第四十一話 帰ってきた
あれから数日、『暇い』と言っていた休日が『勉強会』によって地獄となった。
「でも今日で終わりだ」
今日で休日が最終日を迎えるのだ。
本当に勉強漬けだった休日。
勉強会初日に解いた問題集。俺とリラは殆どの問題が分からず……
『本当に休日を全部使って勉強会にするわよ!』
こうして、一日の三分の二を『勉強会』をして過ごした。
「ハァー行きたくない……」
ペリルと美咲の教え方はわかりやすいし、上手だと思う。
でも……もう休日まで使って勉強をしたくない……勉強以外だったらなんでもするぐらいの気持ちだ。
「今日で終わり今日で終わり今日で終わり今日で終わり」
自分に暗示をかけてやる気を出させるが、明日から生徒会に入らなければいけない。
どんな事をするかわからないが、会長さんと一緒に仕事をしないといけないと考えると、少し……大いに不安だ。
「俺はやればできる子……よし!」
俺はやろうとすれば勉強や会長さんなんて小さな壁だ、簡単に超えれる。
俺は意を決してリビングに向かった。
「カカリが帰ってきたのか?」
リビングに近づくにつれて騒がしくなっている。俺がリビングに入ると思ったとうりカカリは帰ってきていた。リラたちと楽しそうに話している。
ソファーの後ろには、前にツバサ寮に訪れた狐の獣人兄妹が立っていて、青い立髪で爽やかイケメンの強そうな獣人の男性がソファーに座っていた。狐の獣人兄妹は、執事服とメイド服を着ている。
「こいつです! カカリ様をたぶらかしている勇者もどきは!」
執事服の男性(勉強のしすぎで名前を忘れてしまった)が俺を指差した。
「ちょっと待ってください。俺はカカリをたぶらかしていないし、あと! 勇者もどきってなんですか!?」
すると、メイド服の女性(勉強のしすぎで名前を忘れてしまった)が……
「貴方は勇者では無いのに黒い髪に、常識的にあり得ないほどの魔法の才能を持っている、だから勇者もどき……」
勇者もどきなのは取り敢えずわかった。けれど……俺はカカリをたぶらかしていない。
「貴様が私の可愛い娘であるカカリちゃんをたぶらかした少年か……折角カカリちゃんと話せる機会を作ったのに、貴様の話ばかり聞かされた私の気持ちが……わかるか!」
そう言って立ち上がり、俺のいるところまで歩いてきた。そして、俺を無茶苦茶睨んでくる青髪の男性。
(あれ? 今……カカリの事を娘って言った?……てことは!?)
「お父様! 落ち着いてください! 私はソラ君の凄さを話しただけじゃないですか」
リラたちと話していたカカリが青髪の男性の近くまで寄って来た。
「私! お父様のことを嫌いになりますよ」
(やっぱり……この人が……)
娘に会いたくて暴れた……ディアナ王国の現王様……獣王様だ。
「カっ! カカリちゃん。落ち着くから私を……お父さんを嫌いにならないでくれ……」
こんな人が本当に獣人族の代表なのか……娘であるカカリにすがりついている。リラたちの獣王様を見る目が物凄く冷たい。
カカリはこんな父ですみませんと言いたそうな顔をしていた。
取り敢えず一旦落ち着き、何故か俺はソファーに座っていた。隣にはカカリが座っていて、向かい側には先程と同じ様に獣王様が座っている。
後ろには、ウィーグさんとアルシーさんが立っている(名前はカカリに教えてもらった)。
「私がここに来た理由だが……貴様が私のカカリちゃんと一つ屋根の下で暮らしていると聞いたからだ」
これは……まずいんじゃないか……ただでさえカカリたちと暮らしているのを自分でもヤバイと思っていたのに……よりによって獣王様に知られたのだ。打ち首とかにならないだろうか……
「すいませんでした! 打ち首だけは! それだけはお許しを……」
俺は人生初めて土下座をした。
「打ち首? そんな事をするはずがないだろう。大体なんだそれは……謝っているのか?」
この世界には土下座は無いようで、人生初の土下座は失敗した。
すると、獣王様が考える素振りを見せて
「カカリちゃんをたぶらかした罪は大きいぞ貴様」
何度も言うがカカリをたぶらかした覚えなど全く無い。
カカリに聞いたが獣王様に話した内容は殆ど、俺が作った料理は毎日食べたいくらい美味しかったと何度も話ただけだそうだ。
「ウィーグと決闘をして勝つことができたならば、お前を認めてやろう」
認めるって何を認めるんだよ!? 決闘ってなに? 模擬戦とは違うの? 俺は訳もわからず混乱していた。
勉強以外ならなんでもすると言ったが、勉強会の方が100倍マシだったと後で思った。




