第五十二話 リフホーネ到着
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リフホーネ遠征合宿当日、俺はソワソワしていた。
王都には、翔や彩香たちがいるかも知れない。
久々に会うことができるのだ。
それに……
「【テレポート】か……なんか緊張するな……」
俺たちは、リフホーネへ向かうのに上級魔法であるテレポートを使うのだ。
「そんなに緊張しなくても、目を閉じれば一瞬で着くわよ……たぶん」
と、言いながらペリルも緊張しているように見える。
「でも凄いよね! 一瞬だよ! 一瞬で遠くまで移動できるんだよ」
ツバサ寮テレポート未経験組がはしゃぐ。
「目を開けてテレポートすると、凄く酔うらしいですよ。だから注意してくださいね」
流石、ツバサ寮テレポート経験組のカカリだ。
テレポートのことをよく知っている。
(凄く酔うってどれくらい酔うんだ? 無茶苦茶気になるんだけど……)
そして、もう一人のツバサ寮テレポート経験者は……
「ミサキ様! あえて光栄です。私はメリナ・トピアリーと言います。メリナとお呼び下さい」
「……メリナ?」
「ハイ! 私がメリナです」
キラキラ全開のトピアリーさんに捕まっていた。
(トピアリーさんやっと、話せたんだ)
トピアリーさんは、勇者に強い憧れを持っているが、これまで美咲と一度もなに話したことはなかった。
そもそも俺たちツバサ寮組は、他の生徒たちと会う機会が少ない。
特に美咲は、本人の希望で、選択授業を受けずに、魔法練習場で魔法を教わっているので、ツバサ寮の面々以外とは基本的に顔を合わせないのだ。
(レア美咲だな……)
そんな事を思っていると、会長さんと魔法騎士団の人たちが、俺たちのいる所まで歩いて来た。
リフホーネの魔法騎士団の人は、当然、執事服やメイド服は着ていない。
「向こう側のテレポートが終わりましたので、私たちも行きますわよ」
向こう側とは、リフホーネ遠征訓練に参加している残りの23人の生徒のことだ。
「わかりました。でも……なぜ俺たちだけ別にテレポートされるんですか?」
「私たちは別の場所にテレポートするからですわ。ミサキ様とディアナ様がリフホーネの街に急に現れたら、大騒ぎになりますわよ」
美咲やカカリがいると、大騒ぎになることはわかった。
が、
俺やリラたちが関係のない答えになっていると思うのは、気のせいだろうか?
この感じだとおまけなのだろう。
「それでは、テレポートしますので、皆さま目をお瞑りください」
魔法騎士団の人の指示に従い目を瞑る。
「【テレポート】」
魔法騎士団の人がそう唱えると場の空気が変わった。
「着きましたので、目をお開けください」
(もう着いたの!? 本当に一瞬じゃん)
ドキドキしながら目を開けると、ツバサ学園の外から豪華な建物の中に移動していた。
「スゲー!」
俺がテレポートに感動していると……
「見て! ソラの肖像画があるよ!」
(俺の肖像画?……それってまさか!?)
俺は、リラ指をさした方向を見る。
そこには……
物凄く大きな肖像画が壁に飾ってあった。
勿論書かれているのは、俺ではなく勇者ツバサだ。
「初めて見ましたけど、本当にソラ君に似ていますね」
「似てるどころかそのまんまじゃない! でも……ソラの方が可愛いわね」
「私も初めて見た時はそらと思った」
「本当に……カナタ君に……似てる……勇者じゃないのに……」
俺たちが、勇者ツバサの肖像画がを見ていると……
「みなさん。そろそろ先に進みますわよ。奥でミストール様がお待ちになっていますわ」
「ミストール様って……俺も会わないといけないんですか!?」
「そうですわよ。ここにいる方は全員ですわ」
(なんで……)
俺たちは城の中を進んだ。
玉座の間に着くと、そこには多くの貴族らしき人がいた。
そして……玉座に座っている赤い髪の人が……ミストール様だ。
(ミストール様って俺の親戚でいいのか?)
そんなどうでもいい事を考えていると、ミストール様が立ち上がった。
「ツバサ学園の諸君、よく来てくれた。私がこの国の王ミストール・リフホーネだ!」
(見ればわかるよ!)
「お久しぶりですわ。ミストール様」
「ファールスの娘か……大きくなったな」
「最後にお会いしたのは、3年前ですもの。エルシー様も元気でいらっしゃいますか?」
「エルシーも元気にしている。来年はツバサ学園に入学すると意気込んでいるからな」
ミストール様の顔が悲しそうな顔になった。
「エルシーと3年も会えないことは辛いことだが、あの子には魔法の才能がある。勇者様たちを召喚したくらいだからな」
ミストール様は美咲を見ながら言った。
「ミサキ様お久しぶりです」
ミストール様が美咲に頭を下げる。
「……久しぶり。彩香たちはここにいる?」
「アヤカ様たちは、クエストに行っております。明日には帰ってくると思いますが……」
「わかった」
勇者の立場は国の王よりも偉いようだ。
(明日……彩香たちに会えるかもしれない)
「後の顔は知らない顔だな。一人……気になる奴がいるが……」
(無茶苦茶見られてる……)
先程から、壁の両端に立っている貴族らしき人たちからもずっと見られているのだ。
「それでは私が紹介いたしますわ」
「たのむ」
会長さんが一人ずつ紹介をしていく。
そして俺の番になった時……会長さんは俺の紹介を他の人の倍以上話した。
「ソラ・カナタ……黒い髪に勇者ツバサ様の容姿をもち、ありえないほどの才能を持つ男か……」
ミストール様が俺を見ながら考え事をしている。
もしかしたら、俺が勇者ツバサの孫だとバレるかもしれない。
少し覚悟しながら、ミストール様が口を開くのを待つ。
「まさか、マフカースに勇者様ような人材が残っていたとは……」
ミストール様はバカな人だった。
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