第六十話 まさかの情報
食事を終えた後、生徒会メンバーはその場に残り、生徒会会議を始めた。
「まずは今日の報告です。ルレベの森で怪我をした生徒はいませんでしたが、私を含めて殆どの生徒が、魔法騎士団の方々に守られた形でした」
悔しそうな顔で報告するクロームさん。
殆どの生徒が、実戦訓練中に魔物を攻撃を受けそうになった時、対処できず、魔法騎士団の人たちに助けてもらったらしい。
実際、美咲の班と俺の班以外の班は、魔法騎士団の人たちがいなかったら、確実に大怪我を負っていたそうだ。
「次に明日についてですが、今のところ予定通りに進行する予定です」
明日の日程について、詳しく話をした後、生徒会会議は、終了した。
「ソラ様……少しお話ししたいことがありますわ」
俺が席を立ち、部屋を出ようとしたら、会長さんに引き止められた。
俺たち以外の生徒会メンバーが、部屋を出たことを確認した会長さんは……
「実は私……巫女かもしれない人物に、心当たりがありますの」
「本当ですか!?」
俺はレーアス様から、3人目の巫女と会っていると聞いて、ずっとでは無いが、誰が巫女なのかを考えていた。
だけど……検討が全くつかなかった。
そもそも巫女の称号を持っているのなら、有名になっているはずなのだ。
勇者の話はよく聞いてきたが、巫女の話は全くなかった。噂すらないのだ。
つまり、巫女だということを隠しているか
自分ですら気づいていないかのどっちかなのだ。
「私は、エルシー・リフホーネ様が無の巫女だと思っていますわ」
エルシー・リフホーネ。
それはリフホーネの第一王女の名前だ。美咲たち勇者を召喚した人物でもある。
でも……俺はエルシー様と会ったことは一度もない。
そのことを会長さんに言おうとしたら……
「ソラ様がエルシー様にお会いしたことがないのは、ご存知ですわ」
「と言うことは……」
「エルシー様は3人目の巫女では無く、4人目の巫女ですわ」
まさか3人目の巫女の情報では無く、4人目の巫女の情報とは思わなかった。
「ソラ様も知っての通り、エルシー様は勇者様たちの召喚に成功しましたわ」
勇者を召喚するための魔法は、最上級魔法だ。
今思えば、俺より年下の子が、最上級魔法を使えることは、普通はありえない。
「私の知る限り、勇者様の召喚に成功しましたのは、エルシー様と無の巫女であったエルシャ様だけですわ」
エルシャ・リフホーネ。
勇者ツバサを召喚に成功した人で、元々この世界の住人だった人だ。俺の祖母で、今は地球で暮らしている。
(なんで気づかなかったんだ……)
今思えば、エルシー様が無の巫女の可能性が高い。
「エルシー様が無の巫女の可能性は、俺も考えていました」
本当は全く気が付いていないし、考えてもいなかったが……反射的に『考えていた』と言ってしまった。
「流石ソラ様ですわ。私が言うまでもなかったみたいですわね」
会長さんが笑っている。
どうやら、俺が気が付いていなかったことがバレているようだ。
「私がエルシー様を無の巫女だと思った理由が、あと一つありますわ」
「あと一つですか?」
「昔、エルシー様は自慢するように、私に言っていました。自分は無の巫女だと……」
会長さんに詳しく話を聞くと、会長さんがツバサ学園に入学する前、エルシー様と何度もあっていたそうだ。
その都度、エルシー様に自分は無の巫女だと自慢されていたらしいが、当時の会長さんは、信じなかった。
何故かというと、巫女たちは700年前から一度も現れていなかったからだ。
「レーアス様にリーラさんとカカリ様が巫女だと聞いて、本当に驚きましたわ」
勇者は再び召喚されたが、勇者と7人の巫女たちは、フーライラと同じように、伝説的な存在なのだ。
今日、レーアス様から巫女の存在を聞いたから、エルシー様が言ったことは嘘では無かったかもしれないと思ったらしい。
「それでソラ様はどうしますの? 私は一度、エルシー様に会って、確かめた方が良いと思いますが……」
「ただの学生が会えませんよね」
エルシー様はリフホーネの第一王女様だ。そう簡単には会えない。
ミストール様には会えたけど……
「一つお聞きしたいのですが……ソラ様が勇者様だと言うことは、公表してよろしいのでしょうか?」
「フーライラを倒した事は言えないですけど、俺が勇者である事自体は、公表しても大丈夫です」
多分会長さんが言いたいのは、ミストール様に俺が勇者であることを言って、エルシー様に会えるように掛け合うつもりなのだろう。
でもミストール様は俺のことを、『勇者様ような人材』と言ったのだ。
俺が『実は勇者なんです』
と、言ったとしても、とても信じて貰える気がしない。
「明日は他の勇者様たちが帰ってくるそうですし、ミサキ様とご一緒に、他の勇者様とお会いしてきたらどうですか?」
「みんなにですか……」
「他の勇者様が皆、ソラ様を異世界から来たことを認めれば、ミストール様も少しは、ソラ様の話を信じてくれますわよ」
俺は彩香たちに会えるかもしれないではなく、会う事になった。
最近忙しく更新速度が落ちています。




