第五十四話 多数決
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「全員揃いましたし、リーダーを決めないといけませんわ」
「決めるもなにも、この班のリーダーは、会長さんでしょ?」
「いえ、リーダーは多数決で決めますわ。トピアリーさん多数決しますので、ソラ様の後ろにいないでこちらへいらして下さい」
トピアリーさんが俺を睨みながら、俺の横まで移動した。
「それでは多数決をしますわ」
「俺は会長さんでいいと思います」
「私はソラ様がいいですわ」
何となく会長さんが、俺をリーダーにしたいと思っていたことはわかっていた。
と、なると……
「私もソラ君がいいです」
「私もソラに賛成!」
やっぱりこうなった。
「一応決まりのようですが、トピアリーさんもソラ様でいいですわよね?」
「私もカナタ君でいいです……いっぱい苦労してほしいので……」
トピアリーさんの俺を推す理由がひどい……
「わかりました。俺がリーダーをします」
【ルレベの森】では、魔法騎士団の指示に従う事になっているし、リーダーといっても特にする事はないはず……
「私たち3班のリーダーは、ソラ様に決定しましたわ!」
「「おぉー!」」
会長さんの宣言? にパチパチと拍手をする、リラとカカリ。
「あの〜……そろそろ……いいでしょうか?」
会長さんたちを見ていると、突然誰かに話しかけられた。
俺たちは声のした方を向くと……
そこには、一人の魔法騎士団の女性が立っていた。
「他の皆さんが移動を開始したので、私たちも移動したいんですけど」
そう言われ周りを見ると、既に何班かは訓練場を後にしていた。
モタモタしているのは俺たちくらいだ。
「あっ! まずは自己紹介が先でしたね……私が貴方たちの担当になった魔法騎士団のリンデと言います。あと……私の相方は先に、ギルドに向かっていると思いますが、相方共々よろしくです」
リンデさんがペコっと頭をさげる。
「俺はこの班のリーダーになったソラ・カナタです。こちらこそよろしくお願いします」
一応、俺はリーダーなので最初に挨拶をした。
「ソラさんですか……」
リンデさんがポツリと呟く。
何か考えているようだ。
「どうかしましたか?」
俺がそう尋ねると、リンデさんはハッとなり……
「いえ……前にアヤカ様が、勇者ツバサ様と顔の似ている、人物の話をしてくれた時に、その人物の名前がソラだったので……」
リンデさんが俺の顔を見る。
「それにソラさんは、勇者ツバサ様とお顔が似ています。何か関係があるんですか?」
リンデさんはミストール様よりはバカじゃないようだ。
まぁ、黒髪の時点で誰もが俺を勇者だと疑うだろう。
実際、勇者なのだが……
(さて、なんで答えようか……)
そう思っていると……
「ソラ様は勇者様ですわよ」
会長さんは真面目な顔で言った。
「ファルース様! 何を言っているんですか! カナタ君が勇者の筈がありません! ただ容姿が似て、魔法の才能があるだけです! 大体ミストール様も言っていたじゃないですか! 『まさか、マフカースに勇者様ような人材が残っていたとは』と……」
トピアリーさんが必死で俺が勇者である事を否定する。
「私はソラ様に模擬戦で負けた後、ファルース家に頼んでソラ様の事を調べてもらいましたわ。でも……何一つとしてわかりませんでしたわ」
わかるとしたら、俺が冒険者登録をしているくらいだろう。
「「えっ!」」
トピアリーさんとリンデさんが驚いている。
「それは本当ですか? ファルース家が調べても何一つ分からないなんて」
今のリンデさんの発言からして、会長さんの実家は、情報集めが得意なようだ。
「学生の身で上級魔法がいくつも使え、勇者ツバサ様しか成功しないと言われた【異質型】も扱うことができますのよ。こんなに才能のある人物が無名の筈がないですわ」
「そんなに凄いんですか!? カナタさんは!?」
「…………」
リンデさんは再び驚き、トピアリーさんは無言だ。
「私はずっと、ミストール様がソラ様が勇者であることを隠していたと思っていましたが、先程違うとわかりましたわ」
だからわざわざ俺を王座まで連れて行ったのか……
「ソラ様はエルシー様が召喚した勇者ではありませんわ。ソラ様は別のだれかに召喚された勇者ですわね?」
会長さんが俺をじっと見つめる。
(さてどうしよう……正直に言うべきか、それとも……誤魔化すべきか……)
もともとリフホーネにきたら、彩香たちがいるので、俺が勇者だとバレる事は覚悟していた。
「俺は……」
「リン! まだここにいたんですか! 早く皆さんをお連れして下さい! これからギルドに向かうので、皆さん、私についてきてください」
「ヒーちゃん。今は……」
「ヒーちゃんって呼ばないで言っているでしょ!」
訓練場の入り口からリンデさんと同じ顔の人が現れた。




