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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第2章 学園生活開始
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第四十六話 カカリ・ディアナ

 カカリの人生に関わること……そんな重要なことを、何故俺に話すのか……


「あの…………」


 俺が獣王様に理由を尋ねようとすると、俺の言葉を遮り話し始めた。


「まずは昔の話をする……今から10年前の話だ。私はあの日のことは今でもはっきりと覚えている……」


 8年前って事は……カカリは7歳だ。


「その日は生憎の雨でな、私は愛しい三姉妹たちと城の中で、楽しく隠れんぼをしていた」


 確か、カカリには姉と妹がいるって言っていたが……城の中で『隠れんぼ』って……

 大体この世界に『隠れんぼ』がある事に事態に驚いた。


「それで私はずっと鬼の役をやっていたんだが……53回目の鬼の役の時に……」


 (53回って!? どんだけ隠れんぼが好きなんだよ! )


 俺が昔、妹と家で隠れんぼしていた時は、2回ぐらいしたら飽きてたぞ……妹が。


「カカリちゃんが隠れていたのがディアナ家の宝物庫の中だった」

「宝物庫って普通は鍵は掛かってるんじゃ?」

「それがな…………」


 カカリは獣王様のポケットに入っていた『宝物庫の鍵』を隠れる為に取っていたらしい。


「カカリちゃんは我が国で一番大切にしている宝具を首に下げていた。そして私に言ったんだ『これがほしい』って、可愛いい娘でも流石にその宝具だけはあげる事は出来ない」

「えっ!? カカリにあげなかったんですか!」


 獣王様の性格的に、一番大切な宝具でも簡単にあげそうだが……


「その宝具は神器と呼ばれている。本当に大切な物だ。だから……1日だけカカリちゃんに貸す事にした」


 神器って事は女神レーアス様が作った物だ。俺の持っている『聖剣アルダート』や『女神の指輪』も神器に当たる。後は、リラの持っている『風の巫女のペンダント』だ。

 重要なのは、神器はそれぞれ女神レーアス様に、選ばれた者しか扱えない事。


「そして、その日の魔法の練習時にそれは起こった」

「まさか! カカリが攫われたんじゃ!?」

「私が近くにいる限りそんなことはさせん! ……カカリちゃんが『アクアボール』と唱えた瞬間……その宝具が青く輝いたんだ!」


(あれ? 同じ様な神器を知っている気がする)


「えっと……アクアボールの威力が、いつもより上がったりしてました?」

「やっぱりソラ君にはわかったか。そう、首から下げていた宝具は、水の巫女のペンダント……カカリちゃんは水の巫女なんだ」


 カカリが『水の巫女』それが本当なら……


「カカリは新魔王を倒しに行かないといけない。それが巫女の使命だから……」

「でも……カカリちゃんは自分が水の巫女に選ばれている事を知らない」


 カカリが水の巫女だと知っているのは、獣王様とカカリの母であるククリ様に、ウィーグさんたち兄妹だけらしい。

 カカリたち三姉妹は小さい頃だったのでこの事を覚えていないそうだ。


「カカリちゃんを水の巫女として公開すれば、必ず新魔王軍に狙われる」


 獣王様が俺をまっすぐ見る。


「まだ確証は無いがソラ君……君は勇者様だろ? それも他の勇者様たちとは違う特別な……」


 確証は無いと言っているが、獣王様は自信満々だ。


「獣王様の言うとうり、俺はみんなと違って、レーアス様に召喚された勇者です。でも、何故俺が勇者だと?」

「ソラ君の魔法の才能は、リフホーネに召喚された勇者様たちよりも規格外すぎる……後は私の勘だ。私の勘はよく当たる」


 決闘をする前は、もしかしたら勇者かもしれない状態だったが、ウィーグさんとの決闘で、俺がほぼ勇者だと思ったそうだ。


「カカリちゃんは水の巫女の使命を果たさないといけない……でも今のカカリちゃんでは新魔王軍と戦うことは無理だ。だからソラ君、どうかカカリちゃんの為に私たちに力を貸してくれ」


 獣王様が俺に頭をさげる。


「私の力だけじゃ……カカリちゃんを守ることはできない」


 獣王様は下を向いたまま、拳を強く握り、涙を流す。


 カカリが言っていた『お父様は自分を責めている時の顔』と、今の獣王様の顔はその時と同じだ。


「頭をあげてください獣王様。俺は獣王様に頼まれなくても必ずカカリを守ります」


 カカリだけじゃない、俺の手の届く限りみんなを守ってみせる。誰も死なせない。


「ソラ君になら、安心してカカリちゃんを任せる事が出来る。流石私が認めた男だ」


 夕焼けが綺麗な中、俺は涙を流す獣王様と握手を交わした。

男と男の会話でした。



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