第三十四話 何で!?
あの模擬戦以来、俺は困っていることが一つある。 ツバサ学園の授業は順調に進んでいるのだが……
「はぁ〜」
「まぁーたーため息? さっきから何回すれば気がすむのよ」
「仕方が無いだろ。はぁー」
こんな状況が何日も続けば、誰だってため息ぐらい吐きたくもなる。
「みんな……ずっとソラの話をしてるもんね」
「それだけソラ君が凄いんですよ」
今、ツバサ学園の流行の話題は、ルーブビレを救った少年と少女の話から、カナタ・ソラが実は勇者様かも知れないと言う話題に変わり、勇者である美咲と王族であるカカリよりも注目されている。
だから、今みたいな登校中の間は、いろんな人が視線を向けてくる。
「俺の話しているだけなら……まだマシなんだけど……」
俺がため息をつく理由の大部分を占める人物が目の前に現れた。
それは……
「おはようございますですわ」
そう……会長さんだ。
会長さんはあれから毎日、暇さえあれば俺の所に現れては、『私のものになりなさい』と言って強引に迫ってくる。
例えば、毎授業の移動時間や準備時間や昼ごはんを食べている時とかだ。
「おはようございます会長さん。今日もいい天気ですね」
「そうですわね」
俺は会長さんと適当に挨拶を交わした後に、出来るだけ会長さんさんから離れて横を通った。
(あれ? 何も……してこない?)
いつもなら、俺が横を通ろうとすると、俺の腕を引っ張り何処かに連れて行こうとするのだが、今日はニコニコ笑うだけで何もしてこなかった。
結局俺は、何事も無いまま教室に着き、自分の席に座った。
「良かったねソラ。マリナさんが諦めてくれたみたいで」
「最初からきっぱり断れば良かったんだろうけど……」
俺は会長さんから逃げ続けた。会長さんの獲物を狙うような目が怖かったのだ。
「会長さんが諦めてくれて良かったよ」
俺がそう言ったら、美咲がポツリとつぶやいた。
「…………フラグ」
と。
美咲が『フラグ』と言った瞬間、フリップ先生が教室に入って来た。何故かフリップ先生は俺を見ている。
「急にだが、本日の集会の内容が変更になった」
この学園の『集会』とは、5日間ある休日の前の日に生徒や先生が大講堂に集まり、学園付近の街や森などの、生徒たちが行きそうな場所の情報を伝える為に行われる。
主に新魔王軍がその街付近で見られたなどの話をしているのだが、最近は新魔王軍のうごきがみられないので、殆ど学園長であるシルドさんの話となっている。
後この学園は、日本の学校見たいに、週に二回も休みは無い。ただ定期的に5日間の休日が有るだけだ。
「生徒会と学園長の案により……」
フリップ先生は再び俺の方を向き……
「本日は『第一回カナタ・ソラ捕獲大作戦』を行う。質問があるだろうが、今から配るプリントを見れば分かるはずだ」
そう言ってフリップ先生は、みんなにプリントを配った。
「なんじゃこりゃ!」
配られたプリントの内容を見て思わず俺は、大きな声を出してしまった。
「フリップ先生。ここに書いてあることは、その……嘘ですよね?」
「残念だがこれは本当のことだ」
「うそ……だろ……」
プリントの内容を簡単に内容を説明すると、鬼ごっこみたいなものだ。俺以外の生徒たちがみんな鬼で、俺を捕まえる。
見事俺を捕まえる事ができた人には、明日から始まる休日の間だけ、俺を自由に出来る権利が貰える。もしも、誰も捕まえる事が出来なかった場合は俺が強制的に生徒会に入らされるそうだ。
捕まるにしても逃げれたとしても、俺にはマイナスしかない。
「基本的人権はどこに行ったんですか!?」
「なんだそれは? キホンテ……そんなもん知らん!」
この世界には基本的人権は無いようだ。
「そうだ!」
この理不尽すぎる内容の『第一回カナタ・ソラ捕獲大作戦』に俺は突破口を見つけたのだ。
それは、リラたちの誰かにわざと捕まれば、休日はゆっくり過ごす事ができ、生徒会にも入らずに済むのだ。
俺はその突破口をみんなに話そうと周りを見ると……
「何で!?」
みんな俺を見て、目をギラギラさせていたのだ。
休日が8日間は長いと思ったので、5日間に変更しました。




