第四十七話 パーティー前?
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「ただいまー」
俺がリビングに入るとソファーが端っこに置かれ、テーブルが一つ増えていた。そして何故かリラたちがリビングに飾り付けをしている。
「お帰りなさいソラ君……あの……お父様は?」
「ジェクトさんなら、シルドさんを無理やり連れてくるとか言って学園に向かったよ」
俺は獣王様の事をジェクトさんと呼ぶ事になった。
『ソラ君これからは、獣王様ではなく私の事をお義父さんと呼んでくれ』
握手を交わしたすぐの事だ。何言ってんだろこの人と本気で思ってしまった。
『私と君の仲じゃないか。責めてジェクトと呼んでくれ』
という事があって俺はジェクトさんと呼ぶ事になった。
「カカリ。少しだけ俺の部屋に来てくれ、話したい事がある」
「話したいことですか?」
「大切なことだ。これからのカカリにとっても俺にとっても……」
カカリは無言で頷いた。
カカリを連れて、俺は部屋に向かった。
「ソラ君の部屋に入るの初めてです」
カカリは俺の部屋の中を興味津々に見ている。
「俺も許可して入れたのは初めてかな……リラたちはいつも、ノックもせずに入ってくるし……」
鍵をつけたほうがいいと思う。
「物があんまりと言うか……全然がありませんね?」
現在、俺の部屋の中には、机に椅子、ベットしか置いていない殺風景な部屋だ。
「俺はサフィークで必要な物は取り出せるから、部屋には置いていないんだ」
「本当に便利ですね……サフィークって」
サフィークには本当に助かっている。
「話す前に一つ聞いていいか? 今からパーティーでもするのか?」
「アルシーさんとウィーグさんがお父様から大事な発表があるから飾り付けをしてくれって頼まれたんですよ」
そのアルシーさんとウィーグさんはチラッと見たがキッチンで料理を作っていた。
(大事な発表ってなんだ? カカリが水の巫女だってことか?)
でもそれは、今から俺がカカリに話す事になっている筈だが……
「それで……ソラ君……二人きりで話しって……その……」
カカリの顔が真っ赤になっている。
「まずはこれを……」
俺はカカリにあるものを渡した。
「これは……巫女のペンダント? これは、リラちゃんのですか?」
「リラの風の巫女のペンダントではないよ。これは……」
俺は女神の指輪に魔力を流す。
すると、巫女のペンダントが青く輝き始めた。
「水の巫女のペンダントだ」
ジェクトさんは水の巫女のペンダントを持ってきていたのだ。そして、カカリに渡してくれと頼まれた。
「カカリは水の巫女なんだ」
「へぇ? わっ……私が……水の巫女? そんな訳ないですよ! リラちゃんみたいに凄いところないですし……」
「カカリ。ペンダントをつけてアクアボールを手に出してくれ」
論より証拠だ。
カカリが水の巫女のペンダントを首から下げて【アクアボール】を唱えた。
すると、水の巫女のペンダントが再び青く輝いた。
「私が……あの伝説の巫女の一人」
カカリはアクアボールを解くと、じっと水の巫女のペンダントを見つめている。驚いているようだが、そこはかとなく嬉しそうだ。尻尾がぴんと立てられている。
嬉しそうなところ悪いけれど、その後俺は、巫女の使命と新魔王軍に狙われるかもしれないことを話した。いつの間にかぴんと立てられていた尻尾はだらんと下げられていた。
「カカリは俺が必ず守ってやる」
俺はカカリの頭を撫でながら言った。
「ソラ君が守ってくれるなら、安心ですね。最初私、ソラ君に告白されると思ってたんですよ」
カカリは笑いながらそう言った。
「…………っ! そろそろリビングに戻ろうか。ジェクトさんも帰ってきているだろうし」
俺は一瞬、カカリの笑顔に見とれてしまっていた。
「そうですね。戻りましょうか」
俺たちはリビングに戻ろうと部屋のドアを開けると……リラ、美咲、ペリルがそこにいた。
「盗み聞きなんてしてないよ! カカリが私と同じ巫女だったなんて知らないし……」
「バカ! そんなことを言ったら私たちが盗み聞きしていたってバレちゃうでしょ」
「私は無罪」
どうやら俺たちの話をドア越しに聞いていたようだ。
リラたちが俺の部屋の前にいた理由を聞くと……
リビングの飾り付けをしていたら、リラの風の巫女のペンダントが急に輝きだしたそうだ。不思議に思ったリラたちは、俺なら何か知っていると思い探していたそうだ。
リビングに着くとジェクトさんがシルドさんを連れて戻ってきていた。テーブルには沢山の料理が並べられていた。
「ソラ様! 見てくださいませ私が先程、持ってきた飾り付けを……」
会長さんが指をさした方を見ると5メートルくらいの木が置いてあり、色あざやかに光っていた。木のてっぺんにはキラキラ輝く星が飾ってある。
どこからどうみても『クリスマスツリー』だ。
「これ……クリスマスツリーですよね?」
「そうですわよ。ソラ様の勝利を祝う為のパーティーですもの、クリスマスツリーは必要ですわ」
「パーティーにクリスマスツリーを飾るのは初めてなんですけど、何か特別な意味はあるんですか?」
俺はクリスマスの間にしかツリーを飾ったことがない。クリスマスもパーティーなのだが……今日はクリスマスでは無いはず……この世界にクリスマスがあるのかすら俺は知らないが……
「大事なパーティーにクリスマスツリーを飾るのは……700年前から続く仕来りですわ。詳しくは私も知りませんが……」
いつか美咲にでも聞いてみよう。なんでも知ってるし……本当は今聞きたいけど……
美咲たちは既に椅子に座って、アルシーさんたちの作った料理に釘付けになっていた。
「ソラ様。こちらの席にどうぞ」
今俺の事を様付けにして呼んだのは、会長さんではなく、あのウィーグさんだった。




