第五十三話 班
魔法騎士団の団員の人数を1班3人から1班2人に変更しました。
リフホーネ遠征訓練の目的は2つある。
自身の得意属性を知ること。
実戦経験を積むことだ。
得意属性を知ることは難しいので、メインは実戦経験を積むことになっている。
あわよくば、実戦経験の中で得意属性は知るのだ。
授業で習ったことだが、2属性以上の適正属性を持つ者には必ず、得意属性があるそうだ。
例えば、リラの風属性魔法は、他の属性魔法と比べて、扱えるようになるのが段違いに早い。
風の巫女だからという事もあるだろうが、リラの得意属性はわかりやすのだ。
が、他の人はそう簡単にわからない。
実戦経験については、ここでは魔物と戦う実戦のことだ。
学園に通う殆どの生徒が魔物と戦ったことが無い。今回リフホーネ遠征訓練に参加している中で魔物と戦ったことがあるのは、俺とリラを入れて5人だけだそうだ。
リフホーネには、奥に進むにつれて、魔物の強さが強くなっていく【ルレベの森】と言う森があるらしい。
その森の中で、実戦経験を積んでいくのだ。
1班に2人の魔法騎士団の団員がついて来てくれるようになっている。
そして、玉座の間を後にした後に俺たちは、もう一つのグループと合流し、魔法騎士団の訓練場に来ていた。
「私が魔法騎士団団長のクリゼフズ・ダーマリーだ」
ダーマリーさんは、見た目からして魔法より、大剣などの大きな武器の扱いが得意そうな人だ。
周りの団員たちは、ダーマリーさんと比べるとみんな若い。
今回はこの人たちと、訓練を行うことになっている。
殆どの生徒たちが魔法騎士団の人達を見て興奮していた。
生徒たちにとって勇者は憧れ、魔法騎士団は夢なのだ。
「この機会を生かして皆が成長できることを願っている」
ダーマリーさんが話し終え後ろに下がる。
そして、クロームさんが前に出てきた。
「それではまず、皆さんを6班に分けたいと思います。くじ引きで班を決めますので、一人ずつ箱の中から紙をお取りください。番号が同じ人と同じ班です」
このリフホーネ遠征訓練中は、基本的に班のメンバーと行動することになっている。
クロームさんが大きな箱を後ろから持ってきた。
「紙を取っても開かないで下さい。私が合図をしたら一斉に開きますので……」
多くの生徒が『ミサキ様と同じ班に……』と、言いながら引いていた。
俺もくじを引き、クロームさんの合図を待つ。
周りの雰囲気にのまれ、俺までドキドキしてきた。
誰が同じ班になるのか楽しみだ。
「皆さん引き終わりましたので、どうぞお開きください。確認いたしましたら、同じ番号の人を探しリーダーを決めて下さい」
生徒たちは一斉に紙を開く。
「俺は………3班か……」
紙には大きく『3』と書いてあった。
「私も3班だよ!」「私もです」
リラとカカリが俺と同じ3班だったようだ。
(まさか……美咲とペリルも!?)
俺たちと同じ3班か?
と、思い美咲とペリルの方を見ると……
「私たちは5班よ」
「そらたちとは別……」
流石にツバサ寮の面々が全員同じ班には、ならなかったようだ。
「ミサキ、他のメンバーを探しに行きましょ」
「わかった」
と、言って二人は他のメンバーを探しに行った。
「俺たちも探すか……」
「そうだね」「探しましょう」
俺たちもメンバー探しにい……
「ソ〜ラ〜様〜!」
探しに行こうとしたら、会長さんが俺たちの方に走ってきた。
「どうしたんですか会長さん?」
何か問題が起きたのかもしれない、そう思ったが……
「……はぁ……はぁ……さっ……3班ですわ……私も3班ですわ。ソラ様も3班ですわよね?」
走ってきたからか、会長さんのものすごい息切れをしている。
「俺も三班です。……でも、なんで俺が3班だとわかったんですか?」
会長さんがさっきいた場所からでは、俺たちの話し声は聞こえないだろう。
周りも騒がしいし……
「それは…………ですわね……」
会長さんが気まずそうな顔をする。
「…………そうですわ! 向こうからソラ様の番号が見えましたのよ! だから私は、ソラ様の番号がわかったのですわ。決して、ソラ様の番号を確認して、同じ番号の人を探し回り、私の番号と交換したなんて、そんなことはしてませんわよ!」
早口すぎて、会長さんが何を言っているか全くわからない。
「えっ……と……とりあえずよろしくお願いします。会長さん……」
「えぇ……よろしくお願いしますわ。頑張りましょう皆さん」
会長さんを入れて4人、1班5人なのであと1人居るはずなのだが……
他のところは、既に班が出来上がっていた。
同じ班を探しているような人はどこにも見当たらない。
「俺とリラとカカリに会長さん……あと一人は誰ですかね?」
「それなら……先程からずっと、ソラ様の後ろにいますわよ」
(うしろ?)
俺は後ろを振り返る。
そこには、ツバサ学園の生徒会副会長、メリナ・トピアリーさんが、後ろにポツンと立っていた。
「トピアリーさん?」
「なに?」
何故かトピアリーさんの元気がない。
「何かありました?」
「別になにも……」
(何もないなら、なんで俺を睨んでるんだ?)
すると、トピアリーさんが俺にしか聞こえないような声で……
「ただ……ミサキ様と同じ班になれず、よりによって勇者に似た人だったから、少し落胆しているだけ。ハァー、ミサキ様と同じ班……羨ましいな」
俺を見てため息をつき、美咲と同じ班になれたペリルたちを、本当に羨ましそうに見ていた。
全然……何も無くは無かった。




