えている。
特にヒルデさんは長剣の扱いがうまそうだ。
(今思ったけど俺……人相手に長剣で相手をするのは初めてじゃないか……)
しかも、長剣で可愛い女性を傷つけることはできない。
相手が男だったら、容赦はしなかったかもしれない。たぶん……
俺は長剣を地面に落とした。




