第三十五話 捕獲大作戦ⅰ
みんな俺を見て、目をギラギラさせていた。
「何で俺の方を見るんだよ……まさか……リラたちは、これに参加しないよな?」
俺がみんなにそう聞くと、ペリルが目をギラギラさせたまま笑顔で……
「何言ってんのよ。こんな面白い権利が貰えるんだから参加しないわけないじゃない!」
ペリルたちはやる気に満ちていた。
俺には全然面白くねぇーよ!
「まぁまぁ落ち着け、開始は午前の授業が終わってからだ」
そう。『第1回カナタ・ソラ捕獲大作戦』は、今すぐ始まるわけではないのだ。
「参加は自由だ。参加したい生徒は、昼を食べ終わったら大講堂に集合すること」
午前中の授業が終わり、今は昼休みの時間なのだが……
「誰もいない……」
先程まで、俺たちは食堂で昼ご飯を食べていたのだが、ご飯を食べ終えるとリラたちや食堂にいた生徒たち全員が大講堂に行ってしまったのだ。
そして今、校舎をプラプラしているのだが、生徒や先生が誰一人いなかった。
「生徒全員が参加……なのか?」
俺は気になり、大講堂に向かった。
大講堂に着いた俺は、扉を少し開けて中を覗く。中には多くの生徒たちが座っていた。
『今から生徒会と学園長主催のイベントの説明をいたしますわ』
俺は静かに扉を閉めた。
「いやいや……俺以外の全校生徒が居るんじゃないかこれ?」
自由参加なのに全校生徒が全員参加。一体5日の間に俺は何をさせられるのか……
「取り敢えず何処かに隠れるか」
俺は今、多くの生徒たちに捕まらないように校舎から出て、学園街の中の自分でもどこか分からない場合の物陰に隠れて、身を潜めている。
「じいちゃんめ……余計な事を……」
余計な事と言うのは、生徒たちが手に持っている『ムシアミ』という魔道具のことだ。
あの魔道具は、新魔王軍や盗賊などを無力化した後に捕らえるために造られたもので、あれに捕まえられると網がそのまま魔法耐性のある檻に変化する。
もちろん、勇者ツバサが開発した魔道具の一つだ。
「見つけましたわよ。ソラ様」
会長さんに見つかってしまった。いつの間にか、『カナタ・ソラ』から、『ソラ様』に呼び方が変わっている。
鼻息が荒く、目がヤバい。
「アクアフォース」
俺はアクアフォースを唱えて全身を強化して一気にジャンプして何かの店の屋根の上に乗った。
屋根の上なら俺ってこれないだろうと思ったが……
「エアーフォースですわ」
会長さんが両足だけを強化して俺の元に飛んできた。
俺は、会長さん攻撃? を避けて、屋根の上を走り逃げる。
「逃がしませんわよ」
屋根の上を逃げているから、他の生徒たちからも見つかり、それぞれいろんな属性のフォースを両足だけに施して、屋根の上に上がってきた。
「これで逃げ場はありませんわよ」
俺は、屋根に上がって来た生徒たちに囲まれた。
「ソラ様。私に捕まれば休日は楽に過ごせますわよ」
「会長さんにだけは、絶対に捕まりたくないです!」
そう言ったものの、このままでは捕まってしまう。一瞬でも目を逸らさせることができたら……
「あっ! あそこにUFが!?」
俺は棒読みで会長さんから左側の空を指差す。すると、俺を囲んでいた生徒たちの視線が指をさした方向に向かう。
その隙に俺は、脱出した。
「ゆーふぉーって何ですの? ソラ様何もありませんわよ……って!?」
会長さんたちが俺がいないことに気付いた時には、時はすでに遅かった。
「ふーぅ。あっぶねー」
もう少しで俺の休日が無くなるところだった。
「安心するのはまだ早いよ」
俺が後ろを振り向くと、美咲とリラそれにカカリがムシアミを持って現れた。
「あっ! あそこにUFが!?」
「「「………………」」」
リラたちには効果がないようだ。
「ソラ君。おとなしく私たちに捕まってください」
それを境に三人が一斉に飛びかかってきた。
俺は三人の攻撃? を華麗に避ける。
「落ち着けって! 後……少し休憩させてくれよ。てか、いつ終わるんだよ! これ!」
そろそろ『第1回カナタ・ソラ捕獲大作戦』が始まって2時間は経つだろう。
「あと1時間くらい」
もう、リラたちに捕まろうかなとそう思ったその時、奴が再び現れた。
「ハァハァハァ……観念してくださいませ……ソラ様……」
「フリーズ!」
会長さんが出てきた瞬間に、俺は5人の足元を凍らせた。
すると、リラたちがバランスを崩して倒れ始めるが、美咲だけはバランス良く氷の上を滑って俺の方に向かってきた。
「私が捕まえる……」
捕まえるとか言いながら美咲は俺に向けて魔法をドンドン放ってきた。
「俺はそこまでしてないだろー!」
俺は、美咲の魔法を避けながら走って逃げた。
「美咲! ゴメン!」
一端止まり、俺は美咲の方を向き手を伸ばす。そして俺は目を瞑り魔法を唱える。
「ライト」
手のひらに大きな光の玉が現れ辺り一面がピカッと光った。
光属性の初級魔法で、魔力を注いだ量で、光の玉の輝きが変わる。
普段は明かり代わりにつかう魔法だが、魔力を多く注ぐだけで目くらましにもなる。
俺は生徒たちから逃げ続ける。
そらが祖父のこと誰かに説明する時などは、『祖父』をつかい、その他は、『じいちゃん』をつかいたいと思います。




