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一人だけ別の場所に召喚された勇者(仮)  作者: 鳩ゆうら
第2章 学園生活開始
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第三十九話 注目されている

 朝ごはんを作り終えた俺はテーブルに料理を運んでいると、着替え終えたカカリが戻って来た。

 カカリの目線は俺の手元にいっている。


「話は食べてからでも良いですよね? ね!?」

「俺に聞かれても……」


 俺はソファーに座っているウィーグさんたちを見る。カカリも俺と同じ方向を向いた。


「ウィーグさん……良いですよね」

「えっと……はい大丈夫です。ゆっくりお食べください」

「ありがとうございます」


 カカリは笑顔で席に着いた。俺はみんなの分の朝食を配り終えたあと、ウィーグさんたちには悪いが、お腹が空いていたので朝食を食べる事にした。


「「「いただきます」」」


 ちなみに今日の献立は、ご飯にハムエッグと味噌汁みたいなスープだ。


 朝食を食べ終わったあと、カカリを通して自己紹介をした。


 ウィーグさんとアルシーさんは狐の獣人で、ディアナ王国の魔法騎士団の一員だそうだ。

 ウィーグさんが部隊長でアルシーさんが副隊長、あとの人はウィーグさんの部隊の兵士なので魔法騎士団の一員ではない。

 執事服とメイド服なのはカカリの小さい頃に世話をしていた頃の名残りだそうだ。任務の時はちゃんとした服装だそうだ。



「ウィーグさん。今日はどうしてここに……まさか! ディアナ王国に何かあったんですか!?」

「獣王様が…………」

「お父様が…………」

「…………」


 ウィーグさんが言葉に詰まる。カカリのお父さんが病気にでもなったのだろうか? 深刻そうな顔をしている。


「先日から娘たちに会いたいと言ってまして……その……ディアナ王国で暴れております」


(はぁー?)


 今のは聞き間違いだろうか? それとも冗談なのか? 娘たちに会いたくて国の王が暴れている? そんな人が国の代表で政治などは成り立っているのだろうか……


「えっと……お母様がいればなんとかなると思うんですが……居ないんですか?」


 どうやら本当のことらしい。前にも同じようなことがあった雰囲気だ。


「ククリ様は今、フーライラを倒したとされる聖剣を扱う少年と街の人を救った少女を探し出すため、連合軍の会議に出ております」


 カカリ、美咲、ペリルの三人の視線が俺とリラに向けられる。

 悪い事はしていないのに俺とリラは三人から視線を逸らした。


(連合軍に探されてるんだ俺……)


 連合軍とは、6種族が新魔王軍を倒す為に作られたものだ。


 31人目の勇者と呼ばれ始めた俺は、連合軍に目をつけられて、勇者だとすぐにバレそうだ。

 それにギルドカードの裏を見られたらめんどくさい事になる。


 称号

勇者の血筋をもつ者

王族の血筋をもつ者

異世界から来た勇者

女神レーアスに愛されし者

世界を救いし者

 

 美咲たちにもまだ称号は見せていない。見せてもいいのだが、下に書いてある二つの称号を見られるのはなんか恥ずかしい。


「この学園でも少しの間だけ話題になってましたよ。謎の少年と少女の話は……」


 カカリの言うとうり、ツバサ学園でも少しだけ話題になった。


でも……


「ここの学園長であるシルド様に聞きました。世界中を騒がしている話題より、そこに座っている天才の話で持ちきりだということを……」


 ウィーグさんが俺を睨むと、全員の視線が俺に集まる。

 『顔合わせ会』に『模擬戦』さらには『捕獲大作戦』により、この学園は俺の話題で溢れている。謎の少年や勇者である美咲に王族であるカカリよりも注目されているのだ。

 まぁその謎の少年も俺のことだが……


「あはははは……」


 俺は苦笑いをするしかない。


「それにカカリ様と同じ屋根の下で暮らしているだなんて……チッ!」


 ウィーグさんが舌打ちをした。

 今でも思うが、俺がこの寮に暮らしていいのだろうか? クラスの奴にリラたちと一緒に暮らしているのを知られたら殺されそうだ。


「話が少しそれましたが……カカリ様には一度、ディアナ王国に一旦戻ってきてもらおうと思いまして……」


 ウィーグさんは申し訳なさそうに言った。


「わかりました。一度ディアナ王国に戻ります」


 カカリは簡単に戻ると言っているが、ここからディアナ王国まで行くには海を越えなければいけない、休日の間では、ディアナ王国に着くことすら無理だろう。


「ちょっとディアナ王国まで行ってきます。ソラ君の料理を食べれなくなるのは寂しいですけど……頑張って4日間ぐらい我慢します」


 そう言ってカカリは立ち上がったウィーグさんたちの所まで歩いた。


「アルシーさんお願いします」


 カカリたちが目を瞑る。


「テレポート」


 アルシーさんがそう唱えた瞬間、カカリたちが消えた。


「転移魔法……初めて見た……」


 ペリルがポツリと呟いた。


 無属性の上級魔法であるテレポートは、転移魔法の一つで1日1回しか使えず、扱える人も少ない。

 ウィーグさんたちは昨日の内にツバサ学園に着いていたのだろう。


「移動が楽そうでいいね!」

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