第三十七話 凄い人たちと友達
あの後、シルドさんに文句を言いに行った時にから聞いた話だが、『第1回カナタ・ソラ捕獲大作戦』の参加者が多かった理由は、特進クラスと普通のクラスでは俺を捕まえた景品が違ったからだそうだ。
特進クラスは、俺を5日間自由にできる権利が貰えるのに対して、普通クラスは、これまでに払ってきた学費の返還とこれからの学費を免除が景品だったらしい。
そして、リラたちがもしも俺を捕まえる事ができたらさせたかった事。
それは……
休日の間、食べたい料理を好きな時に作らせる事だった。
三人は俺の作った料理をもっと食べたくて、あんなに目をギラギラさせていたのだ。
その事を聞いた時、俺は思わず三人に言ってしまった。
「……太るよ」
リラとカカリの顔が真っ赤になったが、美咲だけは、
「太らない体質だから大丈夫。だからプリン作って」
プリンを一度食べさせてからの美咲は、プリンの事にしか頭にない。
「私だって太らない体質だよ」
そう言ってリラが俺にお腹を見せる。
「わっ! 私だって……太らない体質……」
リラに対抗してなのか、お腹を見せようとするカカリ。顔は更に赤くなっていた。
「見せなくていいから。大丈夫、カカリは太らない体質だ」
「それなら私もプリンって食べ物を食べてみたいです」
結局みんなの分のプリンを作る羽目になった。
「結局、ソラは生徒会に入れるのよね?」
「入ることになったよ」
休日が終わったら生徒会に入らされることになっている。会長さんと一緒に仕事をするのは少し怖い。
でも俺が損することだけではなく、ちゃんと俺が得することが本当にあったのだ。
この学園には図書館があるそうなのだが、一般生徒が読めない本が特別に読めるようになる権利が貰えた。最上級魔法について書かれた本も沢山あるそうだ。
「そう言えば、ファルースさんに勇者だってこと話していたんですね」
「え!? 俺……会長さんには話してないけど……」
「でも…… 大講堂で言ってましたよ。『ソラ様は生徒会に相応しい方ですわよ、私は知っていますもの……ソラ様は31人目の勇者様だってことを』って……」
大講堂で俺の話が出たらしい。
勇者って疑われる事はあったが、ばれてはいないはず……
記憶を遡っても会長さんに言った覚えはない。
それなら答えは一つ。会長さん自身が気付いたのだ。
「なんで気づかれたんだ?」
普通の学生にはできない上級魔法をいくつも使えるからか、それとも勇者ツバサに顔が似ているからか……
「そもそも、黒髪って時点で勇者様じゃないかって疑われるのよ。 それに加え、上級魔法をバンバンつかうし、異質型の扱える技術もある。気付かない方がおかしいわよ!」
新情報! 黒髪だと勇者って疑われるらしい。今思えば、すれ違う人や初めて会った人に頭を見られていた……気がする。
「ソラ君には、火、水、風、光、の四属性の適正もありますし……」
「違う……そらには全属性の適性がある。授業の時習っていた」
美咲の発言により、カカリとペリルが俺の顔を見る。
二人には未だに、俺が全属性の適性があることを伝えていないし、学生証も見せていない。
魔法の授業中には、二人は距離が離れすぎていて俺の練習風景は見えず、闇属性と無属性の魔法を見せた事もない。
だから俺が全属性の適性があることを知らないのだ。
「……どうぞ」
俺はサフィークから学生証を取り出してペリルに渡した。
「っ!? 本当に全属性の適性があるわね」
カカリも後ろから覗き込む。カカリは下から見ているようだ。
「ペリルちゃん……魔力量を見て下さい……」
ペリルが俺の学生証を床に落とした。
「ちょ!? ペリル!?」
俺はペリルの落とした学生証を拾う。
「ソラ……学生証を見たら勇者だけじゃなくて……勇者ツバサ様の孫だって普通に分かるわよ」
カカリも首をカクカク首を上下に振る。
「でも、筆記テスト9999位って……よくリラのことをバカにできたわね」
学生証に成績が書いてあった事を、俺は完全に忘れていた。
「ほんとだよ! 私と変わらないじゃん!」
リラは俺が笑った事を覚えていたようだ。
「いや……だってほらっ! 俺は異世界から来たから筆記試験が出来なくて当然だから」
俺はこの世界に来たばかりだし筆記試験の成績が悪くても全然大丈夫。
「私……1位」
俺が完璧な言い訳をした後、同じく異世界から来た少女が自分の順位を言った。
「「「………………」」」
リラ、カカリにペリルが、俺をジト目で見る。
「すいませんでした! 俺は正真正銘のバカです」
「ソラがバカなのはみんな知ってるから……大丈夫だよ」
他の三人も頷いた。
前からリラには、バカだと言われていたが、他の三人に頷かれると地味に傷つく。
「丁度いいし、リラも学生証見せなさいよ。後見たことないのリラだけだし」
「いいよ」
前にリラは、普通の人と魔力量と適性属性の数が違いすぎてギルドカードを見せるのを戸惑っていたが普通にペリルに学生証を渡した。
学生証を落とすまではいかないが、ペリルは驚いていた。
「リラって何者なのよ!?」
「私は何処にでもいる、ただのエルフだよ」
前にジーラさんに言ったセリフだ。
「まず! エルフは何処にでもいないし! リラみたいなエルフが沢山いれば、新魔王軍もエルフの国を襲わないわよ!」
リラ軍団VS新魔王軍
リラが沢山いれば、新魔王軍にも勝てる気がする。
「リラは風の巫女だろ?」
ペリルたちには、別に隠さなくてもいいだろう。
「あっ! そうだよ。私、風の巫女だったんだ」
そう言って風の巫女のペンダントを見せる。
リラは、自身が風の巫女だという事を忘れていたようだ。
「風の……巫女ってあの!?」
今驚きの声を上げたのは、ペリルではなくカカリだ。ペリルは目をパチパチして固まっている。
「多分カカリの思っている風の巫女で合ってると思うよ。リラはレーアス様に風の巫女として選ばれたんだ」
カカリは信じられないって顔をしていた。
リラはカカリにギルドカードを見せた。
「ほっほんとに! 巫女の称号!?」
そこに復活したペリルが
「勇者二人に風の巫女の後継者さらには、ディアナ王国のお姫様……私凄い人たちと友達になってるわね」




