第五十九話 館
俺と会長さんは、館の中にある、一つの部屋の前に来ていた。
「この中が、私たちの泊まる部屋ですわ」
気のせいだろうか……会長さんが今、すごいことを言った気がする。
「会長さん……もう一度言ってくれませんか? よく聞こえなくて……」
どうか……聞き間違いであってほしい。
と、言う思いで、聞き返したのだが……
「ここが、 私とソラ様が寝泊まりする部屋ですわ」
そう言いながら、会長さんは部屋のドアを開ける。
部屋の中は広く、凄く豪華だった。
日本にある、高級ホテル並み以上だと思う(俺は高級ホテルに泊まったことは、一度もない)
しかも、聞き間違いじゃなかった……
「いやいや! 何言ってるんですか! 冗談言うのは、やめてくださいよ」
「冗談ではありませんわよ。女子生徒が21名、男子生徒が9名ですもの、一つの部屋だけ、男女混合なのですわ」
男子生徒と女子生徒がが1人ずつ余るのはわかった。
だからと言って、男女混合の部屋が一つできていいわけがない。
「あと一部屋だけでも余って無いんですか?」
「すいません……ソラ様、残りの部屋は、今回は使用人が使っていますわ」
会長さんはもうしわけなさそうにいった。
「会長さんと同じ部屋って言うのは……」
「私と同じ部屋は嫌ですの?」
会長さんが泣きそうな顔で、俺を見つめる。
「嫌じゃ無いです! でも、会長さんは貴族様の女性ですし……」
しかも会長さんは、リフホーネでも地位の高い貴族だ。
そんな高貴な人と同じ部屋なのは、問題があると思う。
と、言うより問題だらけだ。
「それを言うなら、カカリ様はお姫様ですわよ」
「それは……」
カカリはディアナ王国の第2王女だ。当然会長さんよりも身分が高い。
そのカカリと俺は、ツバサ寮で暮らしている。どっちかというと、こっちの方が大事だ。
「でも同じ部屋じゃないですよ!?」
「ベットも離れていますし、私は何もしませんわ。安心して眠ってくださいませ」
(聞いてないし……)
どうやら、俺がこの部屋で寝泊まりするのは確定らしい。
あきらめて必要な荷物をサフィークから出そうとした時、あることを思い出した。
「そう言えば! みんなの荷物はどうすればいいですか?」
サフィークの中には、リフホーネ遠征訓練に参加している生徒、全員分の荷物が入っている。
「今から食事で一度集まるので、そこで皆さんに渡しますわ」
「わかりました」
「それと、私たちが同室であることは、内密にお願いいたしますわ」
会長さんは俺の耳元に近づき、ささやいた。
何故わざわざ、耳元でささやいたのかはわからなかったが、俺は頷くことしかできなかった。
「いきますわよソラ様」
俺たちが、みんなが集まっている部屋にはいると、長く大きなテーブルの周りに、生徒たちが既に椅子に座っていた。
テーブルの上には、それぞれ豪華な料理が並べてある。
使用人の人が、俺と会長さんを席まで案内してくれた。
俺と会長さんも席に着くと、使用人の人たちが、全員のグラスに飲み物を注いでいく。
「皆さんお疲れ様でしたわ。今日は疲れていると思いますので、食事、入浴を済ましたら、ゆっくりと休んでくださいですわ」




