第三十八話 執事とメイド?
多少の犠牲を払って手に入れた休日の1日目の朝、俺は……
「暇い…………」
ベットの上でゴロゴロしている。
この世界には、漫画やゲームなどの娯楽が存在しない。いつもならば、輝たちとゲーセンに行ったり部活に行ったりしていたのだが……ここは日本じゃない異世界だ。
「お腹すいたし、何か作るか……」
まだ朝ごはんを食べていない。時間的には9時ぐらいだ。
俺はベットから起き上がり、私服に着替えてリビングに向かう。
リビングには、誰もいなかった。みんなはまだ寝ているのだろう。
俺はエプロンを着けて三角気をつける。
「今日は何を作ろうか……」
キッチンで朝ごはんを作っていると、パジャマ姿のリラたちがリビングに現れ、眠そうに椅子に座った。
相変わらず美咲の寝癖が凄いことになっている。
「来ると思ったよ……」
俺が料理を作っているとリラたちは必ずリビングにやってくる。匂いを嗅ぎつけたのか、それとも勘なのか……
「ソラ……私たちの分も……よろしく」
ペリルは無茶苦茶眠たそうに言った。
「わかってるよ」
こう言われるのはわかっていたので、ちゃんとみんなの分も作っている。
ピンポーン
誰かが尋ねてきたのかインターホンの音がリビングに鳴り響く。
「…………」
みんなインターホンが鳴ったことに気がついているが誰も動こうとしない。
仕方なく俺は料理を作るのを一旦やめて玄関に向かった。
俺が玄関のドアを開けるとそこには、執事服を着た獣人の男性が一人とメイド服を着た獣人の女性が五人ツバサ寮の前に立っていた。みんな20代ぐらいだろうか。
「えっと……どちら様でしょうか?」
俺はメイド服を着ている人なんて初めて見たと思いながら執事服の男性に尋ねる。すると執事服の男性は俺を睨んだ。
「お前こそ誰だよ!? ここはカカリ様の住んでいるとこなはずだろ? だよなアルシー?」
執事服の男性は、隣にいるメイド服を着た女性Aに尋ねた。
「ハイ、兄さん。学園長であるシルド様によると、この変な家に住んでいるようです」
執事服の男性とメイド服のアルシーと呼ばれる女性は、どうやら兄弟のようだ。顔は……似ていなくはない。
「えっとですね……カカリならツバサ寮に住んでいますよ」
俺がそう言った瞬間、執事服の男性が俺の肩をギュッと掴み……
「おいてめえー。今カカリ様の事を呼び捨てに仕上がったな!」
執事服の男性の肩を握る力が強くなる。
「ウィーグさん!」
俺の後ろから声が聞こえた。振り向くとパジャマ姿のままのカカリが立っていた。
「かっカカリ様」
執事服の男性やメイド服の女性たちが膝をつく。
「すいません。この人たちはディアナ王国で私の護衛をしていた執事とメイドたちです」
カカリが俺に頭をさげる。
「カカリ様! このような者に頭など……」
「このような者ではありません。ソラ君は……」
カカリは俺のことをなんと言ったらいいかわからないようだ。俺は正式には勇者では無いし、勇者ツバサの孫ということは秘密なことだからだ。
「今……ソラ君と申しましたか?」
何故か俺の名前を聞いた途端に執事服の男性ウィーグさんが一歩後ろに後ずさり俺を見た。
「俺がカナタ・ソラです」
今メイドBからEから小さな悲鳴が聞こえた気がした。
「貴様があのカナタ・ソラか……本当にこんな奴が上級魔法を扱えるのか?」
あのってのが気になるが……
「他にも全属性の適性があって、異質型で扱えるんです……それにソラ君の作る料理は物凄く美味しいんですよ!」
カカリの目がキラキラしている。作った料理が褒められるのは素直に嬉しい。
「あっ!?」
俺は料理を作っている途中でリラたちが待っていることを思い出した。
「カカリ。取り敢えずツバサ寮に入って貰おう。俺は料理を作ってくるから」
俺はキッチンに戻り料理を作るのを再開した。
俺がリラたちにツバサ寮に客が来たことを伝えると急いで着替えに行った。
リビングにカカリとウィーグさんたちが入ってた。
「ウィーグさんたちは、ソファーに座ってて少しだけ待っててください」
そう言ってカカリはリビングから出て行った。リラたちと同じように着替えに行ったのだろう。
「ジュースか水しかありませんが、何かお飲みになりますか?」
俺はキッチンから出てウィーグさんたちの所まで行って尋ねた。
「私たちは水でお願いします」
俺は頷いてキッチンに戻り水と氷をコップにいれて持って行った。
すると着替え終わったリラたちがリビングに戻ってきた。
「この人たちは誰?」
きちんと寝癖を治してきている美咲が俺に聞いてきた。
「俺もよく知らないけど、カカリの執事とメイドだってさ」
結局この人たちが何をしに来たのかはわからない。カカリにようがあるのは確実だろうが……
「それよりご飯はまだ?」
「もう直ぐできるから、あとちょっと待て」
リラはウィーグさんたちより、ご飯の方が優先らしい。




